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【不定期更新】異世界に転生したけど、思っていたのとなんか違う  作者: 黴男
第三章 英雄と愉快な仲間編
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第八話 でゑと

「あの」

「言いたいことは分かるよ、お姫サマ」

「はぁ…」


俺らが暴れまくったせいで第3エスカリア周辺から空賊が粗方撤退して、帝国軍も引き上げ始めているのだそうだ。


「メディアも大騒ぎですよ、空を駆ける謎の巨艦、ばたりと途絶えた空賊の襲撃」

「変だな、王都周辺を飛ぶ時はステルス状態だぞ」

「偶然魔力嵐の中を飛んでいたAVALONを同じく嵐の中にいた記者が捉えていましてね」


ああ、なるほど…

魔力嵐の中ではAVALONも推力以外の装置を落として誤作動や暴走を防いでいるから丸見えなんだよな。


「この写真…」

「はい、撮影されたAVALONです」


雷雨の中、半分雲に隠れたAVALONが空を飛んでいる写真が電子書籍の記事にデカデカと載っていた。

そういえばなんでAVALONという名前にしたかというと、空飛ぶ都市みたいな戦艦だからである。

浮遊都市に比べれば鼻で笑われるサイズの都市だが、この世界で最も安全かもしれないしね。


「とにかく、私の言うことを聞いてください」

「あ、今から帝国軍を追撃するんだけど」

「話、聞いてましたか?」


AVALONにはまだまだ未登場の兵器が沢山積んであるし、更に俺のグレェェェィトな潜空艦が完成したのでそれで敵をボコボコにしたい。

特に帝国軍はボロボロにして、一人ずつ機兵のアームで引き裂いてやりたい。

アリスの怒りはまだ消えてねえからな。




「あっ、ユウキ!」

「よぉ」


王宮を出たところで、アリシャと会った。

アリサじゃダメなのかと言ったこともあるがアリシャじゃないとダメな女の子だ。


「最近どこに行ってるの?」

「ああ、ちょっとな」


アリシャは俺の胸元の勲章を見つけたのか、驚いた声を上げた。


「こっ、これって…!」

「ん? ああ、つまらないものだよ」

「でもっ」

「ちょっとゴミ掃除をしたらお姫様がくれたんだよ、さあ行った行った」


嘘は言ってない。

が、手を掴まれた。

こうなるといくら俺が人外の膂力でも抜け出せない。


「何だよ」

「私もついてく」

「ダメ」

「ダメじゃないもーん」


しょうがねぇなあ…

適当なところで撒いても良かったが、幼馴染を裏切りたくはない。


「アリシャ、俺の秘密を教えてやる」

「ほ、本当?」

「誰にも言うなよ」

「勿論!」


俺は鼻歌を歌うアリシャを先導しながら都市の外縁部に向かう。

アリシャは時折俺にちょっかいを出しつつ、俺を信じてしっかりついて来てくれていた。


「ここを降りるぞ」

「えっ、ここ降りれるんだ…」


錆び付いてボロボロの階段を下り、都市の下部まで降りた。

顔馴染みの《外民》と呼ばれるストリートチルドレンに挨拶しつつ、さらに下へ下へと降りていく。


「ねぇ、ここは何なの…?」

「エスカリアが管理を放棄した都市下部エリアさ」


流れ者の終着点でもあり、半分スラムと化している。


「レッジ、通るぞ!」

「好きにしてくれ…あ、100エスカル持っとるか?」

「はいよ」

「ありがてえ、これで煙草が買えらぁ」


レッジと呼ばれたジジイは俺の投げた銀貨を手に踊り狂っていた。

アリシャはレッジを信じられなさそうな目で見て、次に俺を見る。


「先生は、エスカリアは幸せな国で不幸な人なんて居ないって言ってた。けど、ほんとはそうじゃないんだね」

「光があれば影は生まれる…不幸な人間がいない国なんて、どこにも無いんだよ」


それに、何を幸せと捉えるかにもよる。

風土病や衛生の悪さで人が次々に死んでいく中、自分が生きていることに幸せを感じる人もいれば、

金を稼ぎ豪華な家に住み豪華な食事を腹一杯摂ることを幸せとする人もいる。

レッジ爺さんだって、自分のことを不幸だなんて1ミリも思ってないだろう。


「このドアは…?」

「ここが俺の秘密だよ」


俺は魔力認証でドアを開け、先にアリシャを中に入れる。


「まっくらだよー?」

「今灯りをつける」


俺はスイッチパネルをぶっ叩いて魔灯を点灯させた。

室内が明るくなり、内部が露わになる。


「う、わぁああああああああ…!」


アリシャが驚いている。

この反応が見れただけでも連れてきた甲斐があったかも。

元々は俺の隠れ家だったこの場所は、内部改装を経てとある目的のための秘密の部屋に代わった。

その目的のためのコンバーターやサーバー、エネルギージェネレーターが置かれているため、非常にカッコいい感じになっているのだ。


「さ、アリシャ…こっちに来てくれ」


俺はアリシャの手を取り、部屋の中心の穴の上に吊られたゴンドラの上に立った。


「これは何なの?」

「まあまあ」


不思議そうに首を傾げるアリシャをゴンドラに乗せ、俺は装置を起動する。


ギュウウウウウォォォォォンンンン!


そうとしか形容のできない音が響き渡り、コンバーターから魔力の震えが発生する。


「一体何が起こってるの!?」

「よーっし、異次元の旅へと出発だ」


俺は駆け寄り、ゴンドラのそばのレバーを倒してゴンドラに乗り込んだ。


ギ・ギ・ギギキィィ…


ゴンドラが軋みながら、ゆっくりと下へ降りていく。


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