表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
桜の世紀  作者: 愛媛のふーさん
10/25

初陣戦線異常なし?有り?5

 関東の狂犬、鰐淵徹治わにぶちてつじは真美達スナイパー班の狙撃を、気にするでもなくふらふらと歩き回り、若槻一樹を探している。真美の水の弾丸は辺りに着弾しているのだが、何故か当たらない。

「妙な雨の降る街だな」

幻獣街の特異現象だと思っている。粉塵爆発ふんじんばくはつの時といい、ものすごい運だ。余程強力な守護天使が付いているのか?いや、この男の所業を考えれば悪魔だろう。

 一軒だけぽっんとある東欧風のこじんまりした洒落しゃれた家の煙突から虹色の煙が出ている。鰐淵は

かくまってんじゃねぇか?」

呟き扉を蹴り着ける。そして怒鳴り散らす。

「開けろ!」

中から嗄れた声が

「ドアは手で叩くもんさね。ヤクザは礼儀がなってないねぇ」

答え、皺の多い顔の老婆が出てくる。ヨーロッパの白人だ。顔をしかめているが、平素は暖かい柔和な顔をしていると思われる。

「中を改めさせて貰うぜ」

有無を言わさず鰐淵は、中に入ろうとしたが、

「嫌だよ」

立ち塞がれた。鰐淵は頭に血が登り

「老いぼれが!!」

スーツの袖口に仕込んだワイヤーナイフを一閃させる。老婆の頸が飛んだ。と、思われたが、斬り飛んだのは鰐淵のワイヤーナイフだった。老婆は細長い20センチ位の植物の葉を持っていた。

「鉄血草の葉さね。並みの刃物は敵わないよ」

「この街の住人はおかしな能力持っているらしいが、ばばあ何者だ?」

「マダム・マルソー。世界一の魔道士さね」

「てめえが・・・。糞ついてねえ」

鰐淵は跳び下がると黒星こくせい〈トカレフ〉をまとめてぶっぱなす。しかし、弾はマダムに近づくに従い遅くなりマルソーの足下に落ちた。鰐淵は逃げながら撃ち続ける。マルソーはポケットから耳栓を取りだしはめると、近くの鉢植えを引き抜いた。

「きぇー」

雄叫びが木霊する。人参のような葉の下に醜い人型の何かが付いていた。鰐淵は口から泡吹いて倒れている。

「マンドゴモラだよ。斬首された殺人犯の精液から育って、引き抜いた時、人を発狂させる雄叫びを上げる。でも、毎晩金貨三枚産むんだよ。いつもは野良犬に離れた所で遣らせるんだけど、耳栓しても堪えるね。当分懐は温めてくれる。しかし、こんな婆さんにしてやられると『関東の狂犬』も塀の中で笑い者さね。まあ犬がマンドゴモラ抜く時に、駄目になるには変わりはないか」

 マダム・マルソーはマンドゴモラを家の中に仕舞うと、独り言を呟いた。

「『ナイツが方着けるから住人は家から出るな』ってお達しだったけど、で張ろうかね。まあ粗方片付いてるが」

マルソーは籐で編んだ大きな籠を持つと、シャンソンを口ずさみながら出かけた。因みにマダム・マルソー、幻獣街長老会、二番目に年長の長老である。

 真美は音声無しの映像だけなので詳しい経緯は解らなかったが、あらましを見ていた。

「何故か狙撃の当たらない敵が、住人に倒されました。残り4名」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