海底ダンジョン
海底ダンジョン。
文字通り海の底に出現したダンジョンで発見が難しく、大抵の場合ダンジョンが成長した状態で見つかる。
今回カッペイたちが向かう海底ダンジョンも例に漏れず、大きく成長したダンジョンだ。
海底ダンジョンに入るためには当然水中に入る必要がある。
移動には潜水艇を使用する。乗船人数が限られている為二回に分けてダンジョンへ向かう。
海底の一部が盛り上がり洞窟のようになっているのがダンジョンの入口だ。
ダンジョンの入口周囲は空気のドームのような膜で覆われており、中に入ると地上のように呼吸ができる。
準備を終えカッペイたちはダンジョンへと入る。
「ボク以外皆獣人かぁ」
ボイスチェンジャーのような合成音声の主はフルプレート姿のマヤだ。
「その鎧ゴツくていいな。俺もそういうの欲しい」
カッペイが羨ましそうに見ている今のマヤは、元の姿よりも大きくなっており2メートル以上の鎧姿となっていた。
マヤが装備している鎧は勇者専用だ。
勇者しか装備できないだけあって、その性能は破格で大抵のダンジョンは単独攻略可能である。
「うーん、今のカッペイ君が装備できる防具ってないんじゃないかな」
「でも獣人用の装備ってあるんですよね、桃さん」
「うーん、カッペイ君は小さいからなぁ。サイズの合うものって従魔用位かもね」
ローブ姿のゴリラが答える。
桃井の獣人姿はゴリラだ。見た目はただのゴリラと違いはないが本人曰く全然違うらしい。
「そんなぁ」
「…カッペイに装備は必要ないだろう。今のままで問題ない」
そう答える丸古は豚の獣人で、オークキングのような佇まいをしていた。
ノロワレになる以前から、キングと呼ばれる程の実力があった丸古だが、獣人の姿になってから更に貫禄を増していた。
その威光は格下のモンスターが道をあける程だ。
「叔父さんがそういうならそうかも」
「そうです、カッペイさんは今のままでいて下さい」
白い修道服を身に纏ったミユが念を押す。
ミユの装備は元々着ていたものを少し改修したもので、羽のために背中は大きく開いていた。
「それじゃあそろそろ行こっか」
マヤの号令で出発するカッペイたち。
「あっ、カメラつけなきゃ」
ミユが用意していたカメラの電源を入れる。
これは地上に状況を報告するためのもので、ダンジョン攻略が確認され次第迎えが来る手筈となっている。
本来なら限定配信となっていて、関係者しか見れないはずなのだが以前の設定のままの為、配信は一般公開となっていた。




