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親子二代の離婚  作者: あまやま 想
祖母の葬儀
6/70

辰雄の苦悩

 辰雄は寝室に入ってから、妻にばれないように息を整える。妻は明らかに何かを勘づいている。おそらく、この前の梅子の葬儀に岡川が来ていたから、それで小秋は何かを感じ取ったに違いない。


 このままでは岡川との関係を暴かれるもの時間の問題である。この日はたまたま桜がドラマを見るために起きていてくれたおかげで、小秋に突っ込まれなくて済んだが、もし二人っきりだったらと思うとぞっとする。間違いなく、追い込まれていただろう。


 それにしても動揺すると、どうして顎をしゃくってしまうのだろうか…。顎をしゃくらなければ、かなりごまかす事ができるとおもうのだが…。かつて、わざと意識的に顎をしゃくって、『木を隠すなら森』作戦を実施した事もある。しかし、女性と言うのは恐ろしくて、わざとやっているかどうかをすぐ見破るのであった。


 もう、小秋との関係はとうの昔に冷めきっていたが、だからと言って家族を壊すようなことはしたくない。今なら岡川と別れて、家族を守る道を選ぶこともできるけど…。


 しかし、辰雄に家族を守るために、岡川と別れるなんて選択肢はなかった。妻はもはや夫を夫として扱っていない。二人の子どもは父を父と見てくれていない。冬彦はまだ同じ男性なので、通じ合えるものがあるが…。小秋と桜は女性なので、時々同じ家族なのに全く別の生物のように思える時がある。


 やはり、男は女性の手の平で遊ばれる程度の存在にすぎないらしい。そんな家族でも守らないといけないか? 辰雄は思った。


 こんな家族なら、いっそのこと壊れてしまえばいいのに…。しかし、自らの浮気を引き金に壊れるようなことがあれば、その責任は全て辰雄に降りかかる。こんな不公平なことが許されていいのだろうか?


 少なくても全ての責任を辰雄一人が背負うべきものではない。これは小秋と二人で、もしくは桜と冬彦も含めた四人で背負うべきものではないだろうか?


 家族は誰か一人の犠牲の上で、他の人の幸せが守られると言うのはおかしいではないか。家族である以上、同じように義務を負った上で、同じように幸せを享受しなければいけない。それが辰雄の持論である。


 それでも辰雄は岡川と別れないといけないのか? 「家族」と言う名の生活安定装置を守るために…。こんなのあまりにも苦し過ぎる。最終的には「家族を守る」か「岡川を取る」のかの選択をしないといけないのだろう。二つを同時に手に入れることはできないのだから…。


 これは近代社会が、一夫多妻制とか一妻多妻制とかを否定して、誰もが平等に結婚できるように一夫一妻制を取り入れた弊害ではないか。


 とりあえず、明日の昼休みにでも岡川と会って、このことを相談してみることにしよう。そうすれば、何か良い考えが浮かぶかもしれない。


 それとも親父と相談してみようか。かつて、親父はこのような状態になった時、何を思い、何を考えたか。どうして、離婚と言う結末に至ったのか? 


 あの時、子どもだった辰雄は両親を心の底から恨んだ。もし、自らの行為のために離婚に至るようなことがあれば、桜や冬彦からずっと恨まれることとなるだろう。


 少なくても、息子や娘が子どもの間はずっと恨まれることになるだろう。辰雄自身、子どもの時は親の離婚のことをずっと許せずにいたのだから…。


 勇務の離婚を許せるようになったのは、辰雄自身が大人になって恋愛とか結婚できるようになってからであった。結局、同じ立場になってみないと、人は分かり合えないらしい…。

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