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空手少女に恋をした話

作者: 栄奈伊野

初めまして。初投稿となります。

初めての彼氏とはネットで出会いました。2回会いましたが性格だけでなく顔までブサイクでした。よく付き合っていたなと思います。電話したいと言って私の勉強を応援してくれないろくでもない男でした。彼のせいで部活も人間関係も台無しです。次に一年間片思いした男の子に告白しましたが発展しませんでした。彼とはとてもよい友達です。これからも仲良くしたいです。その次に好きになった女の子を花火に誘ったら家から出たくないと言われました。


報われない恋ばかりですが幸せです。


そんな私の初恋は女の子でした。

幼稚園時代に他の子に恋をしていたかもしれないけれどそんなことはどうでもいいのです。彼女を好きだったことは確かなのだから。


私の特別な青春時代の爪痕を残そうと、その試作となるエッセイです。

事実とは異なる部分は少なからずありますが、そうでない部分も含め、物語として楽しんでいただけたらと思います。

初恋の少女、志川の話をしよう。

彼女は頭と愛想は悪かったが運動神経がよくて、性格がサッパリしていて、背が高くて、空手が得意で、流行りのゲームが上手で、男子の中ではヒーローだった。

私は一年生の頃に彼女と出会ったが、二年生でも同じクラスになって、春に志川が近所のアパートに引っ越してきたのを地区会で知り、覚えていないが夏休みにはなんとかしてお互いの家で遊ぶような関係まで持ち込んだ。

毎日学校にジャージで来るような彼女の部屋には女の子っぽい一面がちらほら見られて、可愛いと言うとその度に「これは母が」と言い訳した。私は彼女をますます好きになった。



ところが三学期に入って、彼女は学年随一の問題児とつるむようになってしまった。

彼は山下と言うが、どうやら志川が私と遊ばない冬休みの間、二人は遊んでいたらしい。彼は無粋な発言で授業を止め、同級生の物を気まぐれで隠し、面と向かって悪口を言い、意味無く暴力を振るうような悪ガキだった。山下を信用する同級生はほとんどいなかった。

クラスは2対31の構図が出来上がった。

志川はいわゆる女子のイケメン枠に入りそうなスペックを持つが、女子の間に人望はなかった。志川が余りにも男とばかり遊ぶものだから、いつしか尋ねてみたことがある。

「麗花は女子とは遊ばないの?」

「あいつらはすぐ泣くから嫌い。泣いたら麗花がママに怒られるから遊ばない。」

即答だった。

私は志川の前で泣かないと心に決めた。

男達も、その時ばかりは沈黙を決め込み、志川たちの敵もしなければ諌める者もなかった。


志川の味方をするには、志川を山下から引き剥がすか、志川と山下の仲間になるしかなかった。

私が山下を嫌ったように山下も私のことをよく思ってはいなかったため、私と志川とはどんどん疎遠になり、私は一人になった。


問題行動を起こし続ける山下と志川にとうとう学年主任が痺れを切らし、クラス内の対立は深まっていく。

そしてある日事件は起こった。

授業参観の日の、午前中の事だ。


クラスメイトの一人が山下とトラブルを起こし、山下が彼に向かって椅子を投げた。

体格もよく少林寺拳法を学んでいた彼は無傷だった。

山下に反撃しにかかった彼に志川が掴みかかり乱闘が始まった。

見ていた数人は止めに立ち上がったが、体格の大きい二人のガチンコ格闘技なので止められるはずもなく、結局事態は先生に仲裁されて終わった。午後の授業では3人とも親が来ていて気持ち悪いほど静かだった。放課後、早めに親が帰ってしまった山下はもちろんこっぴどく叱られ、志川と少林寺拳法の彼は親といっしょに1時間ほど長く拘束された。


かくいう私も志川を止めに入ったうちの一人だが、彼女に「邪魔」と一蹴りされてあっけなくダウンし、見ていた優しいクラスメイトに輪の外に放り出された。


それ以降、私は志川に目の敵にされるようになり、険悪な関係のまま春休みを迎えた。

校内や登下校の際に時々顔を合わせるくらいで、昔のように遊ぶことも同じクラスになる事もなかった。

山下とは三年生でクラスが別れてからつるむところを見ていない。

卒業する前にどこかに転校していったからアルバムにも残っていないし、行き先も知らない。

女子とうまくやれない彼女が一人でいるのを見ると、そら見ろ私にしておけばよかったのにとよく心の中でほくそ笑んだ。


彼女と関わったのはほんの二年間だが、卒業後も彼女をことあるごとに思い出し、ありもしない思い出を勝手に作ってそれに浸った。


小学二年生の冬、腹に貰った有段者の蹴りの味はファーストキスの味の代わりに、高校三年生になった今でもしっかりと覚えている。

これは最近聞いたのだが、志川は毎年秋祭りの日に妹を連れてこの町に戻ってきているらしい。

以前と変わらずクールな長身という噂だが、この10年の間に彼女がどのような成長を遂げたのか、見てみたくもあるし、幻想のままで止めておきたい気分もする。しかし背も伸びず運動もできない見苦しい私を知られるのは恥ずかしくて耐えられたものじゃない。


ただ、もし向こうが私を見つけてくれたら、いきなり酒でも浴びせたりして、もう一度あの蹴りをいただいても許されよう。


秋が楽しみである。

この話どこが面白かったん?

志川と仲良くなるまでの流れなど、突き詰めたらもう少し面白くなったかも知れません。

とりあえず二度と書きません。

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