屍6体目
「あぁ、パーティーとか面倒くせぇ」
「お坊ちゃま、お着替えしましょう。パーティーまで時間は多くありません」
「たく、12の誕生パーティーだけ入学の少し前にやらんでもなぁ」
ポフ
「んむっ」
レティシアはフールの顔に尻尾をあてる
「お坊ちゃま、準備していただけましたらご褒美などいかがですか」
しゅぱぱ
「準備完了だ」
フールは一瞬で着替え、髪型をセットする
「うふふ、ご褒美です」
ポフ
レティシアは再度フールの顔に尻尾をあてる
「・・・・・・・・」
「私のご褒美は御不満でしたか?」ジワッ
レティシアは不安そうに目に涙をためる
「う、嬉しいよ」
「うふふふ、良かったです」
モフモフモフモフ
「アハハハハハハハ!御主人の敗けだね」
「これは気持ち良くて好きだから良いんだよナビ」
モフモフモフモフモフモフモフモフモフモフ
「お、お坊ちゃま。そ、そろそろお時間です。」
「僕はレティシアに毛繕いしてもらいたいからレティシア少し借りるよ」
「あぁ、さて行くか」
フールはキリリと表情を変えると部屋から出ていく
「はふぅ」
レティシアは顔を赤くしながら床にヘタリこむ
「君も大変だねぇ、御主人は君の気持ちも獣人族の尻尾や耳がどんなものかすらしらないんだからねぇ」
「んっ、はぁ、ふぅ~、ナビ様。それでもフール様はとても素敵な王子様です」
「夜のお店に遊びに行ったりしても?」
「それでもです。私の気持ちに気付かれない鈍感ですげど、最高にかっこいいですから」
「やれやれ、本当に御主人は罪作りだねぇ」
「ふふふ、そんなフール様だからいいんですよ。」
「君も男を見る目がないねぇ」
「まぁ、酷い」
「僕も御主人を見る目はなかったんだろうけど」
二人は目を合わせると大笑いする
「御主人に告白すればいいのに、御主人なら身分もなにもきにしないよ」
「そ、それは、お、女の娘は王子様に告白されるのが夢ですから」
「やれやれ、いつになることやら。もしかして無理矢理御主人に襲われたいとか?」
「それも悪くありませんね」
「はぁ、口が甘ったるい。もう寝るよ」
ナビはそう言い消える
城の大広間
「お集まりの諸君、12の年を迎え今年学園に入学する二人を紹介しよう」
フールと第5王子は一歩前にでる
「まず第5王子、キグナスだ。スキルも3つ授かり魔法の適正は4つと優秀だ私は学園で兄達に負けぬ活躍を期待している。そして、第6王子のフールだ。諸君夜は長いパーティーを楽しんでくれ」
そう言うと王は会場の中を歩いて行く
「ふん、落ちこぼれ。紹介されてよかったな」
青髪の少年は俺を見上げながら笑う
「そうだな。感謝感謝」
「おい、かりにも兄にその態度はなんだ」
キグナスが詰め寄ろうとすると
「キグナス様」
「む?これは、ジルコニア辺境伯」
「御入学おめでとうございます。こちらは、嫡男のジルと次男ダイダロスです。もし、学園でお困りでしたらこの二人にお声かけ下さい。ダイダロスは同学年でありジルは一歳年上でございます。」
ジルコニア辺境伯とその嫡男は灰色の毛で狼のような顔の少年である。次男は猪のような顔である
「なるほど、ジルこれから頼るかもしれん」
「お任せを!」
「あ、あの」
「すまないな、私はどうもオークが苦手で、そなたはオークに余りにも似すぎていてなぁ」
ジルコニア辺境伯はダイダロスを後ろに引っ張ると
「失礼いたしました。これの母親の血でしょうな。しかし我が辺境伯家は獣人色がつよく下の子供も勇ましい獣の能力をもっております。御入学の際は目に掛けていただければ」
「うむ、そなたには軍務で父も頼りしているときいている。息子もさぞ優秀なのであろうな」
「王子様の足元にも及びませぬが」
「はっはっはっ!謙遜するな」
「おお、キグナス様と辺境伯殿」
「これはこれは」
その後もキグナスの周りにはひっきりなしに貴族が挨拶にくる
「やれやれ」
フール壁の近くに行くと
「これはこれはフール様、御入学おめでとうございます」
「ん?」
ひげが特徴的なくるくるの親父がフールに話しかける
「私はヒスパル男爵と申します」
「それで?俺に何のようだ?」
「あちらにいるのは私の娘達でして」
男爵の指す方には猿の頭をしたふくよかな娘とウサギの獣人で獣度合いが強い娘と人間度は高いんだがまぁ、やんわりといって俺のストライクゾーンにデッドボールの娘の三人がいた
「ほ、ほう、私には高嶺の花のような娘さんですね」
「いえいえ!何を仰います!どうですか王子!まだご婚約とかされていないとかよろしければうちの娘と」
「いえいえ、私などには相応しくありません。兄などのほうがよろしいのでわ」
「そんなことありません。よろしければ三姉妹そろっていかがですか?なんなら今夜でもお試しになられても・・・・父のしては嫌なのですが娘は喜びましょう。いかがですか?お好きではありませんでしょうか」
「は、はは、ありがたいですが」
