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最強傭兵団活動録:異世界編  作者: 怪物mercury
異世界への遠征
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0 ノヴェの回想

初めての投稿なので、お手柔らかに。励ましとか、アドバイスは泣いて喜びます。

単なる誹謗中傷は単に泣きます。

よろしくお願いします(?)

某国、某所にて。


「こちら、ご依頼のウラン200トンでございます!」


呆然とする相手を見るのには慣れているが、それでも動いてもらわないとならない。商談というのは、対話をするから商談なのだ。


「お客様?こちらでよろしいですよね?」


「あ、ああ。すまない。

少し驚いてしまってな。いやはや、うわさ通り、いや、それ以上の腕前だな。

まさか、注文から二日でこれだけを用意するとは。

君に仕事をお願いして正解だったよ。

約束の5億ドルは、振り込んでおいたよ。」


「確認できております。

ご利用、ありがとうございます!

 ぜひ、今後ともごひいきに!」


うんうん、いい商売をした。こう見えて、薄利多売がモットーなもんだから、利益はなかなか出ていないけど、まあいいや。


 僕は戦闘力がないので、こういうところでしか団に貢献できない。 それでも、お金が好きなもんだから、同時に団の経済係を任されていたりする。


 そもそも、実は僕は一番お金を稼いでいない。毎日遊びほうけているオットよりもだ。


彼は一度の手術で数億は稼ぐし、一見儲かっていなさそうなティンケやセーイも、自分の発明品を少し売りに出したり、ネット産業でテキトーにいじっているだけで儲けになっていたりする。


 もちろん、直接的に戦力になり、仕事に生きるドウエ、トレは桁違いに稼ぐ。


 だが、彼らは皆大事なところが欠けている。貯めないのだ。どんなに儲けても、使い切ってしまったら意味がない。なぜならお金だもの。


 待たせていたリムジンに乗って、「帰ろう」と告げる。


 僕らの会社は「傭兵団」と呼ばれる。仲間内では主語を抜かれるか、「傭兵団」を省略した「団」とだけ言われる。


 主要メンバーはイタリア語の数字が名付けられ、自分の助手を持てる。助手は「エクストロ」といい、日本語風に「クロ」と略される。(なぜかティンケだけは、「エロ」と悪意ある呼び方をする。)


 クロの人数はそれぞれで、非戦闘職のメンバーには多くいる。僕は五人だ。


戦闘職だと、ドウエは一人、トレはゼロ。クワトロはよく知らない。


こんなことを考えているうちに目的の飛行場へ到着。ここからはヘリで移動だ。


「到着まで約8時間です。」


執事のクロの言葉を聞き流しながら次の商談について考える。


2万カラットの天然ダイヤモンド。

 旧ドイツ、日本軍のロストテクノロジー。

 NASAが捕えたとされる宇宙人のミイラ。

 どれもこれも、簡単で面白味のない依頼だが、薄利多売の精神にのっとって、きちんとやろう。


 そう思っていると、面白そうな依頼を見つけた。

「異世界の領土」

しかも、報酬は無制限。

これは優先してやりたくもなるもんだろ。



 団のビルに到着した。屋上に僕を降ろすと、隣の市へとヘリは飛んでいく。


 この、団のビルには特徴がある。入口がないのだ。さらに、二層構造になっている。到着すると、ティンケが作ったワープ装置によって、「表」のビルに飛ばされる。


ここはやたらと壁の体積が大きい。

さらに、表向きにはセキュリティー会社ということになっている。それをドアのない一回まで下りて、エレベーターのボタンを週ごとに変わる暗号の順に押すと一階分上がって、反対のドアが開く。これでようやく、「傭兵団」のビルに入れる。


 ・・・用心深すぎるだろ。

しかも、このビルは、何があってもやっていけるようになっている。

詳しいことは設計したティンケしか知らないだろう。


 団員は、ビルに帰ってきたらウーノから給料を受け取る。僕以外は。


僕は部屋に直行し、シャワーを浴びて寝る。


 ふと、さっき見つけた依頼を思い出した。


「異世界か、まずはいかないとダメだよな。」


内線の電話を取ると、まずはウーノに相談することにした。


「・・・と、いう話なんだが、どうだろう。この依頼、恐らく団員みんなの力が必要になる。

 報酬は無制限だから、損をすることはないだろうけど、依頼難易度はSにも届くと思う。」


電話先で、ウーノはしばらく考え込む。


「ふむ。どうもこれは戦争が絡んでいながら、僕の予知外のようだ。珍しいこともあるね。

 そもそも、技術的には可能なのか、ティンケに相談してみるといい。」


やっぱりそうかぁ。


 分担の内容上、手を組むことが多いティンケだが、いまだに理解が追い付かないところがあり、電話するのには少しだけ腰が引ける。しかし、何かを言う前にウーノは電話を切っていた。


