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桜の世紀  作者: 愛媛のふーさん
22/25

若槻一樹という男2

「俺の人生ですよ。瑠璃様」

若槻わかつきはぼそぼそとしゃべって、瑠璃の返事を待つ。

「長くなりそうやなぁ。ええて。蓮、少し時間もろうても、ええか?」

御随意ごずいに」

蓮は若槻と瑠璃のやり取りに制限はしないつもりの様だ。

あんちゃん達、話し解るんでありがたい。瑠璃様は良くご存知だか、俺の親父『若槻一夫』は黒龍会、そう今回のやくざさ。幹部だったが、権力闘争に負けて足抜けしようと、幻獣街げんじゅうがいに逃げてきた。そこで、怪我けがして雨でずぶ濡れで死にかけてたのを、おふくろのマリア・タバサに拾われた。ま、色々あって二人は一緒になり、俺が産まれた。瑠璃様は幻獣街のガキも教育は人並みに、ってんで幼稚園や義務教育は通っていたが、外の子とは隔たりがあって幻獣街のガキだけがかたまってたな」

とつとつと若槻はしゃべる。

「そやったなぁ」

瑠璃があいずちを打つ。

「それだけに俺は外の世界に憧れた。幻獣街出てTVの世界で見る普通の社会で生活するんだと。中学卒業すると、両親振り切って幻獣街飛び出した」

「外は厳しいかったやろなぁ。苦労したんとちゃうか?」

「瑠璃様の仰有おっしゃる通りさ。中学卒じゃろくな仕事は無い。日雇いの現場仕事に潜り込むのが、精一杯だった。そこは、金に為ったけど、先輩にたかられ、騙され給料巻き上げられる事も有ったよ」

「シャブもその時かえ」

「いや、酒と煙草だけですよ。クスリは戦場行ってからです」

少し辛そうに若槻は瑠璃に答えた。

「そんなこんなで、その生活に見切りつけて何かって考えてた時に、大金になるしスリル満点しかも海外って傭兵の話し聴いて」

「アメリカ渡ったのかえ」

「いえ、フランスです。傭兵の訓練はフランスで受けました」

「そして、アフガン紛争に派兵やったんかいな」

龍馬りょうまが、口を挟むが、気にせず若槻は答える。

「アフリカさ。旧フランス領で二年間勤務。たいして実戦は経験しなかった。傭兵訓練時代からサバイバル術の科目は教官マスターに評価されてたから、更にアフリカ勤務時代に磨いた。そしたら、アメリカ軍の特殊部隊からスカウトされたよ。アフガンで偵察任務にって。ギャラは破格だったので二つ返事。それが地獄見る羽目さ」

そう言って若槻は一旦口を閉じた。煙草が吸いたそうだったが、未成年の蓮も龍馬も吸わない、瑠璃も吸わないので誰も持ってなかった。仕方ないので、龍馬が水筒を差しだすと、若槻は受け取り一気に飲み、口をぬぐう。

「アフガニスタンの戦場は悲惨らしかったと聴いてますよ。偵察任務はそんなに過酷だったんですか?」

一息入れた若槻に蓮が訪ねる。

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