第四話 王女サマ
すっげえ久々の更新です。
10話まで全話出来てるんすけど、チェックが出来てないので....
俺は騒がしい廊下の方向とは別の方向へと歩み出す。
そして、歩くこと数分........
俺は一つの扉の前にたどり着いた。
〈記録室〉
二階は、この都市のあらゆる住人の情報を管理、維持する部署だ。
よって、俺の情報も当然存在しているはず。
俺は扉を開くために壁面パネルに触れ.....
『魔力認証を開始........権限レベル:F。権限レベルが不足しています』
拒否されたか。
だが、問題ない。
「上書き」
俺は右手をかざし、機械を見つめる。
ガガガッと音を立てて、一瞬パネルの表示がバグる。
そして......
『権限を承認、扉を開放します』
ガシューと音を立てて扉が開く。
よしよし。
これは俺の能力の一つである『上書き』だ。
機械に設定されている”権限”それを上書きし、俺の名前に差し替えることで俺は何でもできる。勿論戻すこともできるし、一時的に書き換えることも可能だ。
俺は中に入り、中を窺う。
紙なんてものはなく、引き出しが沢山ある。
そこには情報の収められたタブレットが入っている。
俺は自分の誕生年の記録を探す。
……………あったあった、これだ。
だが、届かないな.......
俺は何か足場が無いか探すことにしたが、そういうものはない。
俺が元の身長だったら、これくらい簡単に取れるんだけどな.......何しろ今は児童体型だ。
しょうがない........
「物質構築」
俺はもう一つの能力を発動させる。
すると、俺の前に思った通りの大きさの脚立が姿を現す。
この能力は有機物を除く全てのものを思った通りに自由に作れる能力だ。
だが、仕組みを知らないものや未知の構造のものは中身がない空っぽになってしまうため、そこまで万能の能力ではないが、他の能力と合わせて使うと便利だ。
俺は脚立に乗り、目的のタブレットを引っ張り出す。
「えーと、俺の誕生年の戸籍登録は..........」
俺は戸籍登録離籍を漁るが、特にこれと言って収穫はなかった。
ただ、出生記録に収穫はあった。
俺のものではないが、アリシャのものだ。
アリシャはどうやら.........
「え......?どうして開いてるの?それに、キミは.........」
急に後ろから声が掛かった俺は、驚いて後ろを振り向く。
そこにはさっきの案内役のお姉さん.........エスカリア第二王女だったか?
がいた。俺は慌ててタブレットを棚に戻し、出来る限り笑った。
「最初から開いてたんだけど... 入ったらまずかった?」
「いや、そんな筈は。開閉記録では.......さっき?まさか貴方....」
「知らないよ?」
俺は精一杯誤魔化す。
王女サマも俺が何かの能力を持っているとは思っていないから、すんなり信じてくれた。
俺は王女サマの手を両手で握る。
「迷っちゃって.......みんなの所まで連れて行って?」
「....」
王女サマは仕方ないといった風に俺を見て、俺が握った手を握り返した。
そういうわけで、俺と王女は皆のところへと戻るのだった。