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そうだ、神棚を作ろう。

帰宅した私は殆ど自然に、そう思った。


私に信仰している神はいない。

故に家には神棚と呼べる物は無かった。

どんな推しが居ても、まつるという感情までは湧いてこなかったのだ。

その推しがべる世界でいつくしむことが出来れば、それで充分だった。


私は我が家の内に、神棚に成り得る場所を探した。

その場所は清潔で湿気が籠もらず、かつ日光の当たらない場所でなければならない。

だがうろうろしながら、既存の家具や設備では納得のいく神棚が出来ないことがわかった。

かと言って、本棚に入れるわけにはいかない。

そんなものに、私のこの気持ちは納まらない。

そう、この感情をおさめる……。



そうだ、聖櫃せいひつを作ろう。

私は、殆ど自然にそう思った。


聖櫃、それは特別な箱。

かつてモーセの十戒をその内に納めた契約の箱。

私はその神聖な箱を、我が家の内に追い求めた。

だが見つかったのは、段ボール製の箱ばかり。

BOOKOFFやAmazonと書かれたそのかみの箱は、手に入れた本を納めるには相応ふさわしく無かった。


打ちひしがれた私は寝台に腰を掛け、寝台脇の台に置いた本屋の袋を眺める。

購入してから三日が経とうとしている。

私は十指を組み、主上に詫びた。

お迎えする準備が足りなかったことではない。

私がここでこうやって右往左往する、その気持ちしか主上に捧げることが出来ないことを。

もちろんそんなもの、主上は望んでいらっしゃらないことは分かっている。

主上は、主上を待ち望んでいた民の為にこうして物語を書き続けている、高潔なお方だ。

私の行動など、私の自己満足にしか過ぎない。


もっと主上に感謝を捧げたい。

もし続きが無かったとしても、無論文句などない。

この世界を作ってくれてありがとうという気持ちしか無い。

そこに、こうやって、二冊の本を送り出してくれた。

感謝してもし尽くせない。



そうだ、もう一回買おう。

私は殆ど自然に、そう思った。


インターネットで買うべきものを検索する。

もちろんすぐに見つけた。

そして私は、信じられないものを目にする。


小野主上の新刊。


さ、三巻に……よ…四巻……だと……?





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