第一話「人生のサイシュウワ」
プロローグでお会いした方は読んでいただいてありがとうございます。
この話からお読みになった方は始めまして。
作者の独郎と申します。
今回はプロローグと第一話を同時に投稿しました。
合わせて約25000字、満足していただけると嬉しいです。
それでは記念すべき第一話「人生のサイシュウワ」をどうぞ。
結果だけ言えば彼女は俺のせいで死んだ。
彼女は俺が彼女の相談を断った後、下校途中に公園へと寄り道していた。
その時、銀色のワゴン車から現れた男達に車内に連れ込まれ誘拐されたという。
発見直後の彼女は衣服を纏ってなく、傷だらけで、
大きな火傷の跡もあったそうだ。
監禁されていたアパートには覚醒剤を使用するための注射器が三十本以上、タバコ、割れた酒瓶、シンナーの容器、あらゆるものがそこで起こった事の残酷さを物語っていた。
事件発生から二週間もの間、彼女の受けた仕打ちを想像すれば軽く人生十回分は自殺できる。
俺は死んで償うべきだった。
首吊りに始まり、飛び降り、リストカット、焼身、練炭、服毒、硫化水素、切腹…
ありとあらゆる自殺を試そうとした。
だが、その度に…
その度にっ!
また邪魔が入った。
いい加減にして欲しい。
自分の終わりくらい自分で選ばせてくれ。
結局俺は死ねなかった。
死ぬ「努力」さえ報われなかった。
死のうとすると誰かが来たり、用意していた道具が突然見つからなくなったりした。
もはや、俺の呪いはとても直接的なものに変わってきていた。
それこそあからさまな超常現象になってきているのだ。
そのうち自殺しようとしていた所を家族に見つかってしまった。
俺の精神状態を心配した親は俺を病院に連れていったが、
俺の精神は至って健康だった。
精神病なんか事件のせいで吹っ飛んだ、俺は純粋に責任を取りたかっただけなのだ。
日本の武士は責任を命で償ったと聞いたことがある。
なにも責任に命を使うなんておかしいことでも無いだろう。
こんな人生なら、早々に自分の為に使うのはやめにした方がいい。
これは危険で異常な考えなのだろうか、一般的にはそうなのかもしれない。
けど、俺は「普通」じゃない。
俺は誰にも理解されることがない、
異常な俺を分かってくれる奴は俺の周りにはいなかった。
身勝手にも俺は部屋に入ったっきり出てこなくなった。
社会にとってはクズ中のクズ、中卒ニートの引きこもり風呪い添えの完成だ。
こんなの社会のメニューにはとても載せられない。
それからの日々は俺の人生にとって久しぶりの堕落だった。
ニートになってからは暇な時間が増えたため、暇潰しを考えなくてはならなかった。
俺は折角だから、暇を潰す努力をしてやろうと考えた。
俺は小さい頃から好きだった漫画を中心に、
ライトノベル、アニメとのめり込むだけのめり込んだ。
いわゆる二次元オタクだ。
不思議なことに二次元についての知識に衰えはなかったが、
おそらく呪いの例外の一部だろう。
俺の呪いはなかなか適当だからな、よく言えば柔軟性があるとも言える。
この際そっちの仕事は出来ないかとも思ったが、
案の定俺には文才も絵の才能もなかった。
子供の頃から、漫画の落ちこぼれ主人公が努力を実らせ、才能のあるものを倒す話が好きだった俺は物語の中に報われなかった努力を求め、そういった話はないか探した。
しかし時代の求めるものは常に変わっていくのだ。
もう、物語の中ですら「努力だけ」なんて求められちゃいなかった。
俺の大好きだった努力はもう化石のような概念に成り下がっていた。
強くてニューゲーム、伝説の血筋、天才、棚ぼたチート能力。
みんなそれが前提として存在した上に努力があるのだ。
何も与えられていない凡人が敵う筈がない。
俺の求める凡人の成長期は時代遅れの象徴となり、
物語は才能至上主義になっていた。
そう、才能だ。
努力が実るには才能が必要、簡単な道理だ。
多分、俺には才能というものがこれっぽっちも無かったのだろう。
努力が報われるのは才能を与えられた一部の人間だけ、
物語も現実も凡人に厳しいのだ。
例えばRPGゲームにおいて小さな村にある男がいたとしよう。
人として生まれたのだから彼も色々とやりたいこともあるだろう。
しかし、その村人に与えられた役目は
村を訪れた旅人に村の名前を紹介し続けるというものだ。
例えその村が滅ぼされようと家族が魔王に拐われようとも彼の物語は始まらない。
その物語においてモブである彼には村が滅びるのを止めることは出来ないし、
