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最強傭兵団活動録:異世界編  作者: 怪物mercury
異世界での出会いと別れ
10/32

8、我が国の現状及び隣国との関係についての覚書

今回は、悩んだ結果、異世界人のお姫様のお話になりました!引っ張ってごめんなさい…。

それでも、きちんと重要なお話ですので、飛ばさずに読んでください!

よろしくお願いします!

我が国はただいま大変な危機に陥っている。北のオーディン大帝国と、東のユミル公国は戦争をはじめ、板挟みに近くなっている……だけでなく、南からは海賊がじわじわと縄張りを広げてきており……


 かけるかぁっ!


私は羽ペンを投げ捨てた。かけない。こんなのかけない。ただでさえお父様は最近心労で体調を崩し気味。


お母様も、本来なら


「女なんてすっこんでろ!」


とか言われるような分野においても東へ西へ走り回っている。


 お兄様は、


「何とか戦争をやめてもらえるようにしてくるよ。」


といって少ない従者とともに行方不明。


 お姉さまはせめてもの救いにと、西のトール王国へと救援要請という名の色仕掛けに行って、そのまま嫁入りしちゃったし、援軍は少ししか来ない。練度も低い老兵か少年兵ばかり。


 この前最前列に並んでた少年なんて、10歳ぐらいだったし……。


 そして何よりの問題は、首都南西方向に馬で二時間ほどのところに現れた、でっかい柱。中には、神の住処の柱だなんていう人間もいて、みんなの不安が高まっている。


 私の名前はソリア。この小国フェンリルの第二王女。そう。第二王女。つまり、渦中の人というわけだ。


 本当は、オーディンかユミルのところに嫁に出されて、愛想を振りまく役目だった。


 けれど……。


 初めての社交界デビューは、オーディンの王子の誕生会。とんでもなくえらいところ。そんなところでのデビューって、頭おかしくない?と思ったけど、はいはい、お父様には逆らえませんよ。


 さて、そんなたいそうなところでデビューしたんだ、さぞ良かったろう、って?


 最悪でしたよ。待っていたのはかっこいい王子様!……なんかじゃなくて、油ギトギトのデブキモ野郎。いや、いいのよ?さすがに、人のこと外見で判断する気はないし。


 まあ、年頃の男だし、尻を触るぐらい許してやる。でもな。


 手があたしの胸にも割とあからさまに伸びてきたとき、お前、舌打ちしたよな?割と、どころか嫌味でもいうかのようにチッ!!!て。なんなら、ビックリマークがもう何個もつくぐらいに。


 ええ、ええ、確かにあたしはスレンダーですし?お姉さまほどの体じゃありませんが?


女の体に勝手に触れて、舌打ちはねえだろ!


 ぶちぎれて、「うるぁあ!」の一言とともに右手一閃。内臓えぐるように殴ったつもりだったけど、脂肪のおかげで命拾いしやがった。

 もちろん、取り押さえられて牢屋に直行。お父様の腹痛の増大と引き換えに私も命拾いした……したんだよ。


 したんだけどさぁ!


 まさか、あの後、オーディンの王子が敵国であるはずのユミルの王子にまで根回しして、


「あいつはやばい、男よりよっぽど怖い。」


なんて文書を送ったせいで、向こうのパーティーも誘われなくなった。代わりに、軍部への誘いは来たけどな!


そんなこんなで行き遅れ確定コースのごくつぶしとなり果てましたとさ……はぁ。


お父様は腹が痛いとか言いながらも、何とかしてうちが戦争に巻き込まれないように、民たちの安全を確保できるように、走り回ったり何なりと忙しい。


少しでも仕事を引き受けて、お父様に楽になってほしいけど、私ごとき脳筋ムスメができることにはかぎりがありますわ!


せめて治安をよくするために、冒険者ギルドに偽名で登録して、セーラの名前で活動している。武器はダガー……なんていう乙女チックな奴じゃなく、ゴリゴリのおっさんが担いでいそうな大剣。重量は、こないだは仮に乗っけたら、鋼鉄製のはかりがつぶれた。


……そもそも乙女チックなんてこの非常時に求めている余裕ないんだから、使えるなら強い武器のほうがいいのよ!


よく、筋肉娘のセーラなんて呼んでくる飲んだくれどもをつぶすのには、手間がかかるけどさ。


書きかけの資料なんて、こんなごみ資料、ぽいだ、ぽい。さっさと着替えて、ギルドに行こう。そっちのほうが、よっぽど性に合うし、人々のためになる。ダイレクトに。


それに、この活動はこの活動で、きちんと意味があるし、お父様にも許可をもらっている。よって問題はない。


さてと、爺やにあげた睡眠薬入りのクッキーがしっかり聞いているのも確認した。冒険用の装備も万端、いざ、出発!

 とんでもない変化が待ってるって、この時気が付いていればなぁ。




 ……さてと、この人、何者?


