決着
「ぐぇ」
その場に倒れ込むカッペイ。
体力気力共に使い果たしもうこれ以上は動けない状態だ。
やがて砂煙が晴れ魔人のいた場所が見えるようになる。
「クソッ、ダメか」
服はボロボロ、身体は満身創痍で片腕が無くなっていたが、倒しきることはできなかった。
「Aaaaaaa!!!」
魔人は叫び声をあげると細身の身体は筋肉が盛り上がり巨大な姿に変わる。
「光よ」
ミユが即座に光の鎖で魔人を拘束する。
しかし魔人の力は強く長くは持ちそうにない。
「カッペイさん、今のうちに回復を」
魔人を抑えるので手一杯のミユはカッペイにアイテムでの回復を促す。
カッペイはリュックの中を漁り、回復薬を飲む。
なんとか立ち上がる位まで回復したが、戦闘はできそうにない。
このままだと撤退するしかないが、あと一手あれば魔人を倒せるところまできている。
何か、何か手はないか。
カッペイはリュックを更に漁る。
ミユの付与した予備の短剣が出てくる。
手に取ると何かが身体に流れ込む感覚が。
意識を身体の内に集中する。
自分の魔力とは違う魔力が入ってくるのを感じる。
聖属性の魔力だ。
今カッペイの魔力はほぼゼロでほとんど残っていない。
基本的に自身の持つ属性以外を身体に取り込むことはできない。
聖属性の魔法はバフや回復で受ける事があってもスキルの効果のみ作用し、受けたものが聖属性になることはない。
しかし理由は分からないが、本来カッペイが持たない聖属性の魔力はカッペイの身体に適応し新たな力として宿りはじめていた。
「ミユ!俺にバフをかけてくれ!」
これなら魔人を倒せる。
そう確信したカッペイはミユにバフを頼む。
「カッペイさん、いきます」
カッペイとの間に魔人がいるため様子が分からないミユだが、カッペイの声に答えバフをかける。
「よし、これなら」
バフを受けるカッペイは、その魔力を身体の内側に集中させ自身の魔力に変換する。
カッペイの身体を白い光がうっすらと包む。
「いくぞ、練気、白!聖拳!」
カッペイを包む光は両手に集まり白く輝く。
カッペイは魔人に駆け出す。
先程まで立つのがやっとだったはずの身体は今までで一番調子がいい。
「これで終わりだぁ!」
魔人の顔面に渾身のストレートを決めるカッペイ。
「gAaaaaaaaah」
魔人の顔面から全身に白い光が走り、やがて魔人の全身は光に包まれる。
まばゆい光を放つ魔人は空間全てを覆う。
やがて光が収まると魔人の姿は跡形も無く消えていた。
「ふう、やったか」
「カッペイさん、やりましたね」
カッペイの元へ駆け寄るミユ。
「なんとか倒せたな」
「先程の光は一体なんですか?」
「ああ、あれは、ん?」
「えっ?」
カッペイとミユの身体が光りだす。
「これって」
「はい、おそらく呪いが解けるのかと」
魔人を倒したことによりカッペイとミユの呪いが解ける。
二人を包む光はやがて弱くなり姿が見えるようになる。
「やった、元に戻ってる!」
「ようやく戻れたぜ」
カッペイとミユの呪いは解け、無事人の姿に戻っていた。