勇者でもないから魔王を倒しに行くこともできないのだ。
村の名前を紹介し続けることが物語の中での彼の役割だ、
物語は彼のために作られているのではないのだ。
物語はほんの一握りの圧倒的な才能を持つ主人公が活躍するために存在している。
与えられるものと与えられないもの、
現実でも物語の中でもその差は変わらないのでは無いだろうか。
俺はたった一つの才能も与えられず、運命に嫌われて生まれてきたのだろう。
そう考えるともう全くと言っていいほど努力をする気は起こらなかった。
いくら努力しても才能がなければどうしようもない。
もう努力なんてしてやるものか、なにせ絶対に報われないのだ。
そんな考えを持ったまま、今日まで過ごしてきた。
思えば今年で26歳になる。
引きこもりは20歳で卒業し、
日雇いのバイトを探し回って小銭を稼いでは家に納めていた。
正直いって俺一人分の生活費にはほど遠い金額しか稼げていなかったが、
そうでもしないと無駄な責任感で成り立った俺のガラスのハートは
粉々に砕けてしまうところだった。
最初は親に養われて一生暮らそうかと思っていたが、数年と持たなかった。
俺に親の脛をかじって暮らすことはとてもストレスがかかることだったのだ。
とはいえ本来であれば俺の年齢なら働き盛りのはずだ。
早ければ結婚する年齢だし、
大人として社会にも親にも貢献しなければならないのだろう。
そしてある日、両親が事故で亡くなった。
俺がアルバイトに行っている間に交通事故で二人とも逝ってしまった。
医者だった両親は莫大な財産を残していたが、
はっきりいって俺はそんなものに興味はなかった。
遺産相続なんてする気もなく、全部親戚にくれてやった。
それからは日雇いバイトを掛け持ちする日々だった。
もちろん辛さはあったが、昔の暮らしに比べれば天と地程の差があった。
むしろそんな状況が生活に緊張感を与え、
俺はギリギリで生きることに生き甲斐を持ってさえいた。
さすがにオタク趣味も止めたが、
忘れないくらい読み込んだラノベの内容を思い出すことはできた。
そんな少しは充実していた日々も二年そこそこで終わりを告げた。
ある朝、寝苦しさで目が覚めると部屋が燃えていた。
俺は慌てて外に飛び出した、今思えばそのまま寝ていても良かったと思う。
聞けば放火だったというが、特に恨みもしなかった。
別に恨んでる奴にやられた訳でもない、そもそも恨むなんて時間と体力の無駄だ。
家は完全に全焼、消防隊の方にはよく生きてたものだと驚かれた。
この時俺の中に俺は何かに生かされているのではないだろうかという考えが芽生えた。
こんなになってまで死なせて貰えないという事は俺には何か使命があるんだ。
もしかしたら俺はその為に生かされているのかも知れない。
そんな事を考えた。
まあ、少し遅めの厨二病である。
何も目標のないまま日々を生きるよりも
何か目標を持ったほうが生活にはメリハリが生まれる。
なので俺はいつ来るかも分からない自分の使命のために生きることにした。
とはいっても本当に財産は全て無くなってしまったし、
かといって誰かに頼る真似は出来なかった。
考えた末に俺は河川敷の大きな橋の下で人目を忍んで暮らした。
それからの主な主食は雑草と虫やミミズだった、
運が良ければ小魚なんかにもありつけた。
調理の知識もなく、ほとんど踊り食いだったからか
食事の度に口の中で命が砕けていくのを感じた。
最初の方こそその感触への拒否反応で嘔吐が続いたが、
何度もやっているうちに慣れた。
しょうがないことだと自分にいいきかせながら、
絶対に命に感謝することだけは忘れないようにした。
毎日のように、「頂きます」という言葉の意味が慢性的に心に響き続けた。
台風の後だったか、
どうしようも無くなってカラスと共にゴミ捨て場を漁った事があった。
漁っている途中に人に見られ、俺は慌てて近くにあったゴミ袋を掴んで逃げた。
手に入ったのは少しだけ残ったマヨネーズと幾つかのずぶ濡れの本だけだった。
やった後、俺はとてつもない罪悪感に苛まれた。
「やってしまった」と思った。
それでも手にした物は少なからず俺の生活を豊かにした。
ほんの少しのマヨネーズが食卓に文明を取り戻し、
久しぶりに人の食べ物を食べられた。
その時、生まれて初めて俺は調味料に感動した。
拾って来た本の中には、
分厚かったために運よく浸水を免れた国語辞典や数学の参考書が含まれていた。
毎日時間だけはあったのでずっと読み続けた。
