第六話 姫のお叱り
また五話上げます
「あのですね、こういうことするときは事前に言って欲しいのですけれど」
俺はお姫サマに怒られていた。
あの後そのまま戻ったら、国籍タグのない超巨大戦艦襲来! ってそのまま大騒ぎになったのだ。
当然対空砲をバカスカ撃たれるわ、通信でガキじゃなく艦長を出せと喧嘩になったり大騒ぎだった。
結局魔導機関をアクティブにしたままエスカリアに横付けし、OSに搭載されたオート制御でエンジンを任せて出てきた。
「それでしたら首輪をおつけになったらいいんじゃないですか? それとも忠実な番犬を置くとか」
「エルミアは渡しませんよ」
「番犬の自覚はあるんですね」
俺はエルミアとは一言も言ってないけどね。
後、俺に付けられる首輪は孤児院くらいしかない。
手を出した瞬間AVALONの決戦兵器でエスカリア王宮を吹っ飛ばすけど。
「あなたを御す方法とかあるのですか?」
「知りたい?」
俺はやりたいようにやるだけだ。
まずは仲間を守りつつ帝国を滅ぼす。
その為には…
「もうちょっと船作るか…」
「さっき言ったこと、聞いていましたか?」
再びお姫サマに怒られる。
やだなぁ、今回はバレないように亜空間に潜航できる潜空艦をパパッと40隻くらい作るだけだぜ?
「それと、そんなに王家に隠れて何かやりたいのなら…何をしても目は瞑るので一つだけ条件を飲んで欲しいんですが」
「ん? 今何でもって」
「————良識の範囲内で、です!」
「…で、条件って?」
別にいいんだぜ、孤児院のことを持ち出しても。
リモートで俺の船の砲撃システムがオンラインになるだけだ。
「あなたの船、どう考えてもクルーが足りていませんよね?」
「クルーならロボットで充分だし、人がいなくても回るようになってるよ」
俺の船の中に軍人を入れるのだけは許容できないな。
頑張って作った船だし…壊されたり汚されたりしたらエスカリアを吹っ飛ばしてしまうかもしれない。
「…艦橋は? ブリッジの人員は足りているので?」
「アリスを小型化したからアリスを接続して賄ってる、生体脳を使っているが充分な性能の思考回路持ちだ、船中のシステムを管理できる」
アリスはかなり頼りになる存在だ。
俺の提案に即答してくれて、小型化も受け入れた。
元のボディは現在エスカリアの下部の秘密基地跡に収納されている。
船に何もかも移したから、ガラガラになっちゃったんだよな。
一応重要そうな部分を修復可能なレベルで破壊しておいたし、何かあればすぐ使えるはずだ。
「…副艦長や、戦略アドバイザーなどは…?」
「艦長は俺一人でいいし、ウチの船に戦略は必要ない」
堅牢にして無敵な空飛ぶ要塞だ。
射程距離外に出られると面倒だが最大速度で亜光速ギリギリまで近づけるしまずい撃ち漏らしをしても大丈夫だ。
「お、お願いです、貰ってください………」
「お姫サマは必要ないんだが」
「ひ、酷いです!」
ついにお姫サマはさめざめと泣き出してしまった。
涙は女の武器だが、わざとだろうと自然だろうと、泣かれるとやっぱり心に来る。
「……副艦長になら」
「ぐすっ…良いんですか?」
これ自然なのか演技なのか分からねえな…
先日の態度はどこに行ったんだってくらいにコロコロ変わる人だ。
「ただし…こちらも条件を出す」
「ふぇ…な、何ですか?」
何とか条件を呑んでもらったお姫サマ、サーシャ・エスカリア、その彼女に鬼畜な俺様、ユウキが告げた示談の条件とは………
「それなりに偉い人で、要求が少なくて、こちらのやる事に意を唱えない人だな」
「…意を唱えないのではストッパーの意味がないではありませんか」
「そちらとはいつでも連絡できるようにする」
「はぁ………分かりました、条件に合う人材を探します」
お姫サマはめっちゃ疲れたような顔をして頷いた。
俺はお姫サマに悪いとは思いつつ、今晩泊まる場所について考えていた。
本当は美味しいご飯(夢にまで見たカップ麺、何故か食料倉庫に戦闘糧食と一緒に入っていた)と大浴場(魔導機関の余剰魔力で水を生み出し、余熱でお湯を沸かす贅沢な設備)があり、自分の部屋があってベッドもあるAVALONに泊まりたいのだが、
今日は孤児院に帰らないと心配掛けちゃうからな。
そうしよう。
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