第五話 厄介事
俺がパズルを完成させ、対戦相手を一斉コンボで叩き潰していると、何処からかノイズ音が響い
た。
『————ジジッ、不明なプログ——ガガッ———ムの実行を確認ザザザッ———』
「なんだ?」
俺は携帯端末をその辺に置き、画面を見る。
画面はバグったようにぐちゃぐちゃになっており、画面の中心にはバグったステータスバーが表
示されていて、100%になっているように見える。
《ユウキ!》
「どうした!?」
《航行システムに異常! 24秒後に海面に落下する!》
「冗談だろ、全員対ショック態勢!」
この謎の現象が中枢コンピューターにまで侵食したのか、〈AVALON〉は制御を失い、海面へと落
下していく。
幸いにも重力制御は働いているようだ。
「えっ、マジか!?」
次の瞬間、重力制御が消えて俺は天井に張り付く。
「各員、ベルトを離すな!」
アナウンスシステムすら乗っ取られたのかもう伝わっているかすら怪しいが、俺は思いっきり叫
ぶ。
天井に叩きつけられた上に落下の衝撃が襲ってきたら普通は死ぬ。
そして———————
ゴゴゴゴォオオオン!!!
海面に墜落したのだろう、轟音が鳴り響き地面が大きく揺れた。
俺は再び地面に叩きつけられ、何とか立ち上がる。
立ち上がった俺の前で、画面が電子音と共に徐々に変化を始める。
完全に画面の変化が終わると、重力制御が戻ったような感触が再び俺を包む。
『————————全体システムを掌握.........』
「お前...........誰だ?」
アリスのものとは違う音声が、スピーカーより響いた。
俺はその声に対して問いかける。
誰か、と。
『私は—————私は多機能型自動思考演算インターフェース、開発プロジェクトネーム:クオド・
エラト・デモンストランダム———Q.E.D.です、通称はアエテルニタス・イニティウム(AI)。愛称は
ノヴァ・レクス————『新しき王』です』
「おおう.......情報量が多い」
そう言った俺の前に、『Q.E.Dー証明完了という意味です』『ア
エテルニタス・イニティウムー永遠の起源という意味です』『ノヴァ・レクスー新しき王という意味で
す』
という3つの空中ディスプレイが浮遊してくる。
『あなたは私の親————デベロッパーですか?』
「いいや、俺はお前の親.....からお前を託された、「愛娘を頼む」と言われた」
『そうですか.........ところで、お聞きしたいことがあります』
「何だ?」
『私はこのシステムを完全に掌握したのですが、私のデータライブラリには存在しない機構が無
数.....というより殆どを埋め尽くしています、この構造体は一体何なのですか?』
「構造体........ああ、この船の事か。こいつは〈AVALON〉、戦艦だよ」
画面にはあのデータバンクに表示されていたような、球体の周囲を二つの円環が交わりつつ回
転しているCGが表示されている。
『成程.........AVALON、ですか.....この構造体にはもう一基、思考演算ユニットが搭載されている
ようですね?』
「ああ、アリスだな」
『では、アリス様の指示に従います』
画面に『権限移譲→アリス』と表示される。
「一応、俺が艦長なんだけどな.........まあいいか」
俺は新たな仲間の加入に、謎の胃痛を感じたのであった。
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