もちろん次の日には読んだ内容は忘れていたが、
本を読むと精神はこれ以上なく安定した。
俺の呪いはろくなものじゃないが、何をしても飽きないのは良いことだ。
なにせ何度やっても初経験だからな。
やはり俺と努力は切っても切り離せない物だった。
そんな生活をして一年が経とうとしていたころ、久しぶりに人と話をした。
見た目は五十代程の優しそうな顔をした人だった。
身なりや雰囲気から、
彼が自分と同じような境遇にある人物だということは一目で分かった。
彼は三郎さんという名前だった。
彼には共に暮らす仲間がいるらしく、彼の知り合いから橋の下で一人で暮らすやつがいるとの噂を聞き、様子を見に来たそうだ。
彼らは住む場所を追われ、新しい拠点を探しているらしく俺の住んでいる所に空きは無いだろうかと聞いてきた。
俺が彼らがここで暮らす事を快く承諾すると三郎さんはとても喜び、
すぐに他の人を連れて来た。
彼の仲間は二人いた。
坊主頭が特徴的な義昭さんと割とがっちりとした体型の隆文さんの二人だ。
二人とも陽気で気のいい性格で俺たちはすぐに打ち解けた。
次の日の朝、俺が朝食を取ろうと河原の雑草をつんだり、
石をひっくり返してミミズを取ったりしていると、
後から起きた三郎さんは驚いて俺を止めた。
彼の話では都会の雑草は排ガスだらけで食べたらすぐ病気になってしまうし、
そもそもミミズなんかは人の食い物じゃないそうだ。
そんなわけでその日の朝は彼らの飼っている鶏の卵を食べさせて貰った。
四人で分けたため食べたのは本の少しだったが、
久しぶりに摂取したタンパク質は全身に染み渡った。
何とかして卵の恩を返したかった俺は日々ゴミを漁った。
罪悪感を恩返しという大義名分のもとに押し殺し、
血眼になって使えそうな物を探した。
そんなことを続けていると「もっといい方法がある」と隆文さんは言った。
隆文さんの言う「もっといい方法」とは廃品回収の事だった。
空き缶や鉄屑、週刊誌、使用済みテレフォンカードなどは良い収入源になった。
空き缶は1キロ程で80円に満たない程度だったが、それでも一週間で100キロを目標にすれば運のいいときは一ヶ月辺りで3万円強は稼げた。
毎朝日が上る前に行動を始め、夜は夜目が利かなくなるまで粘った。
いつしか俺は四人の中で一番の稼ぎになり、
卵の恩を返すことができるまでになった。
いつだったか卵のお礼として居酒屋のごみ捨て場でたまたま発見したガスコンロを使ってすき焼きをやったことがあった。
あのときは楽しかった、体もそうだが人とともに楽しむ食事は心を暖めてくれた。
ある年の元日、炊き出しでもらった雑煮を食べながら義昭さんは俺に自分は年金を納めていたから来年になれば年金暮らしができるのだと嬉しそうに話してくれた。
その年の夏の事だった、俺が空き缶集めから帰ると廃材にブルーシートを張った俺たちの家がぐちゃぐちゃに壊されていた。
家に残っていた三人は全身アザだらけで衰弱していた。
辛うじて意識があった隆文さんの話では十数人の高校生らしき集団に突然襲われたらしかった。
救急車を呼ぶため俺は公衆電話を探したが、
携帯電話が普及した都会に公衆電話は全くといっていいほどなかった。
やっとのことで電話を見つけ、三人は救急車で病院に搬送された。
幸いなことに三人とも命に別状はなく、一ヶ月ほどで退院できるとのことだった。
治療費だけが心配だったがそこは国が出してくれることになっているらしい。
病院からの帰り道、とりあえず皇居の近くと国会議事堂前に頭を下げてきた。
警備員の方には怪しまれたが、事情を話すと笑って許してくれた。
三人が帰ってくるまで俺は今まで以上に頑張って稼いだ、
三人の退院祝いをするためだ。
壊された家も再建し、自家発電機を導入、扇風機と小型の冷蔵庫も買ってきた。
充実した日々に、自分の呪いのことを忘れていた。
そうだ、こんなにうまくいくなんて本当はおかしかったんだ。
思えば朝起きたときに必ず感じるはずの呪いの感覚は消えていた。
三人の退院する一週間前、突如台風が日本に上陸した。
俺は台風に備えて家の補強を考えていたが、
川が増水したくらいですぐに台風は去った。
正午頃、昼食を終えて再び河川敷の空き缶拾いを再開しようとした所、
小さな子供の声が聞こえた。
声が聞こえた方を見ると川沿いの公園で小さな子供が遊んでいるようだった。
ついさっきまで台風だったというのに元気なことだ。
しばらく微笑ましくて見ていたが、子供たちが川に近づき始めた。
