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桜の世紀  作者: 愛媛のふーさん
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春の日2

 蓮達が終業式だった日の夜遅く、横浜の港の倉庫界に在日朝鮮人所有のクルーザーが人目を避けて横付けされた。船からでっぷり太った男とやけに痩せた二人の男が、大型のスーツケースを軽々と一つ運んでいる。勿論痩せた二人の方だ。太った男は船のオーナーらしく、二人が船から離れるとクルーザーで出航した。どうやら二人と荷物を運ぶだけの仕事を請け負ってたらしい。しかし、クルーザーと言い腕で光ったロレックスと言い金は持ってる様だ。もしかしたら二人と荷物は良い金に成る仕事なのだろうか?だとしたら相当ヤバい物だろう。二人は人気の無い倉庫に入って行く。

「アンニョンハシニッカ」

突然車のライトがつき、ザ、ヤクザな出で立ちと面構えの面々が、二人に声を掛ける。

「挨拶はイイネ。金は?我が祖国と総統様は米帝に対抗せねば為らない」

「1億円、キャッシュで番号不揃い。物は?相場の二割で良いなんて粗悪品じゃねぇだろうな?」

「ブツは1級品ネ。初回サービスヨ。客が着いて安定供給と消費が確立したら売り手市場でソッチもコッチも値上げできるソウ成る投資ヨ。」

「それまでおめえらが挙げられてなけりゃな。取引先幾つも有るんだろ?」

「本国からの受け渡しは日本海で日本籍の漁船が受け持ちネ。漁としか思われないヨ。私たち日本で20年任務こなしてる、捕まるのヤクザの方ヨ。大丈夫?」

五月蝿うるせえ!スーツケース開けて前に置け、こっちもアタッシュケース置くからよ」

双方置き、中身を確かめる。

「O.K.」

「O.K.」

その時だった。小麦粉の袋が落ちてきて破裂して扇風機が回り、辺りが真っ白く曇る。視界が遮られ全員パニックだ。その中をスーツケースに走り寄る影。と、同時にアタッシュケースに走り寄る影。どちらもケースを抱え反対方向にに走り出す。

「企みやがったな!」

ヤクザの頭が海側に向けて中国製トカレフ〈黒星〉をブッぱなした。その瞬間、爆発が起こり頭を残して周りは全員吹き飛ばされた。

「何だ!?」

 学の無いかしらは全く理解出来なかった。〈粉塵爆発〉である。可燃物の粒子が空中に一定濃度浮遊すると、固体が舞っているのだが、可燃性ガスの様に爆発するのだ。細かいと鉄粉でも起こる。頭が無事だったのは、自分が発砲したので、爆発の中心で中心から外側に向かう爆発の真空地帯となり、爆風に巻き込まれなかった為だ。はた迷惑な幸運である。一番割を喰ったのは金を抱えて逃げ様とした、多分某危険な近国の工作員二人組だ。発砲向けられているのと距離で、Maxの爆発を受け即死。金はケースに護られて頭が回収。ヤクザは比較的頭の近距離だったので軽傷が多かった。

 頭、此処でフルネームと役職を紹介すると、黒竜会若頭こくりゅうかいわかがしら鰐淵徹治わにぶちてつじ、人呼んで〈関東の狂犬〉である。黒星とスーツに仕込んだワイヤーナイフで血を流させて来た男だ。

「ふざけた事仕出かした、野郎か海女か解らねえが、落とし前着けるぞ‼ついでにブツ回収してしのぎに使うぞ。さっさと車回せ」

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