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親子二代の離婚  作者: あまやま 想
祖母の葬儀
5/70

どこにでもある夕食風景

 でも、それをぶち壊そうとしている奴がいる。もうすぐ辰雄が帰って来るはずだ。今日あたり、いろいろと聞かなくてはいけないと思っている。彼の返答次第ではこんな日々も終わりを迎えるかもしれない。


 そんなことを考えている間も小秋は平然を装った。あくまで母らしく桜に料理を教えながら一緒に作った。息子が宿題で分からないと言ったら、それを分かる範囲で教えてあげた。この動揺を二人に知られてはならないと思ったからである。


「ただいま」

「おかえり、お父さん」

「おお、桜も、冬彦も、お母さんの手伝いをしていたのか…。えらいな…」

「僕、洗濯物たたんだよ」

「私、お母さんと一緒にコンソメスープ作ったよ」


 二人とも小秋の時のように声をかけた。小秋はあえて声をかけなかった。でも、辰雄は何とも思わなかったらしい。一人で部屋に入ってスーツから部屋着に着替えてからリビングに来た。


 もうすでにごはんもでき上がっていた。家族四人がそろったところで夕食を食べる。この家では夕食はできるだけ家族四人そろって食べようと決めている。だから、いつも夕食は八時前後になる。


 夕食の時に話すのは主に子ども達であった。父と母はそれをひたすら聞いている。一見すると実に微笑ましい光景である。しかし、両親は二人の話を聞いているようで、実は聞いていなかった。


 小秋はこれからどうやって浮気疑惑について聞き出そうか考えていたし、辰雄は岡川と次どうやって会おうかとか、その口実作りとかを考えていたのである。


 やがて、夕食もおわり、小秋は後片付けを始めた。もちろん、この時も娘が手伝ってくれる。辰雄はそのまま風呂に入り、息子はテレビを見出した。辰雄はよく息子を風呂に誘うのだが、最近は冬彦が父親と一緒に入りたがらない。


 いつもなら、別々に入っても問題ないが、今日はこれからいろいろやることがあるので、子どもを早く寝かしつける必要があった。


「冬彦、今日はお父さんと一緒に入って。そうしないと洗濯が終わらないでしょう?」


「そうだぞ。冬彦。たまにはお母さんも楽をしてもらわないといかんからな」


 そう言って、二人は風呂に入った。さらに小秋も桜と一緒に風呂に入った。小秋達が風呂から上がった頃には、もう冬彦は寝ていた。あとは、桜を寝かせるだけである。


 しかし、娘は十時からのドラマを見出した。しかたなく、それに付き合った。すると、辰雄が


「明日は朝一で会議だから、もう寝る…」


と言い出したので、意表をつかれた。さすがにここで引き止めるのも…と思ったが、このようなチャンスはそんなに無いので、思わず食い下がってしまった。


「ねえ、辰雄さん。ちょっと寝室で話したいことがあるんだけど…」

「何だよ。やぶから棒に…。話ならここでも出来るじゃないか? それともここでは出来ない話なのか?」


 思わずテレビを見ている桜を心の中でにらんだ。もし、ここに桜がいなかったら、何の問題もなく辰雄の浮気について切り出せたのに…。しかし、さすがに桜の前ではできなかった。


「子どもの前で出来ないような話を、子どもの前でしないでくれよ。俺はもう寝るからな!」


 どうやら、夫は何かを感じ取ったらしくて、自ら防衛線を張ってきた。きっと、かなり動揺している。それなのに、さらに追求できないなんて…。小秋は自らの詰めの甘さを悔いた。


 桜は毎週水曜十時のドラマを欠かさずに見ていたことぐらい分かっていたのだから、録画予約でもしといて、さっさと寝かしつければ良かったのだ。このままでは、辰雄が何もかも隠してしまう恐れがある。


 辰雄のあの反応…。間違いなく黒だ。それに辰雄は気付いていないが、彼は動揺するとしきりに顎をしゃくるくせがある。辰雄が顎をしゃくるたびに、小秋は彼の嘘を暴いてきた。


 休日出勤と偽って、ゴルフや競馬に出かけた事。こっそりかくしていたへそくりのありかを、かまかけてから暴き出した事。例を挙げれば、きりがない。

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