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親子二代の離婚  作者: あまやま 想
浮気の代償
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カラオケルームでの攻防戦(2)

「こう言っては何だが、男の子には父親が必要じゃないかな…。冬彦はこちらで引き取らせて欲しい。そのかわり養育費は月五万円きっちり払うから…」


「何言ってるのよ。浮気するような人に、子どもを見る資格なんかありません! 子どもを一人引き取るから養育費を月五万円にしてくれなんて虫が良すぎる」


 小秋も全く譲る気はなかった。その気になれば、裁判に持ち込んでもいいのだ。どう考えても、大義はこちらにある。夫の言いなりになる気は全くない。


「そう言えば、以前、小秋が実家に帰った時、冬彦は熱を出していたんだぞ。それなのに置いてけぼりさせるなんて…。冬彦はあのことを根に持っているぞ」


 辰雄はこのままでは勝ち目がないと思い、攻め方を変えることにした。


「そんな根も葉もないことを言うの、止めてくれない? 確かに、あの時、冬彦を置いて行ったけど、それは仕方のなかったことよ」


「仕方のないこと? そりゃ、ないだろう。冬彦はあの時、新型インフルにかかっていたんだぞ。一歩、間違えたら死んでいたかもしれないんだぞ?」


「そんなの問題のすり替えよ。どうして、私がそんなに責められないといけない訳? 私はあんたのせいで、実家に帰らないといけないほど、追いつめられたのよ。そもそも、あんたが浮気なんかしなかったら、私は実家に帰られなくてよかったし、冬彦だって新型インフルにかからなかったかもしれない」


 確かに浮気さえしなかったら、小秋は実家に帰らなかっただろうけど、冬彦の新型インフルエンザは全く関係のない話である。言いがかりは止めて欲しいと思ったが、それは口にはしなかった。


「とにかく、私は子ども二人を引き取ります。そして、養育費を最低十万円はもらいます。それが嫌なら裁判で戦いましょう。まあ、この勝負、どう考えても、私が勝つでしょうけどね。じゃあね!」


 小秋はこれ以上の議論は無駄だと思い、自らの言い分を曲げる気が全くないことを一方的に辰雄へ伝えた。そして、満足げに部屋を後にした。


 一方の辰雄はそれを苦々しくしか見ることができない。裁判になったら、勝ち目は万に一つもないだろう。


 それにしても、人目を気にして、こんな所で人生を左右するような話をするくせに、裁判をすることには一切ためらいをもたないとは…。理解に苦しむ。裁判になれば、それこそ全てを人前にさらけ出すことになるのに…。


 それとも小秋は、辰雄が勝ち目のない裁判をする勇気なんかないと決めつけているのかもしれない。見くびられたものである。まあ、裁判になれば、いよいよ問題がこじれてしまうだろう。そうなれば、困るのは子ども達だ。さて、どうしたものかな…。


 どうなろうとも、最終的には全ての原因を作った俺が責任を取る事になるのかな…。辰雄は岡川の家に帰る途中で弱気になったり、強気になったりして心の中で迷走していた。

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