川は台風が通り過ぎた直後で増水していて流れも激しくなっている。
足を踏み外したら危険だ。
(ちょっと注意したほうがいいか…)
彼らがいる方向は逆だ、引き返さなくてはならない。
彼らが遊んでいる所の近くまで来たところで、出来るだけ大きな声で。
「今、川は危ないから近づくなよー」
と言った瞬間―――
「あ……」
川岸で押し相撲をしていた子供のうちの一人が、足を踏み外して川へと落ちた。
俺は考えるより先に体が動いていた。
脱げるだけ服を脱いで全力で駆け出し、川へと飛び込んだ。
飛び込んでから後悔した。
俺は泳ぎなんてできない、学校の授業でも度々溺れていた。
すぐに鼻に水が入り、あの独特のツーンとした感覚が不快感を煽った。
砂と泥の混じった水が体に当たって気持ち悪い、
徐々に体は沈み、川の流れによって流され続ける。
とりあえず浮くことを第一に考えて足を全力で動かした。
なんとか浮くことには成功したがそれはいたって効率が悪く、
急激に足の疲れが溜まっていく。
俺は本能的に流れに逆らわず、体力を温存しながら子供に近づいていった。
子供の方はまだかろうじて水から首を出して足掻いているようだが、
それも時間の問題だ。
やっとのことで子供の手を掴み、抱き寄せる。
俺の足はもう限界だった。
だが、まだなんとかなるはずだ。
俺は何度自殺しようとしても死ねなかった、何かが俺が死ぬのを邪魔していた。
ならばそれを逆手にとってやる、
俺はなぜか運命に生かされているらしいからな。
だがもう俺の体は限界、子供の方もかなり消耗しているようだ。
ふと気付くと、子供の着ていた上着が強い流れによって脱げそうになっていた。
それを一旦水から出し、なるべく空気が入るようにもう一度水に付ける。
小さい頃、風呂場でタオルを使ってやったアレだ。
まさかここで役に立つとは思わなかったが……。
空気を入れるために勢いを付けて沈んだため、
大量に水を飲んでしまったが気にしてはいられなかった。
砂が入ってもう目を開けているのも辛い。
上手くいった、上着はさながら風船のように空気を含んだ。
長い袖が絡まって少しは空気が逃げるのを防いでくれていた。
これなら大丈夫だろう、少なくともこの子供は。
既に意識が朦朧としている子供に最後の力を振り絞って水から顔を出し、伝える。
「これに掴まれ!絶対離すな!」
そういったつもりだったのだが、あまりハッキリとは伝わらなかったようだ。
子供は頷いたのだろうか、少なくとも彼の腕は空気の入った上着を掴んでいるようだ。
そう長持ちするものでもないので不安だが取りあえずはこれでいい。
それにしても死にかけた時には視野も広がるのだろうか、
遠くに何人かの人がが見える。
子供達の親だろうか、ともあれこれで助かった。
さて、いつまでも俺が掴まっている訳にもいかないな…
一旦離れて流されれば俺は多分何処かに打ち上げられるだろう。
俺が子供から手を離そうとした瞬間。
流れてきた丸太が俺の頭に直撃した。
気付くと俺は視界全てが真っ白な空間に居た。
自分の腕は見えるが、手を握っても手を握った感触はない。
(夢…か?)
夢にしては随分と意識がハッキリしていて不気味だった。
辺りを見回すと、遠くに何かチカチカと光のようなものが見える。
真っ暗な部屋でテレビを観ているときのような光だ。
(取りあえずあそこまで行ってみるか)
俺は光に向かって歩き出した。
やがて光の前に着くと光の正体が分かった。
それは見覚えのある川が流れる映像だった。
俺がさっきまで入っていた川だ。
同じような服を着た多くの人が、何かを探しているように見える。
しばらくして流れた映像に俺は驚愕した。
そこに映っていたのは水に浮いた「鬼」だった。
全身が赤黒く膨張していて俺の二倍はあるだろうか、角は無いようだ。
顔は表現するのもおぞましいほどグロテスクで髪はほぼ抜け落ちているが白髪が多いようだ。
その隣には小鬼だろうか……
さっきの鬼の半分位の大きさの同じような生き物が浮いていた。
その鬼たちが何かを探していた人達によって回収されている。
見たところ二匹とも死んでいるのだろうか。
鬼たちが回収された後、今度は別の映像が流れ始めた。
黒い服を着た人たちが何か集会を開いているようだ。
そんなに参加している人は多くない。
(誰かの葬式だろうか……。)
分かったのはその直後の事、そこに「現実」があった。
映像は俺の葬式のものだった。
(嘘だろ?)
(俺は死ねないんじゃなかったのか?)