 強い新入りが来たって噂で聞いた。そこまではOK。ギルド登録試験官が負けた。珍しいけど、なくはない。私もそうだったし。


 けど、ナニコレ。


 こいつ、手を振り回しただけで大剣ごと私を吹っ飛ばしやがった。しかも、今のは魔法抜き。魔法はおそらく、使えないだろうけど、使えるのならヤバイ。


 オーディンやユミルでは、力の強いものが国王になり、その後も厳しい教育とか、英雄の地を取り合っているとか、聞いたことはある。それに匹敵する強さだぞ、これ。


 一応、私らフェンリル王家も、英雄の子孫らしい。それを、片手振り回しただけってどうよ。化け物なんてレベルじゃないよこれ。やべ、落ちる……


「クワトロォ!」


叫ぶ声が、聞こえた気がした。




 ……はっ。今のは?


「目、覚めたか。」


隣りに、イケメンが座っている。全体的に鍛えた雰囲気のあまりない体に、女でも使わない、どころか儀式でも使わないような剣と鉄のお守りらしきものを持っている。


「だれだ、君は。」


 一応、私が誰かを知っている相手だと面倒だったからそう聞いたけど、周りで同じように寝かされているギルドの仲間を見れば一目瞭然だった。


「助けられて一番にそこを聞くなんて、大したご身分みたいだな、お前。」


イケメンだけどトゲトゲしい奴だな。


「すまん、混乱していて……

 いたっ。」


「あいつにやられて生きているほうがめっけもんだ。」


「あいつを、知っているのか?」


悲しい過去を持っていそうなイケメンに尋ねると、


「俺の仲間を殺した、元仲間だ……。」


そりぁ、悲しい過去だな。でも、この業界にはゴロゴロある話でもある。


「驚かないのか?」


イケメンが、自分の話したことは珍しいことだと言わんばかりに目を丸くする。


「よくある話だろ。」


ドライと思われるかもしれないが、これが世の中。恨むなら、世界と自分の運のなさを恨むんだね。


「そうか、ここではそうなのか……。」


 どうも、遠くから来たか、世間知らずらしい。


「ああ、よくある話だ。」


こうとしか返せない。うちだってしんどいなかがんばってるんだ、代の男がシャキッとしなくてどうするんだよ。


 なよいイケメンを言葉で突き放しながらも、彼が相当な覚悟を持っているのは見てとれるから、及第点としよう。


「ほら、ほかの奴らの手当てをしてきな。

 元、とはいえあんたの仲間のケツだろ。」


「あ、ああ。

 わかった。

 それと、少しお願いがあるんだ。それについて話したいから、よければこの後食事でも……。」


「女が欲しいなら娼館にでも行くんだね!」


かっこいいこと言った後にナンパかよ!

 なんてもったいないイケメンなんだ……。腹が立ったから、どなってやった。せいぜい美人に相手してもらえるように頑張るんだね。




「ソリアさま!

 国王様がお呼びです!

 お急ぎで、正装のこととのお達しですので、失礼します!」


 メイド長が直々に来て、ウチを叩き越したのは、次の日の朝……どころか、寝始めて半刻もしない内だった。


「はぁ?

 今何時だよ、馬鹿!」


ドアを開けながらのメイド長に叫ぶと、


「この国では国王様の命に従わない人間が馬鹿になりますよ。」


とやり返された。ちくせう。


「わーった、今行くから!」


「お急ぎですのでお手伝いします!」


ウチに、ガキの着せ替え人形もびっくりの早着替えをさせると、メイド長は言った。


「くれぐれも失礼のございませぬよう。」


失礼なのは今のお前だろ、とか本日二度目の心の中突っ込みを決めると、


「入れ。」


お父様?まだわたくし何も言っておりませぬのよ?


「失礼します。」


もちろん、口にはださないけどねっ!

 さて、入ったはいいけど、あらやだ、大臣の方々まで勢ぞろい。しかも、なんか謁見中みたいなやつもいるし。


「ちこう寄れ。」


お父様は腹の痛みなど感じさせない声で私に言った。


 さすがに、こんな些細なことでお父様の腹痛の種を増やしても仕方がない。素直に近くに歩いていくと……。


「げぇっ。」


 昼のナンパ男じゃねぇか。


「こら、お客人に失礼だぞ。」


「どうかお許しください、セーイさん。」


 お父様=この国で一番偉い人に敬語なんて使わせるって、ナニモンだよこいつ。しかも、セーイって、また変な名前だな。


「いえいえ、かわいらしいお嬢さんに顔を覚えていただき、光栄です。」


何言ってんだ、嫌味か、この野郎。


「滅相もありませんわセーイ様、おほほほ!」


なれない状況に気持ち悪い言葉遣いが口を出た。


「ああ、お昼の時みたいな自然体でいいですよ。

 そっちが素ですよね?」


チッ、面倒な奴だ。


「わかった。じゃあうちもこれでしゃべらせてもらう。

 で、昼間っからなんだ?お前?」


ろくでもない答えは、用意していたかのように帰ってきた。




「いわゆる、異世界人ってやつですよ。」


あーもー、めんどくさそっ。

ここまで読んでいただきありがとうございます!

今回のお話の下では、旅に出たセーイのお話が進みます!

もちろん、ほかのみんなも進みますので、ご心配なく!


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