賢者ゴリラ
先を進むカッペイたち。
海底ダンジョンは奥に進む程黒い部分が多くなっている。
一番奥は既に魔王の支配下にあり、元のダンジョンとは違うものに変質しているだろう。
「ここからは僕がやるから皆は温存しておいてね」
桃井が先頭に立つ。
「桃井さんが前に出るなんて珍しいね」
「はは、カッペイ君もいることだしちゃんと戦えるとこを見せないと」
そうして進んでいくと、前方から下級悪魔が現れる。
「カッペイ君ここからは違うダンジョンに来たと思った方がいいよ」
魔王の誕生により海底ダンジョンは別のダンジョンへと変わりはじめていた。
「とりあえずサクッとやりますか」
桃井が杖を下級悪魔に向けかざす。
「下級だしこれでいいかな。ほい雷撃」
杖から雷が下級悪魔に飛ぶ。
雷は一瞬で下級悪魔に直撃し、下級悪魔は黒焦げとなり消えていく。
「この感じだとまだ下級しか出てこなそうだね。さ、行こうか」
桃井の言う通りゆく先々で現れるのは下級悪魔ばかり。
桃井は様々な属性の魔法を使い下級悪魔を倒していく。
「はー、桃さん属性魔法いっぱい使えるんですね」
「これでも賢者だからね。一応全属性使えるよ」
賢者である桃井は全属性の魔法適正がある。しかし適正があるだけで得手不得手も当然ある。
魔人や魔王の弱点である聖属性がそうだったりする。
「まぁ、魔王と戦う時は僕はサポート役だからね。今のうちに頑張らないと」
魔人ならまだしも魔王相手となると桃井の魔法でも少し力不足だという。
「桃さんレベルでダメなら俺はどうなるんですか」
「大丈夫だよカッペイ君。ボクとミユがいれば魔王なんて楽勝だよ」
「そうです。カッペイさんは私が守りますから何も問題ありません」
「…カッペイ、卑下することはない。お前は強い」
「そうだよカッペイ君、君にはアレがあるじゃないか」
不安になるカッペイをミユたちがフォローする。
「さぁ、気を取り直して進もうか」
カッペイたちは改めて先を進む。
海底ダンジョンの侵食具合は奥に行くほど進んでいて、今いるところは周囲がほとんど黒く染まっておりモンスターも悪魔種しか現れなくなっていた。
「半分以上進んでこれか。まぁまぁの進行具合だね」
中級悪魔を倒しながら桃井が周囲を確認する。
「そろそろ階層ボスのところかな。この感じだとボスは上級悪魔かな」
「桃井さん、そろそろボクも戦いたいんだけど」
「私もお願いします」
マヤとミユが立候補する。
「そうだね、そろそろウォーミングアップしといた方がいいかもね。それじゃあ次は二人に任せるよ」
そして階層ボスのいる門までやってきたカッペイたち。
「じゃあボクとミユがやるからね。横取りはダメだよ」
マヤとミユを先頭に扉をくぐる。




