ダンジョンコア
中から出てきたのは、全身銀色のラバースーツのような姿をした人型の魔王。
胸には黒い宝石のようなものが埋め込まれている。
姿が確認できた瞬間、魔王の姿は消える。
「っ、させるか」
カッペイは魔王を追う。
「ミユはやらせないよ」
「…ここは通さん」
魔王が向かった先にはマヤと丸古が待ち構えていた。
魔王の狙いはミユのようだった。
「ミユ、無事か」
少し遅れてカッペイも到着する。
「はい、マヤと丸古さんのおかげで大丈夫です」
マヤと丸古は少し離れた場所で魔王と戦闘を開始していた。
「真っ先にミユちゃんを狙うのは相変わらずだね」
「桃さん、どういうことですか?」
魔王の胸にある宝石はダンジョンコア。
今の魔王の姿はダンジョンコアを取り込んだ状態で、その状態になった魔王を完全に消滅させられる聖女であるミユだけ。
倒すだけなら勇者であるマヤでも可能だがそれだけでは魔王はすぐに再生してしまう。
その為唯一の障害となりうる聖女を魔王は真っ先に狙うのだ。
「でもさっきまではそんな素振り全然なかったのになんでですか?」
「う~ん、詳しくはわかってないんだけど、魔王がダンジョンコアを取り込むことがキーとなっているんだよ」
どうやら先程までの状態はまだダンジョンコアを取り込んでいなかったらしい。
どういうきっかけか分からないが、今の形態になる過程でダンジョンコアを取り込んだようだ。
「それでどうするんですか?」
「ミユちゃん、マヤちゃんと丸古が抑えてくれてる今のうちに準備を始めようか」
「わかりました」
ミユが祈祷を始める。
「さて、いつもならここでミユちゃん見守る所なんだけど」
桃井がカッペイを持ち上げる。
「桃さん?」
「ちょっと試してみたいことがあるんだ。カッペイ君付き合ってくれるかな?」
怪しい笑みを浮かべる桃井。
「うまく行けばカッペイ君はもっと強くなれる、かも?」
「なんで疑問形なんですか!」
「まぁまぁ、とにかく試してみよう。じゃあいくよ」
「えっ、ちょっとまだOKしてないんですけど。あーっ」
桃井に掲げられたカッペイは光に包まれる。




