アーマード勇者
神殿内は広い回廊が先まで続いており、左右に石像がズラリと並んでいる。
「ねぇ、これって絶対動き出すやつだよね。ボクが壊してもいい?」
石像を目にしたマヤが立候補する。
「うん、あれモンスターだからやっちゃっていいよ」
鑑定を済ませた桃井が許可を出す。
「よし、じゃあいくよ。フルバースト」
マヤの鎧が展開を始め、全身から銃身が現れレーザーが放たれる。
その様子はまるでロボットアニメのワンシーンのようだ。
視界の見えない先まで放たれるレーザーは石像を次々と破壊していく。
「うおー、カッケーーーッッ!!」
カッペイが目をキラキラと輝かせている。
カッペイも男の子なのでこういったメカとかロボは大好きだ。
「ヘヘっ、いいでしょこれ。ここまでにするのにたくさん強化したからね」
マヤの装備する鎧は自身でドロップしたもので、自由にカスタムしている。
勇者装備は国で保管されており、対象者が現れた際貸しだされる。
マヤも当初は借り物を使っていたが、自身で手に入れて既に返却している。
勇者装備などの特定の装備やアイテムは国に接収される場合がほとんどだ。
有事の際や、勇者のような国が保護している特殊ジョブのために運用するためだ。
一応代金は支払われるものの、ほぼ強制といっていいだろう。
マヤの場合は自身が勇者である為、ドロップしたもの基本接収されない。
その為自分のものになった装備類は、強化改造と好き勝手いじっている。
今装備している鎧も元の性能より大幅に強化されている他、先程のような特殊機構が組み込まれていたりする。
完全に趣味に走ったその装備はカッペイのような少年の心を持った男性たちの好みドンピシャなものとなっていた。
「なぁなぁ、他にどんなのがあるんだ?」
「今教えてもいいけど、うーん、あとのお楽しみにしよっか。先にネタバレされるより初見で見たほうがカッペイ君も楽しめると思うよ」
「そうだな、わかった」
まるで小さい子供とそれを諭すお姉さんのようなやり取りを交わすカッペイとマヤ。
その様子を羨ましそうに見るミユ。
「ううっ、いいなマヤ。私の装備もマヤみたいにしようかな」
「マヤちゃんの装備は拡張性が高いけど、ミユちゃんのは難しいんじゃないかな」
「私もあんな風にカッペイさんに求められたい」
「…カッペイの好きなもの教えようか?」
「是非!」
その後もマヤが次々とモンスターとおぼしきものを破壊していき進んでいく。
一行が歩いた跡の道は瓦礫の山となっていた。
そうして進んでいくと、突き当りに門が現れる。
「階層ボスかぁ、このメンバーなら全員でやる必要ないよね?誰がいく?」
「…ここは俺がいこう」
丸古が立候補する。
丸古を先頭に一行は門をくぐる。




