第五話 帰還
短いですが今日分は終わりです。
「いやぁ助かった...」
「作戦のついでだから問題無いよ」
「そりゃあよかった...一体何を要求されるか分からなかったからねぇ」
「報酬はお姫サマに請求するさ」
流石に俺も貨幣を造るのは抵抗がある。
こういう所はズルせず正攻法で行こう。
「しっかし、こいつは戦艦だろう? 何で内部に将校の宿舎並みの風呂がついてんだ?」
「事情があるだけだよ、隊長サン」
「お前さんみたいなのが艦長やってる船だものな、詮索はしねえよ」
隊長は笑って言う。
「とりあえず、今日は休んだらどうだ? メシも食ったし汚れも落とした。けど疲れは消えてないだ
ろ?」
「......ガキに心配される日が来るとはな」
隊長は困ったように言う。
成長する魔術とか無いもんかねぇ...子供の姿だと不便でしょうがない。
「...とりあえず、お前さんの忠告通り今日は寝ることにするよ」
「仲間達に宜しく」
「ああ」
それだけ言って隊長は居住区に向かって歩いて行った。
ブリッジに登ると、全員が席に座っていた。
エリナは食堂で淹れてきたのかコーヒーらしき何かをコンソールの横に置いていた。
「エリナ、次から蓋つきカップで飲んでくれ」
「おおっと、零したら大変ですからね! 意識が足りませんでした」
「ミスで倒すのもそうだけど、ここ戦艦の艦橋だからな...」
慣性制御らしきものは働いているようだが、スタンバイ状態で待機すると維持できないようで急な
衝撃や角度変更には対応できない。
「アリス、現在の状況は?」
『外気温、2°C、湿度73%...艦内温度18°C、湿度38%、居住区の温度は23°C、湿度40%に保た
れています。次に、装甲の状態をお伝えします』
「うん」
アヴァロンは超巨大だが、同時に空飛ぶ要塞としての機能も持っている。温度湿度の管理など造
作もない。
『基地からの対空攻撃は全て魔導防壁により無効化されました、全体装甲に異常はありません』
「おおう...」
魔導防壁がチートすぎる。
それというのも魔導防壁のジェネレーターがこの星の最高技術で作られている事もある。
消費魔力からして本来は超大型の都市に配備されるものなんだろう。
『隊長にセキュリティライセンスレベルFを付与しています』
「ああ、知ってる」
SからGまであるレベルだ。
艦内施設に入るために必要なレベルで、レベルによっては入れない区画もある。
Fなら共通区画は全て入れるはずだ。
俺とアリスはS、エリナはレベルAだ。
どういう違いかといえば最重要区画に手続き無しで入れるのが俺たちで、入れないのがエリナだ
な。
『最後に、エリナ様が全武装使用許可を出したので実体弾の残数が少し減りました、詳細は艦長
席に転送しましたのでご確認ください』
「分かった、ありがとうアリス」
『はい、ユウキの役に立てるなら』
俺は艦長席に座り、モニターを空中に投影する。
ふむ、減ったのは100発とかその辺か。
俺は艦内工場に補填命令を出しておく。
あとはオートで作ってくれる。
「エリナ、第三エスカリアまでは?」
「はいっ、現在の速度なら2時間後には」
「日が暮れちまうな...よし、最大戦速!」
「了解ですっ!」
雲の流れる速度が速くなり、AVALONはエスカリア向けて翔んだ。
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