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「本当の声は?」3

イベント会場を片付けていたら、メール着信音。

山口君だった。


「会いたい」


疑問符と感嘆符が同時に頭の中にぐるぐるする。

なんていうか、会いたいって言葉自体がはじめてかも知れない。

イヤでも毎日顔合わせてるし、誘いだって意思確認の言葉オンリーなのに。


成り行きで始まって(確か、忘年会か新年会の後だった)変化もなくつきあいつづけ、向こうに女の影が見えちゃ別れ、忙しくて時間が取れなくなっちゃ切断し、あたしに他からの誘いがあっちゃ別れってのを何年も繰り返していたのに、今まで見たことも聞いたこともない言葉だった。


考えられることは、ないこともない。

自分が持ってない幸せを見せつけられて、人恋しくなっちゃったんだろう。

あたしはすでに結婚した友達も多いし、姉の子供は可愛い盛りの3歳で、免疫がついてるけど。

そんな見当がついちゃうメールなんて、絶対にらしくないじゃない。

それとも、今まで見当をつけなかっただけだったんだろうか。


あたしはあたしで、彼の素の部分を見ようとしなかったのかも知れない。

自分から見せないんだから、見なくても問題ないと思っていたかも。

でも、それって普通「見よう」って気をつけて見るものじゃないじゃない。

つきあいの中で発見していくものでしょう。


「遅くなるから、難しい」

とりあえず、メールを返しておく。

人恋しがってるんだろう、くらいの予測で義理と責任は放れない。

サークルは義務じゃなくて自主的な集まりの分だけ、自分の持ち分を疎かにしたらツケは自分に来る。

それを無視できるほど社会経験がないわけじゃない。

男との時間最優先、なんてせいぜい二十代前半までしか許されない。


片付けを終えてサークル仲間とお茶を飲みながら、明日はあたしから誘ってみようかなんて思う。


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