第二話 お姫サマとのご対面
翌日、俺は出頭命令を受けて王宮前まで来ていた。
そういえば、俺が使ったバイクの持ち主は死んでしまったようで、返しに行ったら遺族が俺に使ってくれと所有権を譲渡してくれた。
幸いどうやって運転できたのか等は聞かれずに済んだ。
今日はそれに乗って王宮前まで来たのだが........
「あら、こんにちは」
「こんにちは」
俺は受付前で受付嬢に絡まれていた。
「ボクくん、どこから来たの? 親はどこ?」
「いや俺は、出頭命令を受けて........」
「へえ、ボクくんすごいのねー、お父さんは何処にいるの?」
ダメだ、全く本気にしてくれない。
傍から見れば俺って洟垂れ坊主にしか見えないんだよな。
俺は腕時計型のデバイスを操作して、空中に印章を投影した。
「ッ———これは!?」
「ね、本物でしょ、通してくれない?」
「どこで手に入れたの!? 分かる、キミはまだ子供だから分からないかもしれないけれど、このマークを偽造することは違法なのよ!!」
「いや、だから本物————」
俺たちが揉み合っていると、そこに全身アーマーに身を包み、フルフェイスヘルメットを着用した性別不詳の誰かがやって来た。
恐らく、王国で流通している魔導アーマーだな。
だけど、露出している魔石がデカい。
人工魔石だとああはならないから、ひょっとして偉い人かもな......
「おい」
「ああ、すいません、エルミア様!今すぐこのガキを摘まみ出しますねごぼぉ!?」
あ、殴られた。
もしかしてかなり暴力的な人間なのだろうか。
俺は近づいてくるエルミアとかいう奴に備える。
「————お前がユウキか」
「そ、そうですけど......」
「お前のことは姫様から聞いている、来い」
「あなたは........?」
「私はただの王宮騎士団長だ、よろしく」
よろしくと言いつつ、こちらを振り向きもしないエルミア。
それに、団長自らが迎えに来るほど俺に価値はあると判断されてるのか?
俺たちは、見学で通った順路を通り—————
「ここから先は王族の領域だ、言動と行動に気を付けろ」
「分かりました」
見学では入れなかった場所に足を踏み入れた。
特に空気が変わった感じはしないが......途端に音が消えたな。
「こっちだ」
「はい」
エルミアに従い、入って三番目の通路を曲がる。
その先に、エレベーターがあった。
俺たちはエレベーターに乗り、上の階を目指した。
狭いエレベーター内で、俺とエルミアは無言を貫く。
———意外とこのエレベーター、長いぞ!?
「———エルミアさん」
「何だ」
「そのフルフェイスヘルメット、取らないんですか?」
「貴殿のようなガ........子供に見せられるような顔ではない」
「そうですか........」
無理ならばしょうがないか。
俺は諦めて、エレベーターの増えていく階層表示を見つめる。
「.....それより貴殿」
「何でしょう?」
「貴殿が姫様に呼ばれるほど価値のある人間には見えん、年齢の割りにしっかりしているとは思うが.........差し支えなければ、理由を教えてくれないか」
「あー.......大したことじゃないですよ。姫サマが勝手に誇張してるだけだと思いますし......俺自身は大したことはしてないんですよ」
俺自身はほぼバイクか機兵に乗ってたもんで、全然疲れてないし。
「…言いたくない訳か、子供の癖に随分と苛立たせてくれる」
「そうですか」
俺は無視して前を見つめた。
数秒後、エレベーターは停止し扉がゆっくりと開く。
「この先が謁見室だ、服装を正せ…ボディチェックは例外の為行わん」
「行わないんですか?」
「して欲しいのか? それに、何をするつもりでも私が数秒で鎮圧する」
「さいですか…」
このフルフェイスのコワモテが鎮圧と言うと、非常に説得力がある。
俺は少し乱れた服装を正し、扉の前に立つ。
扉の横につけられた魔導スキャナーが俺とエルミアをスキャンし、敵意の有無と認証を行う。
そして、扉が開いて・・・
「こんにちは、何日かぶりですね」
「ああ、こんにちは」
扉の先には、お姫サマが立っていた。
形式ばったことは無視するつもりのようだ。
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