聖剣
「あれ、もう魔人いるんだ」
マヤが魔人を見つける。
桃井の予想では上級悪魔かと思われていたが、予想より早くダンジョンの侵食は進んでいたようだ。
「まぁ一体だけだし肩ならしにはちょうどいいかな」
魔人の他に多数の悪魔たち。それらはこちらの様子を伺っていた。
「ミユ!」
「はい」
「おいミユ、このまま行くのか?」
カッペイを抱えたままミユが上空へと飛ぶ。
「光よ」
ミユを起点に光がドーム状にフィールドを包む。
「GAaaaa」
中級悪魔たちが叫び声をあげ次々と消滅していく。
残ったのは魔人と数体の上級悪魔のみ。
「あとはボクにお任せ、いくよ聖剣!」
マヤの手に剣が現れる。
聖剣。
スキルにより呼び出される勇者専用武器。
姿形は持ち主により様々で、マヤの聖剣はフォトンソードのような姿をしていた。
勇者が最強ジョブと言われる所以のひとつがこの聖剣だ。
聖剣は通常の武器と違いスキルから生み出されるもので、その性能は発動者のステータスに影響される。
つまり勇者自身が強くなればなるほど聖剣も自動で強化される。
そして聖剣の攻撃は悪魔をはじめ全てのモンスター対象に絶大な威力を発揮する。
「ほいっ、やっ!」
マヤが次々と悪魔を斬っていく。
悪魔はバターのようにスルリと切断されていく。
ミユのデバフに加え、弱点属性である聖剣の攻撃を受けては上級悪魔といえひとたまりもなく瞬く間に倒されていく。
「よし、残りはキミだけだ」
魔人と対峙するマヤ。
「うーん、いつもより手応えがないね。ミユの力が強くなったのかな?ま、いっか」
物足りなさを感じるマヤであったが、すぐに気持ちを切り替える。
「身体も温まったしそろそろおしまいにするね」
そういうとマヤは聖剣に力を込める。
聖剣の光は輝きを増し直視できない程になる。
「はあぁー」
魔人は一刀両断され身体は真っ二つに。
「魔人をあっさり倒すなんてやっぱり勇者って凄いんだな」
苦戦して倒した魔人が簡単に倒されるのを見て驚くカッペイ。
改めて勇者の凄さを再認識する。
「みんなー、次に行こうか」
魔人との戦いを終え先に進むカッペイたち。
魔人が現れたということは魔王がいる最下層までもうすぐであろうと思われる。




