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桜の世紀  作者: 愛媛のふーさん
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若槻一樹という男5

 警視庁との合同作戦から1週間経った。黒龍会は覚醒剤取り締まり法と騒乱罪で組織ごと手入れが入り、会長以下主だった幹部は逮捕された。組織犯罪処罰法がオウム神理教以来の、適応されて徹底的に組は解体されつつある。若槻一樹の父親の復讐は見事に達成された。作戦で負傷した千堂達は翌日には回復しており、損害はなかった。若槻の自殺だけが、禍根で有る。こうして事件は大掛かりでは有ったが、ナイツの活躍であっさり解決をみた。龍馬りょうま美結みゆは千堂と琢磨たくまの回復を見届けると、Honda.forza250〈ビックスクーター〉に二人乗りして、大阪支部に帰還する事に為った。もちろん教官だった山口平馬やまぐちへいまとの再会ははたしている。

「平さん、成長したとこ見せるんでまたご一緒でけたらええです」

「そやん」

龍馬と美結は平馬にそう言うと、

「皆さんまた」

「またね」

見送るれん達に別れをあっさり告げる。そして千堂に向かって、

「カノジョでけたらええなぁ。」

まどか。美結のおかけで怪我直ったんやから、ごはん奢ってーな」

軽口とも憎まれ口ともとれる軽口を投げ掛ける。彼等は高速道路で、大阪迄帰ると言う。無事を願い皆が見送った。

 蓮とあずみは事件解決の褒美の休暇を、桜の満開になる日迄とっておき、春休みの最期に花見がてらのデートをしていた。喫茶店でお茶して、クラスメートの恋愛話をあずみがしている。蓮は適当に相づち打ちつつ別の事を考えていた。夏休みに村山伸一むらやましんいちを焼き殺した、罪の償いになるならとナイツのエージェントに為った。しかし、前回の光の家事件と今回、続けて死者を出してしまっている。なんの為に自分は剣を振るうのか?解らなく成ってきて、虚しさを感じていたのだ。あずみに気付かれない様にため息をつく。アイスのカフェオレの氷をぼーっと眺めている。

「でね、高橋さんったらカレシののろけ話を延々・・・。聴いてる?蓮!」

「聴いてるよ。高橋さんが、何だっけ?」

「聴いてない(`_´メ)」

「ゴメン。聴き逃した」

「・・・・。出よう蓮」

「まだ、コーヒー残ってるよ」

「いいから」

あずみは蓮の手をとり強引に店から蓮を連れ出し、ずんずん引っ張っていった。そして隅田川に架かる橋に近くと、蓮を目隠しした。

「このまま歩いて」

そう言うと蓮を後ろから押して歩く。そして橋の上で、止まり向きを変える。目隠しをとるとそこには隅田川の両岸を満開の桜並木が埋めつくし、川面に桜が映っている。

嗚呼ああ。綺麗だ」

幻獣街の桜ではないが、若槻の見たかった桜。過酷な異国で恋い焦がれた桜。若槻は最期に桜がと言って息絶えた。彼にだけは幻獣街の桜が見えていた。決して悲惨なだけの最期ではなかったはずだ。そう蓮は思えた。そこへ突風が吹き付けてくる。

「蓮」

桜吹雪をバックに最高の笑顔で微笑むあずみが居た。ただこれだけで良い。この笑顔の為だけに、剣を振るって良いのだと、蓮は思った。

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