「そんな!ぜひ!」
男爵がずいっと近寄る
「フール様」
「む?なんだ!メイドごときが!!!」
「申し訳ない、重要事項のときはいかなるときも声を掛けろと言っておりましてなぁ、パーティーも始まったばかり、後程また声を掛けていただければ幸いかと。それでは失礼」
フールは広間の外に出ると部屋に戻る
「助かったよレティシア」
「恐縮です」
「はぁ、話しかけるやつなどあいつのような輩くらいだろう」
「サボってはいけませんよ」
「無理無理」
「大丈夫です。男爵はパーティーがある度同じ事を持ちかけます」
「ふむ」
「さぁ、休んだので行きますよ」
「ご褒美」
「お坊っちゃま」
「ご褒美」
「お坊っちゃま」
「ご褒美」
ポフ
「分かりました。王子としての務めプラス何かができたらご褒美を差し上げます」
「言ったな?」
モフモフモフモフモフモフ
「っ、それでは行きましょう」
「王子、いかがですか?我が娘は?」
「いやいや、我が娘こそ」
「それより私の母こそ!」
フールの周りには、フールの守備範囲外の押し売りが続々とくる
「フール!人気だなぁ!!」
「レッカ兄上、兄上の方が人気でしょうに」
フールはため息をつきながら長兄の元に近寄る
「しかし、お前の好みから外れたのばかり紹介されたな」
「まぁ、腐っても第6王子ですので王族との繋がりが欲しい下級貴族がこぞって集まっているのですよ」
「はっはっはっ!よくわかっているな!しかし随分と上手くかわすものだ!」
「王家に恥をかかせるわけにはまいりませんので」
「うむ!どうだ!今度俺の仕事を手伝わんか?」
「兄上の仕事と申しますと現在は北方の調査でしたよね?」
「あぁ、魔物も強く、環境も厳しい!しかし!だからこそ燃えるではないか!」
「やれやれ、私など邪魔に」
「ならん!」
「はぁ、なぜ?」
「俺の感と経験だ!」
レッカは堂々と言い放つ
「それに安心しろ!今回は調査ではない!」
「へぇ、何なんですか?」
「うむ!特別任務で実践経験を増やす為と俺が総大将でレイが参謀として東の帝国と隣国にある小国と戦争の応援部隊としていくのだ。その際我が部隊は独立遊撃部隊として行く。お前も副官として来い!」
「戦争にですか?・・・・・・おかしくないですか?帝国は人族よりの国です。王国設立の際に元となった同盟国とはいえおかしい。戦時中に他国を干渉させますか?」
「うむ!理由はちゃんとあるぞ!まずお前はどう思う」
「・・・・・・帝国側の利益は時期王家の戦略把握、物資、人員の節約。王家としての利益としては王子への戦の経験といったところでしょうか」
「うむ!帝国からすれば今回の戦相手は楽勝だからさしあたって問題ないのであり、我が国とは永久的な和平条約が結ばれているからな、もし大きい戦があり3ヶ国のどれかが窮地ならたすけ、裏切れば2ヶ国で潰すのがこの国創設時の創設者が提案した同盟の内容の一つだからな、故に領内に武装されて入られてもさして心配ないということだ。なんなら裏切る兆しが見えたら大義名分がとんできたと思うだろうな!」
「3国の同盟はどの同盟より強固と教わりましたが、そこまで信頼された同盟とは知りませんでした」
「うむ、その他にもいくつかあるがな!だいたいはそんな感じだ!やはりお前賢い!ついて来い!」
「はぁ、俺人殺し苦手なんでパスで」
「安心しろ!その国は悪政をしいていて治安も悪いから大半が悪人だから気にするな!さらに言えば皇帝に喧嘩をうった馬鹿だから帝国側も悪い評判はながさんだろう!」
「そう言う問題じゃないですよ。人殺しが嫌なんです」
レッカの表情は一気に重くなる
「フール、これから魔族との戦もあるかも知れん、それに王位争奪戦で殺しあいが採用されれば兄弟を殺すか殺されるかだ。お前は死にたいのか?」
「・・・・・・その時考えますよ」
「ちなみに、今回の戦の発端は国境近くの帝国民を戦線布告代わりに惨殺されていることからだ・・・・・・俺は同盟国が受けた痛み許せん。今回の戦緩くはあるまいだからお前にも経験のため来いと言っている。いいかもし俺が王位を奪われる可能性があるとすればレイかフール、お前くらいだと思っている・・・・・・父上には俺から話しておく、どうしてもいやなら俺もなかったことにするが考えておいてくれ」
レッカはそのまま背を向け去ろうとする
「兄上、何故俺にそんなに目を掛けるのですか?無能王子といわれてる俺に」
「俺のスキル超直感はお前を最も敵に回したら危険と判断した。そして俺はお前の努力を知っている・・・・・・何故普段は愚物を演じているのか知らんがあまり長男を見くびるなよ」
レッカは振り向かずにそう言うと他の貴族のもとへ歩いていく
俺は隠し切れていなかったことと、前世も会わせれば年下相手に、こっちは現代社会を社会人として何年もすごしていたプライドは、見透かされるという悔しさから罅を入れられた