10、クワトロは、愚かな王子と希望を抱く
ワードで書いたのを張っているだけだと段落がおかしいと、今更気が付きました。
ずきずきと痛む体を引きずって、森を歩いていた。
くそっ、さっきのあれは、ティンケの熱戦銃だったか。「光の速さは無理でも、相対性理論的に一番早そうな銃を作った!」そう、嬉しそうに話していたあいつの顔が思い浮かぶ。
あいつの作った銃でなければ、俺の遺伝子が逃げるものか。俺の左腕を撃ち抜けるものか。
「ぐはっ。」
血反吐を吐くと、こんなことになった自分の体を鼻で笑い飛ばす。最後の試験、これだけにはあいつを参加させたくなかったのに。
未来予測も、ここじゃできない。あれはあくまで知識などに基づく技術なので、自分の知識の外のことは予測できない。ましてや、脳が半分以上寝ているならなおさらだ。
撃たれた後、とりあえず北に逃げたのは何となくであり、運がよかったとしか言いようがない。しかし、俺はまだ死ぬわけにはいかないんだ。
森の中を抜けると、そこには草原と、兵士がいた。
道なき道を進んできた俺に、間違いなく怪しんだ兵が声をかける。
「きみ、どうしたんだ!」
俺は、やばいと思う間もなく意識を失った。
敵対勢力を発見、鎮圧開始……終了。
目が覚めると、兵士たちが死屍累々となっていた。一人だけ立っている男は……。強いのではなく、太いから風圧で飛ばなかっただけか。隣町でうわさを聞いた、ドラゴン王子だろう。
部下がドラゴンを倒したという話を、自分が上司だったからという理由で自分の手柄にした、ドラ王子ならぬドラゴン王子。
しかも、なんでも自分の兵の訓練の邪魔をするんだとか。異世界人の考えはよくわからない。
「だ、誰か私を助けろ!
くそ、使えない兵どもめ、全員縛り首にされたくなければ助けるんだ!
ち、畜生!
き、貴様何者だ!
金ならやる!女も、飯でも、好きなだけやる!
だから、殺さないでくれっ!」
確かに目の前で精鋭の兵が倒されたとはいえ、ビビりすぎだろ。けど俺も、たちくらみやばっ……。
「クワトロだ。」
王子を助け起こすように引っ張り上げながら、きちんと名乗った。
「た、たのむ、命だけはっ
殺さないでくれっ
俺の代わりに、こいつらならいくらでも殺していいっ。」
自分の後ろの兵たちを指さすこいつに、心底あきれる。自分の盾になり、転がされて、床で呻いてる味方を生贄にするのは、「遺伝子」を持つ俺から見ても人として信じられなかった。
だから、こいつにこそ生贄になってもらうことにする。最後の試験。こいつのことは利用させてもらおう。これで終わりにする。
殺したのはお前だ。しょせんは人でなし。人工なんて知らん。死ねばいいのに。誰か助けて。ティンケに会いたい。左手が痛い。あいつらにこそ、最強の名はふさわしい。こいつは何なんだ。最高傑作の「遺伝子」などくそくらえだ。
だめだ、また頭の中がこんがらがってきた。眠い。倒れるように眠る。
目が覚めると、そこは城の中だった。それも、牢とかじゃなくて好待遇の。何が起きているんだろう。
メイドさんが入ってくると、
「失礼します。」
とだけ言われてご飯を置いていった。パンにスープ、コーヒーだ。
え?え?と思っているうちにメイドさんも消え、そこそこの味の食事
をいただく。
おそらく、王子の客ってことになっているんだろう。着替えはないし、この特別コートを脱ぐ気も起きなかったから着替えはせずに、ふらふらと部屋を出る。
「遺伝子」が争いの気配を感じるが、必死で抑え込む。部屋に戻って、もう一度寝た。
俺は遺伝子に何らかの情報操作をされているようだ。そう、以前ティンケが話してくれた。オットもうなずいていたし、それは確実なんだろう。
でも、俺には記憶がなかった。どこか薄暗いところで子供時代を過ごした、ぼんやりとした記憶はある。ゼロとしてみんなと過ごした記憶は薄くない。でも、どちらも自分でないようだ。他人の人生を生きているような変な感覚。
まともな記憶は、ゼロが敗北し、治療を受けた直後だ。
それでも、時々頭や記憶が混乱する。
だから、試験を「団」に課して終わらせることにした。「遺伝子」の暴走も増えている。急いで、試験を終わらせないといけない。
怖くはない。むしろ、すがすがしいような気さえする。
目を覚ますと、知らない天井よりもきたないおっさんが目の前にいなければ快適な目覚めだったのに。
不愉快な目覚めも、気持ちい朝も、あと何回迎えられるのだろうか。
今日はなんか文章の調子が悪いです、本当にごめんなさい!
明日からまた気張っていこうと思います!
もしかしたらこの章は自己嫌悪で消すかも……。




