模擬戦
カッペイたちは別荘の地下にある訓練場へとやってきた。運動場のような空間となっており、この訓練場は人工ダンジョン出来ていた。
ここではジョブやスキルをダンジョン同様に使用できる。
「じゃあ、やろっか」
タンクトップにショートパンツに着替えたマヤ。
その姿は整った顔立ちとスラリと伸びた長身も相まってまるでモデルのようだ。
ルールは武器無しスキル使用有り、勝負は降参するか戦闘不能になるまで。
飄々としているがマヤからは強者特有のオーラがしっかりと感じられた。
ノロワレになってから初めて格上と戦うことになるカッペイ。
久々の緊張感にワクワクしていた。
「さぁかかってきなさいカワウソ君」
「おうっ!練気、無色!金剛!」
先手を譲られ攻めるカッペイ。
「オラッ!」
真っ直ぐ駆け出し挨拶代わりに一撃を放つ。
「うん、いいね。どんどん来なさい」
ゴブリンを軽く屠る一撃をマヤは素手で受け止める。
その後もカッペイは休むことなく攻撃を続ける。
マヤはそれを鼻息混じりに捌いていく。
「そろそろこっちからもいくよ」
攻守交代と今度はマヤが反撃を始める。
本能的に食らったらマズイと判断したカッペイはマヤの攻撃受けることなく躱していく。
「おっ、中々やるね。じゃあ少しペースあげようか」
マヤの攻撃の速度が徐々に上がっていく。
躱し続けていたカッペイだがだんだん追い込まれて始める。
「くっ、瞬雷!」
余裕がなくなりスキルで一度距離を取るカッペイ。
「流石はキングの秘蔵っ子。ボクと戦ってまだ無事だなんて」
マヤからはまだまだ余裕が感じられる。
それもそのはず、マヤはまだスキルを一切使っていないのだ。
最強ジョブの一角である勇者はステータスが群を抜いて高い為、スキルを使用せずとも負けることはまずない。
そんな勇者相手にカッペイは健闘している方であるが、本人は全然納得していなかった。
せめてマヤにスキルを使わせる位はさせたい。
そんなカッペイの目は闘志がメラメラと燃えていた。
「その目いいね。ワクワクするよ」
勇者相手に引かないカッペイの姿にマヤはとても嬉しそうだ。
「出し惜しみは無しだ!いくぞ!」
「いいよ、どんときなさい」