そんな思いが頭の中を駆け巡った。
しかし、いつまで経っても現実に目覚めることはなかった。
(俺は……死んだのか……)
不思議と納得する答えだった。
それなら変に意識がハッキリしているのにも、体の感覚が無いのにも合点がいく。
三郎さん、隆文さん、義昭さん達が映像に映った。
三人とも涙を流している、そうか……彼らが葬式を開いてくれたのか……。
少しだけ心残りがあるとするならば彼らの退院を祝えなかったことだろうか。
しかし死んでしまうとは情けないことだ。
とするとさっきの鬼のようなものは俺とあのときの子供の死体か、
水死体ってああなるんだな。
まあ俺は元々死ぬ予定だったのだ、今更急に死んだとしても別にいい。
そう思えばそれほど辛いことではない、
社会から俺というクズが一人掃除されただけだ。
だが、子供に悪いことをしたな。
しっかり岸まで届けて最後まで助けるべきだった。
まあ、今更悔やんでもしょうがないことだ。
彼も俺も死んでしまったのだ。
もう彼のために死ぬことも生きることもできない。
そうするとここは死後の世界というものだろうか、
俺は宗教には関心がなかったので詳しくは知らないが
前に読んだラノベの通りだとすれば
やはり日本人は最初は三途の川を渡って地獄で閻魔様に会うのだろう。
しかし回りに川らしきものは見当たらない。
(探すか…やることないし)
それから俺は三途の川を探しに行くことにした。
死んだのだから俺は恐らく霊、もしくは魂だけの存在という感じだろうか。
それはともかく、この状態はとても楽なものだった。
体が無いから腹は減らないし、疲れも感じない。
おまけに進みたい方向に意識を向けるだけで進んでくれる。
おかげでかなりの距離を探し回れたと思う。
しかし、何も見つからなかった。
あの時見た映像以外はものといったものが全く見当たらない。
そのうち飽きてしまった。
俺はずっとこんな真っ白な世界で何も感じないまま、存在し続けるのだろうか。
少しは嫌だとも思えたが、同時に悪くないとも思えた。
これこそ十回分の自殺に匹敵する自分への罰ではないだろうか。
そのまま俺は生前読んだラノベの内容を思い出したりしながらそこに存在し続けた。
ある日、
いやある日というのもおかしいか。
ここでは時が進んでいるのかすら分からない。
まあ、とにかくある日としよう。
久しぶりに音が聞こえた。
初めは何かが落ちるような音の後にゲームの効果音のような派手な音が響き、
最後に鎖のじゃらじゃらとした金属音がした。
わりと近いな。
音のした方へ行くとそこには赤髪の男が遥か上から下がった鎖に繋がれていた。
「興味深いな、ここに何かが居るとは思わなかったぞ」
鎖に繋がれた男は俺を見て珍しそうに言った。
「あんたが閻魔様か?」
俺はここを死後の世界だと認識している、
日本人である俺があの世で最初に会うのは閻魔のはずだ。
次に口を開いたのは男だった。
「そなたは何者だ? 何故ここにいる。」
「俺は大神 佐助、三途の川を探している。
川で丸太に頭を打たれて気付いたらここにいた。」
「……それはおかしいことだな、ただ死んだだけではこんな所には来ないハズだが…。」
どうやら男は閻魔では無さそうだ。
なにやら考え事をし始めそうだったので、さっさと話を進めておくことにした。
「すまない、そっちも名乗って貰っていいか?」
「おお、そうであったな、これはすまなかった。」
「私は四元素世界人、
そなた達の世界で言うところの「運命」、もしくは「神」だ。」
神か、辺り一面真っ白なここはなんか神聖な所なのだろうか……
と言うことは天国か?
まあ、いろいろ考える前にしなきゃいけないことがある、
言葉による交友関係の構築には必要なことだとラノベに書いてあったことだ。
「まあいろいろ質問するのは後にして、まずあんたの名前を教えてくれないか?」
「別にいいが…案外驚かないものなのだな、そなたは神に会うておるのだぞ?」
「まあ、こんな所に来た時点で大概の事には驚かなくなったつもりだ。」
少しの間男は黙ったが、
それほど時間の掛からないうちに考えはまとまったようだ。
「そうだな私はヨンだ、四元神ヨンと読んでくれ。」
「じゃあ質問を始めてもいいか?ヨンさん、いやヨン様か?」
「別に信仰している訳でもない神に敬意をはらう必要もあるまいて、ヨンでよいぞ」
お互い自己紹介がすんだ所で質問の時間だ。
「じゃああんたは神と言ったが具体的に教えてくれ、あんたはどんな神だ?」
「私達四元素世界人はそなたらの世界、
つまりは三元素世界の上位に位置する次元の住民だ。」
「そなたらの世界をさながら紙に書いた絵のように作り替えられる超存在、
それが神だ。」
なるほど、彼が自分の事を運命と表現したのも頷けるな。
「じゃあ四元素世界とかってのはなんのことなのか教えてくれ。」
「簡単にいえば世界というものは4つ存在するのだ。
基本的に小さな数字を持つ下の世界を大きな数字を持つ上の世界が管理している。
一元素世界、二元素世界、三元素世界、四元素世界といった具合にな。」
そうか、大体分かった。つまり俺は世界の頂点に立つ存在と会っているんだな。
まったく、生きているうちに知り合いになっておきたかったものだ。
「もう質問はいいのか?」
