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最強傭兵団活動録:異世界編  作者: 怪物mercury
異世界戦争《攻戦》
27/32

24、開戦前夜withソリア

昨晩からまた時が過ぎ、今回は戦争前日です!

いよいよ、終わりが近づいてきた感があります。

昨日、もう一作公開し始めました!

早速、一日当たりのPVをぶっちぎってくれて、難とも複雑な心境でございます!

 なんでこんなことになったんだっけ。


 私は、セーイとお兄様と、オーディンの城の前にきている。正確に言うと、オーディンの城の少し手前の森から、オーディンの城の様子をうかがっているのだ。


 さすがは軍事国家の城を名乗るだけある。がちがちに固められた城の内部は全く見えず、巨大な堀にかかった跳ね橋は今はもう上がっており、完全に籠城するつもりであろう。


もっとも、あの好戦的な国で知られるオーディンが、完全に引きこもっているなんて、怪しさここに極まれり、だけど……。


残念ながら、今はどう動きに来るかわかったものじゃないから、見ているしかない。


 ちなみに監視は私かセーイの役割である。これは、監視の経験があるから、とか、一番強いお兄様を戦闘要員としてなるだけ消耗させたくないから、なんていう理由ではない。お兄様が、


「お前らを二人きりにするのは、兄として認められん!」


 とかいう言葉を放ったからである。


 以前、文字通りの意味での「手を出す」に該当しかけた、魔法測定の時のことを、お兄様に聞かれたとき、走って逃げてしまったのが原因のようだ。


 確かに、肩とか腕とか触られて、何も感じなかったわけではない。けど、あのまま、他の目的で訪れた部屋で、流されてしまうのは、姫的にも、乙女的にも許されないと思った。


 そう、私は何もしていない。何もしていないのだから、やましいことなんて何もない。もちろん、セーイは勝手に手を出そうとしていたし、それこそやましいことだ。


 ましてや、押し倒そうとしていた娘の兄がそれを知らずに勢いよく地雷を踏み抜いたとて私には何の罪もないし、逃げる必要なんてない。


 そう……ない……はず……だよね?


 オーディンの不意を衝くために北東から迫ったので、沈む夕日がオーディン城の黒さを引き立てる。

私は、フェンリルの城を守った後、どうなっているのか、お兄様とセーイとともに野宿するなんてカオスなことになった経緯を振り返ることにした。




 防衛線が終わった後、お父様もお母様も、「これはまずい」ってことになって、慌ててオーディンへの使者を出すことにした。けれども、こいつが曲者だったのだ。


 そもそも、使者というのは命がけの割にはどんな扱いを受けるかわからない、最も嫌な仕事だ。しかも、今はとある事情で国は財政難である。


 捕虜が多い。


 そんなの売りさばけとか、殺しちゃえとか、いろいろ言われるかもしれないが、聞いてほしい。相手は軍事国家のしかも大国。


 そんなところの捕虜を奴隷として売りさばいちゃうとか、軍隊丸ごと一個分殺しちゃうとか、正気とは思えない。


 いくら強いセーイがいても、数での戦いになったらまず勝てないし、そもそもセーイとて属性がすごくて、彼がその特性を熟知しているだけで、魔法自体が異常な強さを誇るわけではない。


 彼も軍隊丸ごと一個、昏倒させたあの魔法は、あくまでも自分を媒介に使っていただけで、彼自身の魔法であそこまで威力を出したわけではないらしい。


 それに天気が雨または曇りでないと使えず、内陸のオーディンはほとんど雨が降らない。


 使えないわね、彼も。


 仕方がないから彼と私という、なんちゃって戦力と居候、いなくなっても困らないけど、身分とか能力的には使者としても申し分ない二人が選ばれる。


 娘にもう少し手加減してくださらない!?


 そこでオーディンに向かうことになった私たちが森を(もちろん馬で)駆ける途中、目の前を大きなレーザー光線がぶち抜く。


 王族として放置できない由々しき事態と、それの様子を見すことに決めた私と、そもそも使者とかじゃなくて攻めたいとかいうけど、決定権がかけらもないセーイで様子を見に行くことになった。


 そこにはなんかよくわからないけど、セーイの魔法と同じエネルギーで動くキカイとかいう鎧がお兄様と戦っていた。


 セーイは驚きつつもそれを止め、私はお兄様と無事再開を果たした……んだけど、その二人の仲は険悪。まあ、お兄様は私に近づく男にはみんなそうだから、あまり気にしちゃいないけど。