自分で話せ、ということだろう。


 一度受話器を置くと、すぐに電話がかかってきた。


「やあ。頼むから盗聴はしないでくれ。」


「なんだい、僕のほうから電話をしてあげたのに、とんだ言いぐさだな。

 それに、何度も言うけど、僕のこれは盗聴じゃない。人工ラプラスの悪魔が僕に教えてくれているだけだよ。猫ちゃんよりも強い悪魔君がね。」


そう。この、何を言ってるのかよくわからない少女が、ティンケである。


僕が「なんでも調達する」なら、彼女は「何でも作る」だ。僕はよくわからないが、科学については200年以上も進歩しているらしい。見ている限りじゃ、もっと進歩していそうだけど・・・。


「それで、今回作ってほしいものなんだけど・・・」


「異世界の扉だよね。製作期間、結構長引くかも。

 材料として、用意してほしいものがあるんだけど。」


話を被せてくるのはいつものことなので、言われたものをメモし、クロに渡す。


「反物質一キロって、君は一体いくら使うつもりだい?」


「報酬無制限なんでしょ、いいじゃん。」


まったくもって、どこまでも食えない女だ。


相変わらずここの人は、最後まで話を聞くことなく電話を切ってしまう。


最後に報酬の話をするの、僕なんだけどなぁ。


 今から考えても仕方がないことはわかっていながら、胃が痛くなってきた。


夜ご飯をあきらめて、寝ることにした。




夢だ。最初に自覚したのはそれだった。


明晰夢とかいう奴か。


目の前に、少年がいる。おなかがすいたと、泣いている。それでも、 周りの大人たちは素通りしていく。


ここは、スラムだった。


 よく見ると、その大人たちの中には、クワトロがいた。しかし、他の皆はいなかった。


 せめて、自分だけでも少年を助けようと手を差し伸べる。しかし、少年は気が付かない。


すっと、誰かが動く。クワトロだ。


僕は彼(彼女?)を知っている者なら、誰でもそうすると思うが、少年をかばうように立つ。死んでも誰も気に留めないような少年と、暗殺が趣味の奴なんて、相性が悪すぎる。


「とまれ!」


僕は叫ぶが、少年がそうであったようにクワトロは止まらない。いや、聞こえていたとしてもクワトロなら止まらないだろう。


 彼は、そういう人間だ。誰とも仲良くしないし、ウーノとすらわずかにしか口を利かない。気分屋で、したいことはするし、したくないことはしない。


そう、殺しさえも気分で決める。彼がそうと決めたら、少年は彼の気が済むか、殺されるまでターゲットだ。


クワトロが僕をすり抜けた思ったら、音もなく少年の首が落ちた。

どういう切り口になっているのかはわからないが、血は一滴も流れない。凶器すらもわからない。


最初から首が繋がっていない置物かのように少年は死んだ。


ごろりと、少年の首が自力で回転する。思わず目が下を向く。


最悪なことに、目があってしまった。


そこにあったのは、自分の少年時代の顔だった。生首がニコリと笑うと、今までなんともなかった傷口から、急に血が噴き出してきた。


僕の顔にも飛び散り、目に入る。


思わず目をつむるが、まぶたなど無い様に目に血が入り込んでくる。


その時、少年と自分が入れ替わっているのに気が付いた。


意識が真っ赤に染まり、激痛がする。


僕は、意識を保つことをあきらめて、血の海に沈んでいった。




いやな夢を見たもんだ。少年時代、僕はこんな恰幅のいい人間じゃなかった。スラム出身で、がりがりにやせ衰え、今にも死にそうだった。青年になるにつれ、盗みやかっぱらいにも手を出すようになった。


もちろん、一介の少年がそんなことをしていたら、その土地を束ねるマフィアに目をつけられて、消される。


僕もまさに、そうされる瞬間だった。


大通りからいくつも離れた、建物の間の空き地に、いわゆる拉致というものをされたのだ。


今まさに殺されるというとき、大きな鉄塊ともコンクリート塊とも言えるなにかが、いつか見た戦車の大砲のように突っ込んできた。その反動で、マフィアも僕も、大きく吹き飛んだ。


