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桜の世紀  作者: 愛媛のふーさん
24/25

若槻一樹という男4

「覚醒剤で身体中ボロボロに為ったからですよ。いうこと効かなく為った。あんちゃん達に直接立ち向かわなかったのも、そのせい」

「そなに為ってたんか!馬鹿たれ。更正施設何で入らんかった」

瑠璃は泣きそうだ。

「はは。昔思い出すなぁ。イタズラして瑠璃様に叱られましたね」

「昔話はもうええ。今の話しせえ」

「そうだったですね。覚醒剤の強奪の話ですよね。単純に親父の復讐ですよ。現黒龍会会長は親父を蹴落とし、足撃って不自由にした張本人ですからね。覚醒剤は買ってたので、売人から今回の取引の情報は入りました。一泡ふかせ様かな位ですよ」

「そんで、幻獣街に逃げてきた。ま、ここなら簡単には手出し出来んわいなぁ」

瑠璃と若槻の問答は一旦そこで、終わった。

「若槻さん話したい事は終わりましたか?」

れんが、生真面目に訊いた。

嗚呼ああ。俺の生涯最期の話しはね」

其れを聴いて蓮と龍馬りょうまと瑠璃は、一気に緊張する。若槻はアフガニスタン傭兵時代、機密保持の為に奥歯へ毒物のカプセルを仕込んでいたのだ。奥歯を噛み砕き速効性の毒物を飲み込む。

「若槻!!」

「一樹!!」

龍馬は若槻の口を抉じ開けのどに指先を突っ込んで、吐かせようとしたが無駄だった。

「瑠璃様。桜の花弁はなびらが舞ってる。父さん母さん」

それが若槻一樹の忌間際いまわのきわの言葉に為った。桜など舞っては居なかった。死の間際の幻覚か覚醒剤のフラッシュバックか区別する必要は、蓮達にはない。若槻には見えたのだ。それでいい。あれほど焦がれた幻獣街の桜。最期に若槻は見た。せめてもの救いだった。

 蓮は前線本部に無線を入れる。

「若槻一樹の確保に失敗しました。若槻は自殺。覚醒剤は確保。ミッションオーバー。緋村ひむら、沢口、疾風はやて、現地協力者の瑠璃様は無事です」

「土井です。ご苦労様でした。ありがとう。若槻の遺体と覚醒剤送って、帰還してください」

「蓮!あずみです。怪我してない?千堂君、大怪我おおけがして美少女と突然現れるし、琢磨さんも怪我してどうなってるの?」

「あずみ、ただいま」

不意に作戦前線本部の無線機の後ろから、あずみに蓮が声をかける。

「きみが蓮君のカノジョさん?沢口龍馬。大阪支部からの応援で有ります」

龍馬も敬礼しながら、あずみに声をかけると、

「?!、?!」

面食らっていた。

「テレポーテーション。龍馬君の能力だよ。改めてただいま、あずみ。約束通り無事に帰って来たよ」

「蓮!蓮!蓮!。ごめんなさい、沢口君、三島あずみです。事務方やってます」

蓮とあずみは慌ただしい。其処へ、

「忘れてないか?無事回復した。龍馬迎えに来てくれ」

市川遼いちかわりょう〈トカゲ〉から無線が入る。

「遼はん。俺はタクシーじゃないスよ」

言いつつ龍馬は跳んだ。こうして作戦は終了した。


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