第十話 新たな決意
デカブツが機能を停止し、両手をだらんとぶら下げて静止する。
これで、もう破壊行為は起きない。
俺は後のことを全て軍に任せることにし、機兵に乗って下へと降りようとする。
その時.........
《———————て》
「ッ!?」
どこからか、声が聞こえた。
ノイズの混じったその声は、確実にある場所から発せられていた。
俺はそれを、本能で理解した。
《——————けて》
「お前........機械じゃないな?」
俺は振り向き、停止したデカブツのアイカメラを覗き込む。
無機質な瞳だ。
けれど、俺の眼はその中で輝く、一つの意思を感じ取っていた。
《たすけて》
「............お前は、その中にいるのか?」
《———うん》
そして、俺は真実を知った。
敵対する帝国、その帝国が犯した禁忌を。
少年が、降りてくる。
街を襲っていた大型機兵が、その掌に少年を乗せゆっくりと地面へと下ろす。
少年はそのままその場を去ろうとするが..........
「待ってください」
「———ッ、何ですか、王女サマ」
「その王女様などという見え透いた敬称は要りません、私のことはサーシャ、そうお呼びください」
「......サーシャ、これでいいのか?」
「はい、それでいいです」
どうして私が、王女と呼ばれるのを嫌がったかは自分でも分からない。
けれど......
「私はあなたを絶対に逃しませんよ」
「言われなくとも逃げたりしねえよ」
———嘘を。
さっきこっそり去ろうとしたでしょう。
「それで、ユウキさん?」
「ん?」
「先程あなたがやった事.........説明してくれますよね?」
「アリス!来い!」
私が問い詰めると、少年は突如叫ぶ。
仲間がいたのか、と私が周囲を見渡していると、静止していたはずの大型機兵が動き出す。
危ない、そう言いかけた時大型機兵が変形する。
アイカメラを前面に、まるで昔存在したという龍のような形を取り、こちらに向かって飛来する。
「よーし、アリス!俺を乗せてくれ!」
私が目を瞑った時、そんな声が聞こえた。
私が恐る恐る眼を開けると、変形した大型機兵に乗ったユウキが、都市の向こうへ消えていくのが見えた。
「こ、こらーーーーー!逃げないでください!」
しかし、その声は届かずユウキは都市の外へと消えていったのであった......
「ふー、ここなら多分バレないかな」
エスカリアは巨大な人工浮遊島だ。
つまり、下の部分があるわけだ。
俺はそこの一部を改造して、秘密基地を作っていた。
かなりの広さだが、ちゃんと他の設備とぶつからないように作ってある。
俺の自信作だ。
更には、俺の能力で作り出した設備が大量にあったり、
拿捕した帝国の船から奪った物資が備蓄してある。
「アリス、居心地はどうだ?」
《—————ユウキが住んでるなら、どこでもいい》
「そっか」
別に俺はここに住んでるわけではないが、まあ訂正する必要も無いだろう。
しかし................
「帝国の奴ら、絶対に許さねえ」
《怒らないで———》
アリス........つまりあの大型機兵だが、
帝国の決戦兵器だった。
王都を襲撃するために、ありとあらゆる機能を持っており、
サイズの拡大、縮小も大きさはビルと同じくらいの大きさまで、小ささは最小で俺の身長の5倍くらいまで縮められる。
だが、一番俺が許せない機能の一つ、それは.........
「生体脳を使うとはな....それも、動物の脳ではなく人間を、生身の人間を—————」
《わたしは孤児だったから——————皆、私が居なくなっても困らないから————》
アリスは手を振って必死に弁解するが、
孤児だったからと体のいい機械の部品にされたのだ、もっと怒ってもいいはずだ。
「何も悪い事をしてない人間を、自我を持たせたまま機械で縛って部品として扱う—————正直、一線を越えてるぜ」
アリスの性格からしても、仮に機械に何か起こったとしても帝国に叛逆しない人間を用いている。帝国の性格がよく分かる。
俺は冷蔵庫から取り出したパンを齧りながら、必ず帝国は潰すと心に誓った。
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