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最強傭兵団活動録:異世界編  作者: 怪物mercury
異世界での出会いと別れ
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6、オットの困惑

ごめんなさい、今回は幕間のような形にして、少し影が薄めだったキャラの話にさせていただきました。

おそらく、次回も同じような形になるはずです。

まいったなぁ。蘇生かぁ。いや、できるんだよ?何なら、生きてる細胞が一つでもあればそのくらい余裕だし、刺されただけの体なんてあったら、おんなじ人を数万人は作れる。マジ余裕だ。


 でも、まいっているのはそこじゃない。一つは、出来上がるのが「途中までの」ティンケであること。記憶が、どこまで更新されているかはわからない。


 もう一つは、そもそもティンケのメンタルケアだ。僕も医者だし?やろうと思えばカウンセリングの10や20、余裕でこなす。


でもなあ、そもそもそこまでティンケと馬が合うわけじゃない。研究者としては、結構尊敬しているし、よく、無茶な発注しても、ノヴェ同様平然と叶えてくれるすごい人だ。


そうだとしても。そうだとしてもだよ?


30過ぎたおっさんが、しかも無精ひげの。それが、花の女子高生にぐふぐふ言いながらカウンセリングとか、絵面が犯罪そのものでしょ。何なら、存在丸ごと許されないレベルの絵だよ。


いままでも、何人も蘇生はさせたことがある。けれども、不思議なことにほとんどが発狂してしまうのだ。術式にミスはない。これ以上ないぐらいまでにパーペキである。


それなのに、まるで神でも見てきたかのように言うのだ。


「お前は狂っている!」


とかなんとか。


 もちろん、わざわざ蘇生してあげたのに(遺族の依頼で、だが。)ここまでいわれて、何も感じないわけじゃない。けれども、それ以上に、医者としてのプライドがなぜ人々が豹変するのかを知りたがっていた。


 ある時、自分の同僚の老人が「もし私が死んだら、蘇生してくれ。」といった。僕は二つ返事で了承したし、そもそも、彼は健康でそう簡単に死ぬ人には見えなかった。


 とはいえ、老人である以上、時の移ろいには勝てぬもの。病気にかかってしまった。なら、よかったんだよ。


 彼の死因はもらい事故。歩道を歩いていたら偶然に突っ込まれたのだ。こんな理不尽が合ってなるものかと、そりゃあ必死に蘇生したね。


 かれは、体は老人のままだったけど、もちろんきちんと蘇生した。そして、僕を見つけると、こう言い放った。


「神への、死者への冒涜だ!」


「地獄へ落ちろ!」


「二度と顔を見せるな!」


 さすがにショックを受けて、二時間ほどショックを受けたし、次の日は便秘だった。そして、考えることにしたのだ。


「実は本当に神はいるのか?」


本当に神がいて、すごい歓待を受けたけど、無理に呼び戻された、とか、そういう理由だろうか。


 もしくは逆に、地獄だけが実在し、蘇生は重罪で、蘇生されると刑期的なのが増えるとか?


 理由なんていくらでも考えられるし、それから暇なときはその問題について考えた。


 あらかじめ手術をプログラムし、自死と蘇生を全部セルフでやる方法も考えたが、やる直前にクワトロに止められた。


 というか、なんでクワトロは止めたんだろう?彼が実は、ゼロという敵だったことは聞いたけど、それでも僕が死ねば彼にとっては大きく徳になるはずだったのに。


 もしかして、彼は生還した人だったりするのかな?


 すごく興味深いが、そんなことをしている間にも遺体の鮮度はどんどん落ちていく。術式の時間は死亡時刻からの経過時間の二乗に比例し、放置するととんでもない時間になる。


そろそろ始めるか。助手は、普段ならウーノかティンケにお願いするんだけど、今日はそうもいかない。ウーノはいまだにおねむだし、ティンケは今日はゲストだから。


ノヴェ君にやってもらうか。彼はかわいい後輩でもあるし、僕の心の一部でのあこがれの人でもあろう。


彼と初めて会ったとき、彼は間違いなくチンピラ崩れの、ざっこい少年だった。筋肉ダルマが怪我を負わせた迷惑料を元手に、あっという間に事業拡大して、市場を乗っ取らんばかりになった。


それだけならまだしも、彼が手に入れた金で炊き出しみたいなのをやっているのをみて、本当にすごいと思った。拝金主義というほど極端ではないが、金で動く傭兵をやっている身としては、ものすごい皮肉を言われているように見えたのだ。


彼が団にはいったあとも、こっそり炊き出しを続けているのは気が付いていた。まぁ、ウーノも気が付いていたかもだけど。


そんな彼を、尊敬するのと同時に、一つの欲求が沸き起こった。彼を占有したい。


男同士でのこの感情は「世間様」からしたら、変なこと、人によっては気持ち悪いことと取るかもしれないが、僕はそれを気にしないし、だいたい、団には性的マイノリティーのがマジョリティーな気がする。


かつてゼロと付き合っていて、今はトレを好きなドウエはバイセクシャルだろうし、ドウエと付き合っていたゼロであるクワトロもバイかゲイ。


そして、恋愛感情に関しては、今のところセッテと熱愛中っぽいウーノも、何か隠しているだろう。探る気はないけどさ。


おっと、考えるのもいいけど、手も動かさなきゃ。


まあ、とにかく、好きな人はそばに置いておきたいって話。世間様とかは知らん。


簡単だけど面倒な作業が多いこの術式は長引くと精神的に来るので、早くしたいけど……。


これはどうも、数日はかかりっきりでやらないといけないコースみたいだ。


そろそろウーノが目を覚ますけど、つまり事件から24時間ぐらいたっている。先ほどの「2乗に比例する」の単位は、残念ながら「分」なんだよなぁ。比例定数が0.01なのがせめてもの救いだ。

0.01(24h×60min)^2=20736min=345.6h=14.4d


要するに、2週間。癒しがなかったら、普通に死ぬわ。こっちが。過労で。


僕は体を改造していて、2年ぐらいなら飲まず食わずでも死なないけど、精神的に無理がある。さすがの僕でも病みそうだ。


好きな人っていうのは、こういう時にいてくれると嬉しいんだなぁ。


不純な気持ちのまま、手術なんてありえないという人もいるだろうけど、事実僕は誰よりもすごい医者だから、そういう忠告はその人に越されてから聞こう。


そもそも、この手術は失敗しえない。今回のゲストちゃんが丹精込めて技術化してくれたからだ。なんなら、新米の医者どころかそこら辺の中高生でも扱えるレベルまで、機械を作り上げてくれた。さすがに幼児にはきついかもだけど。


やることは簡単。ただひたすら、決まったパターンで決まった量の薬品を機械の指示に従って入れるだけ。でも、これが長い。2週間も機械の前に張り付いていたら、頭おかしくなる。


いま、ちょうど三回目の薬品投与を終えたところだ。なぜこんな作業を残したのか尋ねたときに、


「やっぱり、人を生き返らせるのは人じゃなきゃね」


といっていた彼女が思い出される。


「頼むから正気で返ってきてくれよ……。」


その願いをつぶやくと、少し寂しさが紛らわされる気がしたし、逆に寂しさが増す気もした。


 早めにノヴェを呼んで、癒しを分けてもらわないと、こいつはやばそうだなぁ。


 四回目の投与までのカウントダウンが始まった。


ここまで読んでいただきありがとうございます!

さて、前書きでローなテンションで言った話ですが、次回は「電波野郎」の出番です!

おそらく、直接まともに出てくるのは初めてかな?

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