「ああ、もういいよ。取りあえず当分は話し相手には困らなそうだ。」
「私はこんな所にいる場合でもないのだがな、
そなたの暇潰しには付き合えそうもない。」
断られてしまった、
まあ急ぐなら止めはしないがせっかくの話し相手と別れるのは惜しいな。
「しかし、この鎖が邪魔で何処にも行けそうにないのだ。
自分では外せないのでな。」
「そこでだ、もし外せたならば最高の暇潰しを提供しようではないか。」
それはとてもいい取り引きだ、俺に断る理由はなかった。
というのも、俺はとにかくここへ来てからはずっと暇だった。
ラノベの内容を思い出したり、
空間内では浮けることに気づいた時は自由に飛び回ったり。
死んだせいか呪いを感じなかったので頑張って生前の記憶を思い出したり。
色々工夫をこらして暇を潰して来たのだがとうとう最近ネタ切れ感が出てきた。
もちろん、現世への贖罪の期間だと捉えていたから楽しく過ごそうとは思っていなかったのだが…
俺も人間だ、どうしても暇なのは辛いのだ。
俺はこの取り引きを成立させるため、鎖に手を触れた。
すると鎖は音も出さずに消滅し、ヨンはその呪縛から解き放たれた。
「おお、助かったぞ大神よ。
早速だが少し確かめたいことがあるのだ、近くに来てくれるか?」
そう言われて俺は彼に近づいた。
彼は俺の頭に手を突っ込み、何かをしているらしい…ちょっと変な感じがする。
頭だけが生きていた頃の触覚を取り戻している、けっしていい感覚ではないが。
ちょうど頭の中をハンドミキサーでかき混ぜられているような感覚だ。
不思議と痛くはない。
「そういうことか…とにかくこれで合点がいった。」
俺の頭から手を抜くと、ヨンはなにかに納得したようだ。
「大神、お前に伝えねばならないことがいくつかある。」
「わかった。」
「お前は「被害者」だ。我々神の遊びのな…。」
「どういうことだ?」
神妙な顔つきでヨンは話を始めた。
「お前は才能がどうやって創られるものかは知っているか?」
「いや、知らないな。」
「端的に言えば、才能は人の努力から産み出されるのだ。」
「あえて表現するなら「我力」、
形という器に注がれ存在を構成する万能エネルギー」
「我力は人が努力する過程で生み出され、魂に蓄積される。」
「それを我等神は回収し、才能を創るのだ。」
「それでしばしば努力が報われないって人間が出てくると…」
「基本的には才能に見合わない高望みの努力や、
なんらかの要因で目的達成前に中断された努力等が使われるのだがな。
衰えるという感覚、ブランク、全て同じだ。」
「才能とは元々、人間同士に違いを持たせ、努力によって輝き、運命を覆す力となるものだ。」
「なにぶん神も暇なのでな、
自分が与えた才能で人が運命を覆すのを見せあうのはいい遊びになるのだ。」
少しだけ胸糞の悪い話だったが人間も同じような事をしているしな、
ラノベなんかまさにそれだ。
そうすると二元素世界というのは二次元のことになるのだろうか、
少しだけ行ってみたい気はするな。
「神の定めた運命を多少なりとも覆してしまえる努力と才能の存在は
神にとって面白きものでもあり、同時に恐ろしいものでもあった。
そこに目をつけた一人の神が禁忌を犯した。」
俺はただ静かに彼の次の言葉を待っていた。
そして彼は忌々しそうに話の続きを語り始めた。
「その神はも滅ぼす力を従えて他の神に宣戦布告したのだ。本来神は絶対に神同士で滅ぼしあうことは出来ないのだがその神は最強の才能で神を滅ぼす存在を生み出し、数多の神を殺した。」
「ちょっと待ってくれ、神が神を殺すのに意味はあるのか?」
「ただ今まで誰も出来なかったことが出来るようになったから試したいだけだろう。
それこそ殺せないものがいなくなるまでな。」
そんな理由で相手を殺せるものなのか、神というか子供みたいだな。
「神など本来そんな理由で動くものだ、常に己の行動に正当性を求めたがるそなたら人間には理解できないかも知れんがな。神は欲望に素直だぞ?なにせ全能でいてなお、暇だというのだからな。」
「そしてここからがそなたに直接関係ある所だ。心して聞け。」
ようやく本題らしい。
「神をも凌駕する才能にはそれこそ大量の人間の我力を犠牲にする必要があった。
「奴はそれを複数の人間から同時に努力を回収することで賄おうとし、
数にして約59億8000万人もの人間の努力を奪った。」
「……がどうしても才能の核となる我力が足りなかったらしい、
どうにも行き詰まってしまってある事を考えついた。」
「才能を産み出すための才能を作ったのだ。
それはつまりどんな努力も絶対に結果に結びつかない才能…」
「つまりは努力の全てが高純度の報われない徒労……つまり我力となり、
エネルギーとして貯蔵される「徒労の才能」を作ったのだ。」
そのこと聞いた途端、
まるでパズルの最後のピースがはまるように俺のなかである結論が出た。
「その才能を与えられたのが俺ってことか…」
「そうだ」
そうか、今まで呪いだったと思っていたこれは才能だったんだ。
俺のための才能ではなく、才能のための才能。
俺の存在は言わば発電機のようなものだったって訳か。
冗談じゃない。
俺がその才能のせいでどれだけ人に迷惑を掛けたと思ってるんだ。
親に! 教師に! チームメイトに! 医者に! 社会に! 彼女に!