クレーターのような跡の中心には、筋肉がアメコミのヒーローのように肥大化した青年が立っていた。


僕は吹き飛ばされた反動で頭を打っていたらしく、意識が霞む中、別のところからも声が聞こえた。


「おー、よかったね、青年。

命拾いしたってやつじゃないか。」


その声とともに打った頭の痛みが引いていく。


目を上げると、やさぐれたような雰囲気の男がいた。

男は、重たそうな袋を取り出して僕に渡した。


「これ挙げるからさ。ちょっとここから逃げてくれよ。

 あいつ、暴れ始めると近くにいられないからさ。

 俺ももう逃げるから。じゃあにゃぁ。」


そういうと、どこかへ走って行った。


一方、恐らくその「あいつ」であろう青年は、圧倒的なまでの存在感を持ってそこにいた。思わずその存在に見とれてしまいそうになるが、男の忠告を思い出した。


 さらに、自分の本能のようなものも逃げろと言ってきていた。


 あわてて走り出し、大通りまで逃げた。空地はかなり遠くへ。息も絶え絶え、暴れる心臓をなだめていると、あることに気が付いた。


 周りに人がいない。いや、周りにいるのは人じゃない。

肉塊と化したマフィアの末端構成員たち。首のないマフィアに貢いでいた者たち。スラムが、血で染まっていた。


やがて冷静になると、さっきの男がどこにもいないことに気が付いた。あの空き地からここまでは一本道のはずだ。


いやな予感。


刹那、爆風が僕を、というより町全体を襲った。吹き飛ばされる途中で、さっきの男も一緒に見た気がした。




その後僕は目をさまし、筋肉の青年に拾われた後、やさぐれ男の治療を再び受けて、生き延びた。


渡された袋の中には大量の米ドルと日本円が入っていた。


なぜこの組み合わせなのかはよくわからなかったが、それを元手に商売をはじめ、成功した。


スラム時代の経験を生かし、どんなものでも、確実に、いくらでも、素早く調達した。


そうこうしている間に、月日は流れ、5年後。


僕の名前は、表の社会よりもむしろ裏で通るようになった。調達師などと呼ばれ、さまざまな調達をしている一方で、スラムや難民キャンプに炊き出しもしていた。


僕や、僕が雇っている人々は難民やスラムの住人に「救済団」と呼ばれ、「団」と省略されることもあった。


そんな救済活動をしているときであった。とある難民の老人に言われたのだ。


「おぬしら、ワシらを救ってくれることはとてもありがたい。だが、頼むから『団』の名前は使ってくれるな。」


 急に言われたことなので驚きもしたが、特に気にすることでもないと捨て置いていた。


数日後に、ドウエと名乗る、俺を助けてくれたあの人物が現れるまでは。




「悪いな、ここのトップは君なのか。」


先頭には、以前僕を救った青年。しかし、今回は大きな鎧を身に着けていた。


その後ろには、黒髪黒目のいかにもといった日本人風の男、大きなゴーグルと鉄柱を背負った女性、体中に布を巻きつけ、さらにマントで体格をごまかした人(性別不詳)。


 さらにその後ろには僕のことを二度にわたり治療してくれた男がいた。僕に気が付くとひらひらと手を振り、にかっと笑った。


「はい、そうですけども・・・。」


少しは緊張がほぐれていたが、相変わらず圧が強い人だった。スラムにいると、まれにこういう人を見かけた。自分の力で生きていく人の目をしているのだ。


「突然で悪いが、『団』と呼び、呼ばれるのを控えていただきたい。

 君らの身の安全にも関与することなんだ。」


よくわからないが、ここは黙ってうなずくしかなさそうだ。


 首を縦に振ろうとしたとき、日本人の男が割り込んできた。


「ごめんね、こいつ不器用でさ。いつも説明が足りないんだ。

 えっと、僕たちは、『団』って呼ばれているんだよ。

 それで、まあ、アングラなお仕事をしているわけさ。

 そこで、同じ名前を使っていると君らに被害が及ぶといけない。

だから、説得のためにこんなに大所帯で来ているんだ。

 どうだろうか、ほかの名前を使ってはくれないかな。」


なるほど。この日本人の男の説明で何とか理解ができた。


つまり、僕を救ってくれたのも、この組織だったのか。僕には、この時点で一つの案が思い浮かんでいた。


「はい・・・わかりました。

 それでは、僕を、『団』に入れてください。

 それなら、問題はないはずです。」


言葉を聞きながら、日本人の男は苦笑いしながら眉を顰め、口を開いた。


「君がそうやっていうことは『知っていた』よ。

 でも、僕たちの仕事はそんなに甘くはないんだ。

 手を引いてくれないかな?」


「僕だってそんな生半可な気持ちで言っているわけではありません!」


 思わず反論すると、鎧の青年、(いや、よく見るともう十分に大人だった。)の圧力が一段階強くなった。思わず、護衛のスナイパーに合図を出しそうになった。しかし、いつの間にかマントの人が僕の後ろに立ち、合図に必要な左腕の、手首のところにナイフを当てていた。


 ゴーグルと鉄柱の女性は座り込んでいた。姿勢的にスナイパーだろう。あのサイズが銃ならば、問答無用で僕のスナイパーを消し飛ばせるはずだ。


 それに、もしあちらが打たれても、やさぐれ男がいる。あいつなら、銃創ぐらい瞬時に治してしまうだろう。


「やめやめ、張り詰めなーいの。」


そのやさぐれ男がヘラヘラと言った。すると、日本人の男がふっと笑って、


「今、面白い未来が見えたよ。

 僕にしては珍しく、戦争以外のことについてだけどね。

 なるほどいい話じゃあないか。

 君の加入を認めよう。」


意外とあっさりだった、のだろうか。




気が付くと、窓の外は明るくなってきていた。もちろんこれは実際の景色ではなく、ティンケいわく「マジックミラーの究極版」らしい。


そして、ティンケのことと同時に反物質の要求も思い出した。

うっ、胃が痛い。二度寝をしよう。

ここまで読んでいただきありがとうございます!

いかがでしたでしょうか!

よろしければ、評価、感想などお願いします!

次回はまた、違う団員の目線から書かせていただきいます!

ぜひ、次のお話にお進みくださいませ!

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