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序章

「天下泰平なぞ糞くらえじゃ。諸藩の大名共よ、わしの首を狙え!」

 天下人、「天下大将軍随一」を自称する大江戸幕府八代目将軍、億川鷹飛車おくがわたかびしゃによってこの檄文は全国各地の大名に伝えられ、たちまち全国の庶民にも伝わるところとなる。

「謀反も下剋上も大いに結構、わしに忠義を尽くす必要は無い。何度でもわしに大軍を差し向けよ。何度でもわしの膳に毒を盛れ。何度でも呪いをかけよ。一切とがめるつもりは無い。かつて天下をその手に納められなかった者の末裔達、今こそ天下を手中にする事が出来るぞ。簡単な事、わしの首を肴に出来た者が新たな天下人じゃ」

 未だかつて、泰平の世を自ら乱した将軍はいない。誰もが鷹飛車の愚政を批判し、これから訪れる戦乱の世に不安を募らせていった。

 しかし、鷹飛車はなにも考えなしにこのような檄文を飛ばした訳ではない。確かに半分は、生まれた時から既に手中に収めることが決まっていた天下、何事も起こらない天下泰平という時代に飽き飽きしていた、刺激の強い世の中を求めていた事にあるが、もう半分は、天下泰平というぬるま湯に浸かり、悪い意味での現状維持のこの時代をなんとかよりよいものにしたいという思いからだった。「人が必死に生きている世の中でなければ発展は起こり得ない」とは鷹飛車の持論である。つまり、人々によりよく生きてもらいたいと言う願いから出た事でもあったのだ。

 そして、鷹飛車はなにも何の自信も無くこのような檄文を飛ばした訳ではない。


 億川鷹飛車には自信があった。

 絶対に誰にも首を取られないという自信が。

 絶対に天下を明け渡さないという自信が。



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