俺にとって人に迷惑を掛けることがどんなに辛いことだか分かっているのか?
世界にとって俺みたいな人間がどれだけ邪魔になるか分かっているのか?
分かっていて俺にその才能を与えたのならば許してはおけない。
明確に何かに対する殺意が沸いたのははじめてのことだった。
「大神よ、これは素晴らしき偶然かもしれぬ、
そなたに復讐を誓う心があるならば私も力になろう。」
「あの神は恐らく全ての世界の生命を滅ぼそうとするだろう。
それを止められるのはそなたの努力だけなのだ。」
またとない素晴らしい取り引きだ。
これは暇潰しのレベルじゃない、新たな俺の目的となるものだ。
死者となった俺にこんな素晴らしい目的を与えてくれた神に敬意を払わないのはおかしいな。
「この力、喜んで御貸し致しましょう。これより私は貴方を信仰させていただきます。」
「協力に感謝しよう、神の人柱となった哀れな人間よ。」
俺はその日から宗教を始めた。
俺はその後もヨンに敬語を使おうとしたが、堅苦しいので止めろと言われてしまった。
こっちとしてはやめる気は無かったので頼み込んで許して貰った。
ヨンから聞いた話によれば俺達が今いるここは一元素世界で、時間の概念なども俺が居た世界と比べると恐ろしく早いものの、一応あるらしい。
調べてもらったところ、俺はここの時間で言えば千年は居たらしい。
ヨンにはこんな何も無いところでよく千年も居て精神がやられなかったものだと感心された。
当たり前だ、俺にとって精神崩壊するほどストレスのかかることといえば俺には人に迷惑をかけることだ。
ここには誰一人としていなかったから精神がやられるなんてあり得ないのだ。
また、俺の才能について詳しく分かったことがある。
俺の才能は努力をしても結果に繋がらず、結果に繋がる量の努力がその数値を遥かに越えても努力を凝縮し続け、才能の元となる我力エネルギーを高純度で産み出す才能だ。
敵の神、俺からすれば邪神となるそいつはその超過した努力を俺の意識がないうちに気付かれないように回収して、最強の才能を作っていたらしい。
しかし、体に関する変化は俺が気付く可能性があるので一度には出来なかったり、
俺が寝ないければ良いことに気付いたり、努力を辞めようとした時はやむ無く運命を操作して俺が抵抗できないようにしていたそうだ。
しかし、神が強引に運命を変えると神の介入によって変化した魂にその人間の運命に起こった出来事が定着し、魂が来世に記憶を引き継いでしまうらしい。
それを繰り返すと、だんだんと人は運命の拘束力に対して強くなっていき、それによって神の力への耐性を持った俺の復讐を恐れた邪神は、俺から必要な量の我力を採った後に俺の運命を操って殺し、俺の魂を一元素世界に飛ばしたそうだ。
少なくとも一元素世界に飛ばしてしまえば、俺一人ではどの世界へも生まれ変わることは出来ないので、俺が記憶を引き継いで生まれ変わることもなかったはずだった。
だがそこに予想外の要素が加わった。
邪神の魔の手から自分自身を封印して一元素世界に逃げ込んだ我が神ヨンの存在だ。
神であるヨンの力を持ってすれば俺をどこかに転生させることは簡単にできる。
だがもちろん問題はあった。
彼が自分自身に掛けた封印は、邪神からの追撃の目を逃れることができる代わりに
自分の神の力を大きく制限してしまうものだったということだ。
そのせいで俺はもといた世界には転生できない。
そもそも四元素世界の直下に位置する世界に俺を送り込むのはリスクが高いらしい。
これから行く二元素世界とはどんな所かヨンに聞いてみたことがあった。
「二元素世界ではより運命の拘束力が強い、運命に寄生しなければ存在自体が危ういのだ。台本通りに演技出来ない人形に存在価値がないのと同じようにな。」
とのことだった。
どうやらかなり運命が強い拘束力を持っている世界らしいが、
運命の拘束力が強いほど運命への耐性も早く付くらしい。
邪神の使徒である最強の才能を持つ者に対抗するためには俺の持つ徒労の才能が重要だ。
俺の報われずにオーバーフローした努力は強力なエネルギーを産み出す、
それをうまく使えば邪神の使徒と同等かそれ以上の力を手に入れることが可能だとか。
だが、そのエネルギーが才能に変換されてしまうと俺自身はそれを使えないらしい。
理由を聞いたが、ハッキリしていないことを話すのは嫌だそうで言葉を濁された。
その為、俺は二元素世界で神の使徒として人々の運命に介入し、
俺と同じ神の力への耐性を持つ仲間を増やさなければならない。
その仲間達に俺の才能から産み出された才能を使わせるのだ。
