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親子二代の離婚  作者: あまやま 想
浮気の代償
23/70

安っぽいドラマみたい…

 一週間後、冬彦はすっかり元気になった。もうすでに小秋も桜も家に戻っていた。二人が家に戻ると、今度は辰雄が家からいなくなった。


 再び父のいなくなった家で冬彦は思った。父さんがあんなに楽しそうにしていたのを見たのは初めてだったように思う。


 遥おばさん…じゃなかった、遥姉さんと父さんは必死になって看病してくれた。それに引き換え、母さんは自分を置いて、東北のじいちゃんの所へ行ってしまった。小秋は何度も子ども達に


「悪いのは、全部父さんだからね」


と言い聞かせていたが、この一件でどちらがどう悪いのか、冬彦は分からなくなっていたのである。冬彦は熱を出したことで、あまり乗り気でなかった東北旅行に行かなくて済んだのだが…。


 いざ、置いてけぼりにされると、まるで小秋が全て悪いように感じられて仕方なかった。辰雄があんな風になったのは、小秋のせいではなかいと子どもながらにおもった。小秋が辰雄に対して酷いことばかりするから、辰雄は岡川と一緒にいるようになったと考えてしまう。


 熱でうなされている中で見た辰雄と岡川の楽しそうな笑顔が、冬彦の脳裏に強く焼き付いて離れなかった。


 冬彦は考えれば考えるほど、何が何だかよく分からなくなって、姉の桜に熱でうなされていた時に何があったのか全て話すことにした。それを聞いた桜は母・小秋と東北に行った時に何があったのかを弟に全て話してあげた。


 二人はそれぞれの情報を共有したことで、『本当に父が全て悪いのか?』と言う疑問を持つようになった。母にも悪い所があったからこそ、父が浮気してしまったのではないかとさえ感じた。


 この時、夕食ができたので、二人を呼びに行った小秋は子ども達の話を聞いて驚きを隠せない。珍しく、二人がお手伝いもせずに部屋にこもっているので、何をやっているのかと、気になって様子を見に来たら…。


 よほど、二人が話しているのを遮ってやろうかと思ったけど、それをグッと堪えて、しばらくドアの向こうの会話に耳にしのばせる。


 やっぱり…と思った。辰雄が一人で看病できるはずないのだ。浮気相手を家に上げて、冬彦の看病をさせていたのである。


 小秋は背筋に冷たい汗が一滴したたるような思いだった。必死になって、平然を装いながら、こっそり階段を下りた。そして、階段の下から大きな声で、


「桜、冬彦、ご飯よ!」


と叫んだ。何も知らない二人は何食わぬ顔をして、冬彦の部屋から出て来た。小秋はこの一件をどうやって辰雄に落とし前をつけさせようか思案していた。


 夜、桜は従姉妹の夏美はメールでここ最近何があったかを話した。桜と夏美は歳が一つしか変わらないので、もともと仲がいい。


 辰雄の浮気騒動以来、ずっとメールで連絡を取り合っている。夏美は驚きを隠せなかった。驚きのあまりに口を開けたまま、メールをしていたので、あおいから、


「夏美、口が開いているよ」


と笑いながら指摘されたほどである。それにしても、辰雄おじさんが浮気相手を家に上げたり、小秋おばさんが実家に戻ったりしているなんて…。


 どこかの安っぽいドラマみたいな展開になっていることが、とても現実のこととは思えなかった。


「姉ちゃん、辰雄おじさんと小秋おばさんは、もう離婚するのかな?」


「多分、そうなるだろうね」


「そしたら、桜と冬彦はどうなるんだろう…」


「さあね。そんなこと、私達に分かる訳ないじゃん!」


「姉ちゃん、そんな冷たいことを言ったらダメだよ」


「夏美こそ、そんなことを面白がって、聞いたらダメよ!」


「またまた、そんなこと言っちゃって…。姉ちゃんだって、気になるくせに…」


「そりゃ、気になるけどさ…。さあ、宿題しなくっちゃ!」


「うわっ、優等生は大変だ…。私は部屋に戻るよ」


 それぞれの思いが交錯する。こんな時は当事者よりも傍観者の方が対岸の家事を眺めるような気分でいられるので、まだいいのかもしれない。

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