可愛い過ぎる私の婚約者 婚約者とアイスキャンディー
私の婚約者は、可愛い。
青銀の髪と深い青の瞳。
その髪と瞳の色から、『寒月の姫君』の異名を持つ美しい女性だ。
そして、珍しい異世界の前世持ちである。
今日は、彼女が久々に私の私室に遊びに来る。
まあ、私が来るように手紙を出したのだが。
権力は、有効に使わないとね。
で、今は、彼女と食べるオヤツを作っていた。
残念男に魔法で氷を作らせ、作った専用の容器にいれる。
温度を下げるためだ。
その上に専用の皿を乗せ、果汁と蜂蜜を入れ、ヘラで満遍なくかき混ぜる。
果汁が氷になり、シャーベットというものが出来る。
ここまでは、彼女が教えてくれた果汁氷の作り方だ。
容器に果汁を入れて凍らすよりも、こうやってかき混ぜながら、氷にした方が、硬く凍らず食べやすかった。
『一手間がより美味しくなる』
その通りだ。
今回は、その果汁氷を応用する。
果汁氷を筒に入れ、筒の中央に棒をさし、氷の中に入れておく。
違う味を一本ずつ作っておく。
アイスキャンディというモノらしい。
アイスは氷、キャンディは飴ということらしい。
「おみえになりました。」
彼女が入ってくる。
やっぱり私の色のドレスが、よく似合っている。
うん、誰にも見せたくないね。
もうこの部屋に閉じ込めておこうか。
「お招きいただき、光栄に存じます。」
そんな堅苦しい挨拶は、無しにしたいけど、彼女の立場が悪くなるからね。
前世持ちの差別は無いはずなのに、まだ彼女との婚約を反対している者たちは多い。
もう婚約しているのに認めないって、どういうことかな?
彼女の粗を探して、必死に破棄に持ち込もうとしているよ。
痛い目見せなければ、分からない?
見せしめは、どの家にしようか?
ああ、彼女が来ているんだ。
そんなことより、彼女と楽しむことが、優先だ。
時間は、有限だから。
「アイスキャンディを作ってみたんだ。」
どちらを食べるか聞いて、筒から出して皿に置く。
うん、上手に出来ている。
二人して溶けないうちに食べ始める。
「シャル、食べてみる?」
私が噛った面を彼女の口元に持っていく。
だから、ワザと違う味にしたんだ、これがしたくて。
彼女は、目を白黒させて、殿下と泣きそうな声をあげたが無視をする。
「美味しく出来たから、食べてみて。」
彼女は、オズオズとまだ噛ってない場所に小さく口をつける。
うん、可愛い。残りは、私が食べるんだからね、何処でもいいから、口をつけてくれたら、いいんだよ。
出来たら、本当に出来たら、私が噛った場所が良かったんだけど。
「シャルのも味見させて。」
アイスキャンディを持つ彼女を手を掴んで、彼女が口をつけた場所にしっかり歯を立てる。
うん、やっぱり美味しい。彼女が口をつけたところは。
真っ赤になって固まった彼女にちゃんと声をかけるよ。
「早く食べないと溶けてくるよ。汚れたら、また綺麗にしてあげるけど。」
彼女は、真っ赤になったまま慌てて食べ出した。
何を思い出したのかな?
汚れたら、いつでも綺麗にしてあげるから、遠慮しなくていいよ。
どんな場所でも、ね。
隣は、寝室だし。
一生懸命食べる彼女に笑みが溢れてしまう。
彼女と一緒に食べるのは、楽しい。
食べ物が美味しいと感じる。
それに、棒に刺さったものを食べるのは、面白い。
庶民の食べ物として、流行らせよう。
貴族は、マナーとか色々言って、食べるのに難癖だけつけるから、面倒だ。
今回は、試食だから、彼女のマナーは、誰にも文句は言わせないけど。
ああ、アイスが溶けて棒を伝って、手が汚れてしまったね。
ちゃんと綺麗にしてあげるから、逃げては、ダメだよ。
うん、オヤツをアイスキャンディにしたのは、正解だった。
「殿下、お出しください。」
私は、残念男を見た。
これは、残しておいていいじゃないか。
私が握っているのは、彼女のアイスキャンディーの棒。
捨てるのは、勿体ないとは思わないか。
彼女が、口にしたものだよ、貴重な希少なモノだよ。
ずいと出されるのは、ごみ箱。
仕方がないと棒をごみ箱に捨てる。
「もう一本のほうも。」
うっ!バレている!!
さっき捨てたのが、私の棒だと。
大きなため息と共にもう一本のほうも捨てる。
残念男は、スタスタとごみ箱を持って部屋を出ていく。
私が拾わないようにだろう。
うん、捨てていいよ。
さっき捨てたのは、予備の棒だよ。
短編は、ここまでしか書けてません。