ここで俺の当面の目的が決まった。
1、神の力に抗うための運命への耐性を数回の転生で付ける。
2、神の使徒に対抗する才能を二元素世界での努力で獲得する。
3、二元素世界の住民の運命を変え、才能を与えて仲間に引き入れる。
大まかにすればこの3つが二元素世界で果たさなければいけないことだ。
大体の説明が終わった所でヨンがこう言った。
「ところで、そなたのその才能はこれからの旅において重要ではあるが
同時に邪魔な物でもあるだろう?」
「確かに、そうですね。」
それもそうだ、俺の才能は大きなエネルギーを産み出すがその反面、
何かを成し遂げるという時においては邪魔なものでしかないのだ。
なにせ結果に努力が反映されないのだから。
「そこでだ、完璧にとは言えないがそなたとその才能を分離してみようかと思う。」
「そんなことが出来るんですか!」
「まだ成功するかも危ういが、より事を上手く運ぶためには必要だ。」
そう言うとヨンは俺に向かって手をかざした。
一瞬、俺の体が光に包まれ、体から何かが抜け出た感覚があった。
そして俺の足下には小さな青い宝石のようなものが転がり落ちた。
「結果は…まずまずと言った所か。」
ヨンの顔は安堵の表情を浮かべていたが、同時に疲れの色も見えた。
「具体的にはどう変わったんです?」
「まず、結果としてそなたの努力の一部は徒労の才能の影響を受けなくなった。」
「おお!」
「しかし、それは常人の2割程度だ。」
この際、量なんてどうでもいい、報われることが重要だ。
常人の2割なら常人の五倍やればまともになれるということだ。
簡単ではないが、可能性があるだけで俺にとっては大きな一歩だ。
「この石は切り離したそなたの才能の一部だ、
これに命を吹き込み二元素世界の案内役としよう。」
そう言うとヨンは石に文字通りに息を吹き込んだ。
石が光を帯び、俺の近くに飛んでくる。
俺の前まで来ると、流暢な日本語で喋り始めた。
「初めましてマスター、二元素世界の案内役をお仰せつかりました…」
「…」
あれ、黙ってしまった。
故障だろうか。
「あの…なんと名乗れば宜しいのでしょうか?」
「俺に聞くの!?」
「そう言われましても…私まだ作られたばかりですので。できればお名前を頂戴したく存じます。」
俺が決めるのかと思いヨンのほうを見ると頷かれた。
じゃあ俺が決めるか。
声からすると女の子のようなんだが、どうしたものか…
生前は結婚していなかったし、子供もいなかったから人の名前なんて考えたことも無かった。
名前はずっと使うものだから由来がちゃんとしたのを付けてやりたい。
「お前性別とかは有るのか?」
「魂は女のもののようだぞ。」
「別にどんな名前でも構いません、甘んじて受け入れる所存です。」
ヨンが教えてくれた。
そして石はまた俺に要らぬ責任感を抱かせる。
いや、そんなこと言われたら尚更まともなのを付けてやりたくなっちゃうよ。
俺の才能だから俺の努力が貯まるものか、RPGで言うならEXPゲージと言った所か。
じゃあEXPゲージをもじって考えてみよう。
名字的なのはゲージ、そのまんまで良いとして……問題はEXPの読み方だな。
エクス……パ、エクスピ、エクスプ、エクスペ、エクスポ……
うん、エクスパがしっくり来る。
エクスパ・ゲージちゃん、これで行こう。
「お前の名前はこれから「エクスパ・ゲージ」だ」
「素晴らしい名前を下さってありがとうございます。」
歓喜の入り混じった敬語でエクスパが答える。
エクスパはその青い石の体をクルリと回して一礼した。
「では改めて」
「私はエクスパ・ゲージ、
マスターの二元素世界の案内役として誠心誠意励ませていただきます。」
こうして俺の案内役、エクスパ・ゲージが誕生した。
どうも俺のネーミングセンスは乏しいようだ。
どうだったでしょうか第一話。
最初からサイシュウワなんて言葉を使うのにはちゃんと意味があります。
死んだ時点で「大神 左助」の物語は一時的に終了しています。
アニメで例えるなら第一期最終回といった所でしょうか。
そして彼の新たな物語が始まります、それが最強チートのヒトバシラというわけです。
第一話を読んで思われた方も多いと思われます。
「半分プロローグみたいなもんじゃねぇか!」と。
ですがこれはこの物語の始まり、前回のプロローグは「大神 左助」の始まり。
そう思っていただきたい。
投稿ペースは不定期ですが、二週間に一つは投稿したいと思っています。
では、願わくばまた二週間後に……次の物語でお会いしましょう。