表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
20/28

「簡単なことじゃないの」2

社内メールでの意思確認はやはり簡単で、「今日は?」「大丈夫」それだけだ。

紅葉が綺麗になるのはあと一週間から二週間ってところかな。

山口君のこけた頬は元に戻りつつあるし、津田君を弄り倒すのも絶好調。

すべて元通り。


「最近、三枝さんと仲いいね」

嫉妬じゃないから、言葉は平坦。

部屋着に着替えた山口君は缶ビールのプルタブを引きながら、やっぱり普通の顔。

「確認したいことがいくつか重なってるだけ。気になる?」

「ん?あたしじゃなくって、女の子たちがそう言ってるの。それに、今設備に何か相談事のある物件を持ってないでしょ」

あ、表情が揺れた。


「何か言えないことしてるの?」

じっと顔を見てしまったので、山口君は小さく溜息をついた。

「しょうがねーなー。ひとつだけ、教えとくわ。三枝さん、来期から正社員になるんだ」

「え?特例じゃない。なんで山口君が知ってるの?で、仲が良くなることと関係あるの?」

「関係はあるんだけどさ、今日はここまで。まだ、言わないでね」

人事のことなんて、言わないけどね。


合点のいかない顔で見ていたのかも知れない。

頭を抱えられて、いきなりキスがきた。

そのままカウチに押し付けられると、あとはいつもの手順になる。

慣れた指、慣れた息遣い。

「まいったな。まだ緘口令なのに、喋りたくなっちゃって。どうも最近、野口に見透かされてるような気がするんだよな」

見透かしてなんかないよ。見たいと思ってるだけ。

山口君の肩の線を指でなぞりながら、あたしが知りたいと思うだけで、彼も何か変わるのだろうかと思う。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