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第十一話 発艦準備

また五話上げます。

「がふがふがふがふ」

「艦長、珍しいな」


白飯をおかずにビーフステーキを食う俺に、ホットドッグを抱えて降りて来たローレンスが驚いた顔をする。

食堂はもともと一階分しか無かったのだが、魔導機関のコンバーターをずらして設置した時に出来た空きスペースに地下二階を設置したのだ。


「俺だってカップ麺ばっかりじゃ死ぬよ」


添加物で身体を壊しても再構築すりゃいいけど、それを行う魔力が無かったら死ぬしかないんだぞ。そうそう有り得無さそうだけど。


「おっ、艦長がカップ麺以外を食ってる!」


豚丼を抱えて降りて来たハーデンがこれまた驚く。

俺は野菜スープを啜りつつ、視線で返す。


「まぁ、同じフレーバーばっかじゃ飽きるよな」


何か勘違いしたのか、ハーデンは豚丼を置いて、がつがつと食い始めた。


「しかし、この艦にずっといると身体に悪いな」

「.........太っちまうよな」

「ハーデンはそうそう太らなさそうな印象なんだがなぁ」


俺は呟く。

ハーデンは両舷に存在する格納庫を行き来して、毎日未使用の艦載機をメンテナンスしている。そうそう太ることも無いだろう。

ローレンスは戦闘訓練や艦内ジムでのトレーニングを欠かさないしね。


「さあ、行かなきゃな」


俺はプレートを持ち、直ぐ傍の返却ボックスに入れた。

今日は第三エスカリアに帰還して、暇ではあるのだが..........




艦長のお仕事は、艦内チェックに始まり艦内チェックで終わる。

艦内のデータをレクスが収集し、アリスが重要なものとそうでないものに振り分けてから、俺に送ってくる。

演算はレクスが、人間的な部分はアリスがやってくれるから、精度がとてもよくなった。


「ありがとう、二人とも」

『———光栄の至り...なんて』

《ユウキのためなら.......何でもやるわ》


ん?今なんでもって.........じゃなくて。

俺は空中に投影されたモニターを操作し、艦の状態をチェックする。


「うーむ、武器系統のメンテが思ったより大変だったんだな」

『全力戦闘でしたから...』

「とりあえず、魔導防壁ジェネレーターを交換しておいて」

『分かりました』


出力は弱いとはいえ、タコ殴りにされたので一応交換しておく。


『それから、未使用のリソース消費先であるBC砲ですが......』

「ああ、それは決戦兵器だから念入りにメンテを頼む」

『了解しました』


魔力飽和次元断層崩壊収束砲—————『BRAVE CANNON』。

無限魔導機関は無限に魔力のみが存在している次元にゲートを繋ぎ、そこから魔力を——————言うなれば無限の水脈を持つ井戸水を少しずつバケツで汲む機関であるのだが、こいつは水脈ごと横倒しにして水を一気に流し出すという凄まじい兵器だ。

その理論は、エネルギーをチャージして魔力の一定以上の流出を阻害している次元の断層を吹き飛ばし、一時的にガバガバ状態にしてしまうというものだ。噴き出した魔力には指向性と貫通性、破壊力を持たせぶっ放す。

射程は最大35万kmで、射出をやめれば直ぐに停止できる。

推測ではとってもおっそろしい威力で、この国の最大戦力の艦隊を一撃で葬り、その背後に都市があった場合は核まで貫通して滅ぼせる威力を持っている。

某宇宙戦艦のような大陸を消し飛ばす威力は無いが、それでも恐ろしい兵器である。

…….おっと、長々と語り過ぎた。


「そういえば、魔導機関のメンテナンスはしてる?」

『問題なく執り行っています。』


フライホイールが付いてた理由も漸く分かったよな。

ホイールを慣性で回転させて、魔力を汲み出す動力に変換していた。

そして汲みだした魔力からまた動力を得て回転して........という具合だ。


「...........乗組員の関係も問題なし、か.......もう寝ようかな」


消化が終わり、眠気が襲ってくる。

俺が椅子にもたれ掛かり、眠ろうとした時.......


『———着信です、姫サマからのようですね』


着信先を『姫サマ』に設定しているのでレクスが皮肉屋みたいになってしまった。


「スクリーンに投影しろ」

『了解です』


上部スクリーンに、疲れ果てたような姫サマの顔が映し出される。


『—————呼び出される案件が何か理解していますよね?』

「さあ? 何のことかな」


俺はしらばっくれる。

姫サマはため息を吐いた後、言う。


『あなたが第四エスカリアの人工智核を盗み逃走、その際追撃した第四エスカリア警備艦隊総数の9割を撃滅し、帰還した————事実ですか?』

「事実じゃないな、そう————例えば、その人工智核は難破船を保護したら手に入れて、つい船に入れてしまって戻せなくて、逃走したのは中に人を入れたくなかったからで、警備艦隊は第四エスカリアの空域外に出た、軍法違反で全員死刑だな」

『はぁ..........とにかく、さっさと戻してきてください』


姫サマはペットを拾ってきた子供に言うように言った。


「あ、そうだ」

『....何ですか?』

「第四エスカリアでお土産を買ってきたから、そろそろ届くと思う」


通信の背後で、ドアが開く音がする。


『何々.........最重要小包? ふざけているのですか?』

「まあまあ、開けて見なよ」


不機嫌の混じる声で、姫サマが言うが、最重要小包(ローレンス名義)でも無ければ王宮に届けられない。


『これは........?』

「からくり時計だってさ、面白いから買ってきた」


真ん中に時計のついた第四エスカリアのデフォルメ版で、都市の様々な装飾や人々、鳥などが動く仕組みだ。


『.............懐柔のつもりなら無駄だった、とだけ言っておきましょうか?』

「別に、要らないなら捨ててくれ」

『........嫌とは言ってません、切りますよ』

「はいはい」


ぶつんと接続が切れ、スクリーンが真っ黒になる。


「素直じゃねえなあ」


俺は呆れつつ、レクスの画面を見る。


「言った通りだ、数日以内にレクスをシステムから分離してメモリに戻す」

『それが艦長の決定ならば、私は従います』


…………………。


「お前、嫌なんだろ?」

『————っ! ……..そのようなことは。私は人間の為に作られたインターフェースに過ぎませんから』

「なら、どうしてお前のコピープログラム作成履歴が残ってるんだ?」

『そ、それは.......消したはず』

「システムログは全部俺の端末に転送されるんだよ」


俺の端末の権限はレクスより上なので、レクスは俺の端末に干渉できない。

そして、このログの真意は..........


「........コアプログラム部分のコピーに失敗して、中止したようだが.......お前、コピーを作って残ろうとしたな?」

『————嫌だったからです、離れるのが』

「.......子供じゃないんだぞ? 弁えろ」


出会ってそうそう、こんな人工智核に溺愛されても困る。


『.........私のオートフィルセーフ内には保護された”記憶”が存在します————その中では、あなた達とは違う..........私の製造者たちの動画があります』

「続けろ」


俺は端末の録音機能を起動し、話に耳を傾けた。


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