第三話 八年後
赤ちゃんプレイはちょっと........と思ったので、割愛して8年後です。
俺が赤ん坊に転生してから8年が経った。
自分の事、この世界の事、俺がすべき事はこの8年間で大体わかってきた。
だが、今日は.............
「ユウキ君、準備できた?」
「もちろん。.......っていうか、準備するようなことなんてないだろ?」
「そうだね」
俺は男子部屋に遊びに来た女の子.....アリシャに話しかける。
俺たちが住んでいるのは孤児院だ。
どういう訳か俺には親がおらず、孤児院の前におくるみに入れられて放置されていたようだ。転生した初日に確認したが、おくるみに入っていた記録媒体には日本語で説明が書かれていた。.....アフターケアが細かい。
それはともかく、俺たちは今何をしているのか。
それは........
「『中央塔』に行けるなんて、私たち幸せだね!」
「そう.......だな」
中央塔とは、俺が住む国の中央機関ともいうべき場所だ。
本来なら孤児の俺たちが行けるような場所じゃないのだが、
将来の要人にもなり得る俺たちに、中央塔でのお仕事見学をさせてやろうという、
お国の方針だ。
俺は少なすぎる手荷物を纏め、アリシャを伴って玄関ホールへと移動した。
◇◆◇
数時間後、俺たちは中央塔へと来ていた。
美人で金髪のお姉さんが、ワイワイ騒ぐガキどもを案内している。
俺が説明するのも面倒臭いし、説明は彼女に任せよう。
「皆さん、中央塔へようこそ。ここは皆さん知っての通り......天空国家エスカリアの中枢機関、『中央塔』です。」
俺たちが住む国は、天空に浮かぶ都市である「第三エスカリア」だ。
第三という名称からもわかるように、他にも都市が存在するが、今のところ中央都市はここだ。
そうしている間にも、俺たちはエレベーターに案内される。
床が俺たちを押し上げ、ゆっくりゆっくりと上昇していく。
この昇降機を動かしているのは電力ではなく、魔導機械だ。
この世界ではマナテックと呼ばれる魔法と科学の融合のような技術が広く使われていて、それなしでは生きられないほどである。
エレベーターが段々上昇し、窓から外が見え、アリシャを含む孤児院仲間が一斉に騒ぐ。
まあ、俺は東京タワーとかも登ったし、あんまり感動はない。
「ここでは、エスカリア王国全体の防衛、行政、司法.....その全てを部門に分けて総括して行っています。あ、到着しました。ここ2階では————」
皆が一斉に廊下へと溢れ出る。
俺は孤児院のお姉さんと、案内係の......サーシャ王女だっけ?
の目をかいくぐり、廊下の影へと身を躍らせた。
折角中に入れたんだ、中を伺うとしよう。
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