『縁結びのお地蔵様とプレスマン』
昔、身分の違う男女は、添えない時代がありました。男のほうが身分が低い場合は、特に。
ある若者と娘が、そんな感じでした。娘の両親は二人の仲を認めませんでしたし、若者の両親も、身分の違う娘を嫁にもらうのは、婿に入るよりも苦労が多いと考えましたし、先方が乗り気でないのに、こちらが乗り気になっても息子がつらい思いをするだけだと考えて、表向きにも実質的にも反対したのでした。
若い二人は、そんなことではへこたれません。というか、反対されるからこそ盛り上がるのです。いい人見つけたね、などと言われると、そうかなあ、とか逆に不安になったりしますが、あんな人やめなさい、と言われると、あの人しかいないの、などと思ってしまうものなのです。
そんなわけで、二人は、神仏にすがるくらいしかできず、いつも逢い引きに使っていた寺のお地蔵さんに、二人の名前を書いた紙を結んで、お祈りをしました。もともと、寺に来たのは、逢い引きをするためで、お祈りをするためではなかったので、たまたま持っていたプレスマンで、懐紙に書いた、という程度の思いつき的行動でしたが、御利益があったものか、二人の両親は、二人の仲を引き裂こうとしなくなり、半年もしないうちに祝言にこぎ着けました。
このうわさが広まり、お地蔵様は、特に若い女性から信仰を集め、プレスマンを奉納してお祈りするという信仰が広まったのでした。
教訓:縁結びの信仰なんて、多分こんな感じ。




