第八話 遠回りな帰還
第四エスカリア下部の端っこ、その道路を俺とローレンスは爆走していた。
目指しているのはAVALONの止めてある場所だ。
「なぁぁぁぁ、ちょっと速度を.........」
「まだまだ! この先のカーブが勝負だ!!」
俺は更にスピードを上げ、道路をかっ飛ばす。
そして、大カーブを抜けると..........
「お、おい。アレ........」
「見えてるって......けど何だ.....?」
AVALONの周囲を、小型艦や中型艦が取り囲んでいる。
その全てが砲口をAVALONに向けており、険悪な空気がうかがえる。
「このまま近づくとお縄だな」
「どうする、艦長?」
「勿論、こうするのさ!」
俺はハンドルを左に傾けた。
接近警報が鳴り響くが、俺はそれを無視する。
ガードレールをぶっ壊して、俺達を乗せたバイクは宙へと躍り出る。
「ゆ、ユウキッ!?!?」
「まあ、見てろって」
落下する俺達の眼下で、空間が歪む。
亜空間よりALGATORが浮上してきているのだ。
浮上したALIGATORは大顎を開き、俺達はそこに滑り込む。
「急速潜航!」
ALIGATORは口をパクっと閉じ、口内に結界を張り巡らせたうえで亜空間へと沈降する。
生身での亜空間沈降は細胞の壊死を引き起こすうえ、結界の張られていない場所は酸素が無いため生物は生きていけないが、こうして結界を張ることで何とか亜空間へ潜る事が出来る。
「なあ艦長さんよ、こっからどうするんだ?」
「とりあえず、AVALONの非常帰還ユニットを使って艦内に戻る」
「何を言ってるか分からんが、とりあえず了解した!」
〈AVALON〉全体を潜空させる方法はまだ確立できていない。
艦全体を上手く同期させられないため、反浮きくらいがやっとなのだ。
だが、小型艇ならいけるので、小型艇を亜空間に放出し、それに搭乗することで通常空間へ戻る。
暫く待っていると、小さい接触音が響いてくる。
俺はバイクから降りて、ローレンスと一緒に〈ALIGATOR〉内部を歩く。
そして、ケツに位置するエアロックに辿り着いた。
「さあ、携帯結界はあるな?」
「勿論だ」
俺達は小型艇に乗るため、真空の空間へと飛び出した。
このままだと俺達は落下するだけだが、そのためのバイクだ。
こいつの本当の名前は〈GRANI〉。
伝説の馬の名前であり、俺のカスタムを受けた魔改造魔導二輪に相応しい名だ。
「亜空間用装備起動!」
グラニに内蔵された亜空間用の推進装置が起動し、赤く光っていたボディに走るラインが水色に変化する。
『ほら、乗って』
『———了解』
通信機で会話をしつつ、俺とローレンスを乗せたバイクは小型艦の如く亜空間を突き進む。
浮上するための機構はまだ搭載して無いので、小型艇待ちだな。
『現在地点を同期、潜空挺投下します』
「ラジャー」
レクスの声が聞こえ、亜空間の境界面を突き破って何かが落下してくる。
黄色に塗られた潜空艇だ。
「よし、上に戻るぞ」
「了解だ、やっとこの不気味な場所からおさらばできる」
ローレンスがほっど息を吐く。
.....言うほど不気味かなあ?
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