最危険区画2
美結の能天気な宣言を合図とはがりに瑠璃は、主人に
「お勘定」
と告げた。
「一万円になります」
遼が支払う。
「領収書貰えます?ナイツで」
作戦行動中だから勿論経費で全額落ちる。最危険区画には距離が有った。
「龍馬送ったってくれへん?入口前迄、中はジャンプやと危険有り過ぎる」
「了解。皆、手繋いで。疾風は誰か抱いてくれへんかな。それで、1個の物飛ばす事になるから」
「美結が抱く!!疾風おいで」
「OK。後から連続ジャンプで追いかけます」
龍馬が蓮の体に触れると、龍馬以外は鬱蒼とした草むらの前に立っていた。
「此処が最危険区画ですか?瑠璃様」
蓮が訊く。
「そやなぁ。其処んとこ獣道有るやろ。住人が通って出来たもんやな。罠仕掛けとるやろ一樹は。気いつけや」
その言葉がおわり蓮が答えかけた時、龍馬が連続ジャンプで追いついた。
「3回か?」
「そや」
ジャンプの回数の話しである。龍馬は1㎞を連続で何度でもジャンプできる。行き先も知識が有ればイメージで選ぶ事が可能だ。蓮が中断された瑠璃への質問をする。
「若槻一樹がサバイバルの達人で、その場に有る物使ってトラップ仕掛けるのは予想できるんですが、幻獣街出身なら特殊能力無いんですか?」
「若槻一樹の父親はヤクザ抜けて逃げ込んで来た男だが、母親のマリアは魔獣使いだったわいな。一樹も素質は有るやろ」
「魔獣使い・・・。ここは若槻にとってはうってつけの迎撃ゾーンですね」
「そやから此処に籠ってるんやろ」
千堂が応えた。瑠璃もマダムも頷いている。
「虎穴に入らずんば虎児を得ず」
遼が言い。美結が下ろした疾風に
「警戒」
と命じた。疾風はくんくんと獣道を嗅ぎ鳴く。警戒の唸り声だ。龍馬が大きめの石を、疾風が見つけたポイントに放つ。
「ガチャガチャ、パキン」
と音がして獣道の両側から鉄血草を縛り着けたワナが、作動した。まともに喰らったら足がズタズタになっているところだ。その時、上空から鋭い嘴の鳥が襲って来るのが見えた。
「嵐撃舞」
美結が千堂と同じ特技で鳥を気絶させる。ぱたぱたと地面に墜ちる。
「魔獣使い。動物なら操れるみたいだな」
蓮が感想を述べるみたいに事実を告げる。
「奥に行けば妖物が相手やな」
龍馬がショックガンのカートリッジを装填させつつ言った。若槻一樹と覚醒剤の確保は難航しそうだ。ナイツのメンバーは表情を一気に引き締める。瑠璃とマダム・マルソーはため息をついて
「一樹め、悪あがきしてからに」
「そうさね。おとなしく投降すれば良いものを」
嘆く。
「最後迄、足掻くつもりでしょう。僕もそうでした」
琢磨が実感込めて言う。頷いて一行は慎重に歩を進める。疾風が先行して匂いで罠の有無をチェックを受け持った。それを一匹のネズミが見ていた。若槻の目の役割を果たしているが、一行は気が付かない。




