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あの丘で待っていて

作者: 神崎月夜

今日も朝日が昇る。

朝日が街を照らす。

朝日が照らした丘の上、今日もレイラは待っている。

愛しい人を待っている。


「どうして待つの?」レイラに訊いた。

「約束したから…」

レイラは言った。

「だって、あの人は約束を破らないもん。」レイラは私にそう言うと、丘から見える海を眺めた。

「ねえレイラ…」

私はレイラの背中に言った。

「新しい恋見つけなよ。帰って来ないあいつより、新しい恋探さない?」それを聞いたレイラは、私のほうに振り返り、怒っているような、悲しんでいるような顔で私に言った。

「そんなこと…出来ないよ!私、約束したのよ、待ってるって!ずっと、待ってるって……」

「…ごめん」

泣き出したレイラに、かけていい言葉が見つからなかった。謝るしか出来なかった。

「…いいの。それが正しいのかも知れない。けど…やっぱりわたし待ちたいの。」

レイラは私に微笑んだ。

「そう。じゃあ待っててあげて。」

私もレイラに微笑んだ。

じゃあまたね。そういって、私は街に帰った。レイラが一人丘に残る。


それは今から少し前のこと。戦争が始まった。レイラの婚約者であったエルンストも、騎士であったため、戦争に連れて行かれた。明るいマーチ、軍の行進。人々は明るく兵士達を送り出す。しかし、レイラは明るくなれなかった。ただ一人で泣いていた。

出発の前、エルンストは言った。「レイラ、あの丘で待っていてくれないか?俺たちが出会ったあの丘で。俺、帰ってきたら、すぐ行くから。」その言葉を信じ、レイラはあの丘で待っている。彼の帰りをひたすら信じて。


やがて戦争が終わり、ほとんどの騎士達が帰ってきた。しかし、そのなかをいくら探しても、エルンストの姿は見えなかった。レイラは何度もエルンストを探した。しかし結果は同じだった。

死んだという話は聞かない。彼は生きているはず…そうして待ち続け、1ヶ月がたった。


……街に走る人影があった。彼はひたすら走る彼は、信念を秘めた目をしていた。


そして丘をかけ上がる。レイラの丘をかけ上がる。

そして叫ぶ。


レイラ!!


声を聞いて振り返ると、そこには…


そこには、愛しい人がいた。愛しい人は、レイラのもとへ。だからレイラは駆け寄った。愛しい人のもとへ…

彼はレイラを抱きしめた。


もうどこにも行きはしない。もうその手を放さない。レイラ!愛しい人…


沈みゆく太陽は、ただただ静かに、何も言わず、二人の姿を見守っていた……

私はずっと後書きというものが書きたかったのです。

吹奏楽関係者は気付いたかも知れませんが、これは吹奏楽の曲からヒントを得て書きました。その曲を知っている方は、その曲の雰囲気が少しでも感じられたら嬉しいです。

それでは、気が向いたらまた書きます。

コメントを下さったら嬉しいです!

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