旅の王国
見る専だったのに、結局初投稿。
もはや趣味を吐き出しているだけ。
雄大な自然の中に、大小様々な村と、それを繋ぐ街道。それを、大きく括って成り立った国があった。
その王国では、王都からの令を伝えるのは、いつの時代も"旅人"であった。長い長い道を歩き、村へと言葉を届ける。いつからか、彼らを慕い旅に出る者や、街道の途中に宿屋を構える者が現れた。
そうして、この王国において旅に出る事は、大きくなって職を持つ程度の、さほど特別な事ではなくなったのである。
その国、その世界には、"術"が存在する。
生まれながらに持つその術は、決して容易に扱えるものではない。才が無くてはどうにもならない、特殊な技能なのだ。剣のように修練を重ねる事は叶わないといっていいだろう。だがそれを手に入れたからといって、何かが変わるのかと言われれば、精々職に就きやすい等、その程度だ。珍しくない訳ではないが、珍しい訳でもない。いわゆる双子のようなものだ。
"旅"と"術"、あるいは街道が、彼らを結びつけたのだろう。これは、王国の小さな田舎から旅に出た、とある一人の少女の話である。