 でもまあ、セーイは追い払わないでほしいかなぁとは思う。出会いは最悪だったけど、それも誤解だったことが分かったし、今となっては……いや、なんでもない。


 とにかく、二人には仲良くしてほしい。一緒に旅をする二人が仲悪いとか、居心地悪すぎだし。


 そして、城に近づいたら、いつもはおりているはずの橋が下がっていて、中からは何となくせわしなさそうな雰囲気が。


 下手に近づいて射かけられるのも嫌だし、様子見と思って近くの森に陣取ったら、そのまま動けなくなったわけだ。


 近くの村の住人に話を聞くと、最近になって急に兵と食料を集め始めたんだとか。


 籠城が完成する前に攻めようにも、三人しかいないし、変えるにはフェンリルから遠いのでどうしよう、といったところだ。




 ふと、森の高い木を使って、「ジュウデン」とかいう魔法をしていたらしいセーイが返ってくるのが見えた。


 彼といるとドキドキする。戦争より緊張するといっても過言じゃないぐらい。まあ、私に限って恋なんてないだろうから、純粋に彼を国賓的な扱いと思っているのだろう。


「いい知らせと悪い知らせ、どちらから聞きたい?」


 よくある質問だが、この質問に対する答えは、私はいつも決めている。


「セーラ様には敬意を示すところから始めなさい。」


 冒険者仲間でよく使われるこのフレーズに対し、ワタクシお上品な娘がいつも使う答えだ。ちなみに、これを言ったときに


「さっすが女王様。」


 と言われて一瞬焦ったが、そいつのパーティーメンバーから意味をきいて、そいつ自身のことはバキバキにして風俗へ放り込んだ。ただし同性愛用の。その後彼の姿を見た者はいない。

 さて、セーイはというと、


「さすがお姫様。」


 こいつも血の海に沈めてやろうかとも思ったが、我慢我慢。


「それで?なに?」


 指の骨を一本外してやり、悲鳴を上げながら倒れるセーイを見つつ聞いてやる。


「痛い痛い、大馬鹿野郎!悪いニュースは、ここに俺らがいるの、おそらくとっくにばれている!

あいつらは籠城するようだが、刺客ぐらいなら来るかもしれん。あのシスコン野郎にも伝えておけ!」


「あら、悪いご報告からありがとう。お礼に直してあげるね。」


 社交界用のほほえみで(使ったのは一回だけだったが。)笑いかけつつ、一番痛いほうお法で直してやる。


「ぐあっ、女子がやることじゃないだろこれ……

おい、もうやめろ!

いいニュースを痛みで忘れる!」


仕方ない。やめてやろう。


「いいニュースは、ユミルだ。

ユミル軍が来た。

おそらく、明日には到着するだろう。」


 あら。本当にいいニュースだ。仕方ない。ご褒美にあたまでもなでてやるか。でも、緊張するなぁ。偉そうとか思ってないかな。


「何もじもじしているんだ?トイレか?」


 そうだ、指を取ってあげよう。


「バカバカバカバカ、痛い、痛いっての!」




 さて、不寝番が昨日だったから昼でも寝ているお兄様を妹目覚まし:ダイレクトver(旅行用の鍋で直接殴る)して、優しく起こして差し上げた後、軽く話し合って、向こうへと移動し、ユミル軍の一兵卒に紛れて戦争に参加することにした。


 合流できるころには夜になっていたが、上手く兵士さんと接触できた。


 兵力的にはいつでも大歓迎らしく、私たちを流れの傭兵かなんかかと思ったらしい分隊長さんは、自分の分隊に入ればいいと言ってくれた。もっとも、彼の場合は出世になるから、とかかもしれないし、おそらく手柄だけ増えるからだろう。


 もちろん、こっちはそんなつもりはないし、こちらも身分を偽っているからお互い様だが。


 今日は、オーディンの城からの奇襲を防ぐため、少し離れたところに泊まるらしい。焚火を焚いて、ご飯を食べると、つかれていたのかお兄様はすぐに寝てしまった。こういう、豪胆なところは見習うべきだろうか。


 セーイに聞いたら、


「これ以上豪胆とか。ミノタウロスにでもなるつもりかよ。」


 と言ってきたので、再び指を取ってからつけてあげた。もちろん骨だけだが。


 しばらく黙っていると、変な空気が流れてきた。


 それもそのはず。ここは軍隊。つまり、男のたまり場。稼ぎ時の女たちが商売を始めたのだ。


 少し顔を赤らめて露骨に目をそらすセーイは、年頃の少年だ。その横顔を見て、自覚する。けれども、たとえ心の中でも言葉にしてはいけない気持ちだ。


「ど、どうしたの、赤くなって。気になるならあんたも言って来ればいいじゃん。」


「そんな顔で言うなよ……。」


 言われて、自分が友をからかう顔ではなく、男を苦しみながら突き放す女の顔になっていることを自覚する。


「そ、それはっ、あ、あたしはっ……。」


 さっき、だめだと思ったばかりなのに、口が勝手に動く。


「お前のこと、好き……だから。」


 うっかり口を滑らせたものとはいえ、姫なのに、告白をしてしまった。本当はいけないのに。


「……ごめん。」


 聞かなかったことにはできなかったであろう告白に対する返事は、聞かなかったことにしたいぐらい残酷なものだった。


「な、なーんて、冗談でしたー。

一国の姫にこくられるなんて、いい夢見れそうでしょ?

ほら、明日は勝負なんだから、おやすみっ!」


 カラ元気にカラ元気を重ねて、何とか出した言葉が空気よりも軽いものであることは誰よりもわかっていた。テントの中に戻る途中に、心なしか大きく聞こえた独り言は、


「なら、泣くなよ……。」


 その、一言だけだった。


ここまで読んでいただきありがとうございます!

いかがでしたでしょうか!

よろしければ評価やブクマお願いいたします!

みなさん、彼が旅に出た理由、覚えておいでですか?

そう、彼は我らが発明少女、美月ちゃんがすきなんですね、たぶん!

戦争も恋愛も、そろそろ完結いたします!

もちろん、分裂編もきちんと書きますよ!?

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