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第四話「さて能力者の道へ」

 

「こちらこそ、ヨロシク!悟一」

 栄一は思いきって、その握った手をブンブンと振りかえした。


「さあさあ。これから楽しい事が始まるよ」


 と、悟一は爽やかにいい放つ。


「楽しい事か?悟一よお」

 吉方は眉を潜めた。



「そそ、愉快で痛快な、霊力を高める修業」

 悟一ははっちゃけた感じで言った。



「すぐそこに俺の知り合いが住んでてさ。そいつに頼んで栄一くんの霊力を高めてもらおうと、そう思ったんだよ」



 そう言って悟一は後ろのマンションを指差した。


「あそこだっけ?」

 吉方が聞く。


「そこだよ。いやぁ楽しみだなあ」


「何がそんなに楽しみなの?」

「そりゃ君の霊力がメキメキ上達してさ、俺達の仲間入りだよ」



「ん?悟一くん、俺達ってことは、他にもいるのかい?俺みたいに霊感が付いちゃった人達」


「まあな」

 悟一は薄ら笑いを浮かべた。


「生まれつき、そういう第六感をもった仲間たちは昔から、俺の周りに自然と集まってくる、勿論君も例外じゃないよ」


 すると吉方が口を挟んだ。


「そういえば、お前、スゲェ人脈に囲まれているよな」


「人脈?」

 悟一は不思議そうに聞く。


「ああ、いや、霊能力とか徐霊とかで名を馳せている人達とよく絡んでいるらしいじゃない」


「違う違う」

 悟一は笑いながら首を横に振った。


「有名な霊媒師だから絡んでいるんじゃない。たまたま、話の合う友達が悪霊退治で有名だったってだけだから」


「お、おう。そういう所だよ。お前の人脈に恵まれている所は」


 そうこうしている間に、目的のマンションが見えてきた。


 おおよそ十階建てくらいの大きい建物で3人は自動ドアをくぐって、エレベーターに乗った。


 降りるとすぐに清々しい風の流れを感じられた。


 お香が趣味の住人でもいるのだろうか、と栄一は考えた。


 そして、悟一は玄関の前に近づいてチャイムを鳴らした。


 しばらく、返事がなかった。



「留守だったりして?」

 栄一は悟一の方を見た。


「いや、いるはずだよ」

 その時だ。



「ハアアーーーイ」


 中から、声が聞こえた。

 ガチャッ


 と、音をたてて3人と顔を会わせたのは天然パーマの好青年だ。


 髪の毛はクルクルしていて、五角形の顔を除かせながら


「いい面子が揃っているじゃない」


 と言った。


「ヤマザキさん。彼が先ほど言った長谷川栄一くんです」


 悟一はヤマザキさんと呼ばれる好青年に栄一を紹介した。


「こちらこそよろしく」

 ヤマザキさんは、にっこりと微笑んだのである。


「さあさあ、3人とも、中へ入って」


 そうして、栄一、悟一、吉方の3人は部屋へと案内されたのである。



 部屋は、スピリチュアル関連の書籍がどっさり、それとパワーストーン、水晶、怪しげな壺など、いかにも宗教にぞっこんという雰囲気をかもし出していた。



 ヤマザキさん含めた四人は、部屋の真ん中にあるダイニングテーブルへと腰かけた。


 そのテーブルの真ん中に、フラワーアレンジメントで作られたと思われる切り花がおいてある。


 吸水性スポンジにザクザク刺さった切り花は、ずさんな飾り方で、プロがみればグロテスクとも思える、花々である。


 それを見かねた栄一は声を発した。


「あの、ヤマザキさん。そのお花はどうされたんですか?」


「ん?これかい」


 そう言って、ヤマザキさんは花を手に取った。




「これは俺が習っているフラワーアレンジメントの教室で作ったやつだよ。皆が丁寧に、そして綺麗かつ可憐に花を活けるものだから、おれはそういう方にはまったモノは嫌いでね、どうせなら、けっこう汚い、グロテスクなものを作ってやろうと思った粋な計らいさ」



「確かに、ここまでずさんに作られていると、アレンジメントに対する妙な哀れみさえ感じでしまいますね」


 栄一が言った。



「確か、それが芸術、とか豪語してましたよね、ザキさん」


 悟一は嘲笑うように花を指差した。


「その通りさ」


「じゃあ、ここいらでチョット本題に入りましょうか?」


 悟一はヤマザキさんに語り掛けた。


「ほうほう。そうだッた」

 そう言って、ヤマザキさんは身を乗り出した。



「どんな用件かな?」



「電話でも伝えたと思うんですがね。ここにいる素晴らしい少年、長谷川栄一をあなたの元ですこしばかり修業をさせてもらえないでしょうか?」


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