死闘4
暗闇で足音がした。遼達とは違う。独りだ。千堂は誰何の声を上げる。
「誰や?」
月明かりに老婦人の大きな籐の籠を持った姿が、写し出される。
「私だよ」
「マダムやん。偉ろうすんません。今晩は、お邪魔しとります。」
「やけに礼儀良いね。此方のマダムどういう方?」
蓮が千堂に訊く。
「マダム・マルソー3長老の1人や。礼儀に煩いねん」
「はじめまして、マダム・マルソー。〈炎聖〉緋村蓮と申します。お見知り置きを」
「蓮と呼ばせてもらうよ。そうかあんたが・・・」
「ヤクザ、ヤったのマダムなんか?狙撃が何でか当たんなかった強運の持ち主で大物ぽい」
「まあ、『関東の狂犬』悪運尽きたみたいだけどね」
「やっぱりや。ま、わい達二人より強いんやもんな。狂犬言うたら若頭やん。主謀者」
「最殊勲マダムだね。ルシファーに金一封出して貰わなきゃ」
「私ん家勝手に上がり込もうとしたり、手出して来たから払った迄。貰うもんは貰うよありがたく」
「マダムは金には細かいさかい。うん?ああ見えとる。蓮。ダブルウルフ班と瑠璃様や」
「瑠璃様?もしかして最長老?」
「そや」
「琢磨さんの背中に、子供の巫女さんがいるけど」
「あれが瑠璃様や。転生すんねん」
「そうゆうこと」
「醤油うこと」
ツートップは合流して前衛中隊になった。長老二人は相談始めた。
「姉様、転生し経てでご足労かけます」
「何の。マダムもご苦労だわいね」
「翁は任せるとの事です」
「あの人も出不精だわいな。其処で怪我しとるの西連寺のバカ息子かえ。揃いも揃って不幸者が8人も揃って」
「追われているのもやっぱり」
「マリアと若槻の息子だわいね。出てったのが15歳ん時、15年前。若槻が亡くなったのが10年前マリアが5年前。忘れてもうてもしゃあないわぁ」
「思い出したわ。外に憧れの強い児でしたね。挙げ句がシャブ中とわねぇ」
「本人の責任さね。西連寺以下7人もそう」
「ならナイツに協力しますか。お得意様だし」
「そやなあ」
結論が出たらしいと見て、遼が切り出す。
「御協力願えますか?」
「はいな」
「但し私ら二人だけだよ」
「お二人なら住人総出よりありがたい」
「話着いたのなら飯食わへん?温かいの。ええ所ない?」
「今の時間帯なら『鳥安』かえ。マダム」
「はい」
「本部?『鳥安』っていう飲食店で食事採ってます。増援に伝えてください。オーバー」
「本部了解」
「鳥安じゃあ何喰えるんや?」
「親子丼と焼き鳥と酒、ジュースやなぁ」
「近いんですか?」
「歩く。琢磨乗せてたもれ」
「良いですよ。どうぞ瑠璃様」




