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聖夜に銃声を  作者: 霧香 陸徒
1部
27/49

9月5日(5)「潜入作戦会議」

 本来スパイ行為をする場合、偽名を使ったりするものだが、今回の場合は少し違うパターンである。


 今回の場合、性別自体が違うので、僕はそれがバレてしまわない為に色々と工作をするわけだ。


 例えば声色。

 ヘリウムガスを吸えば声は高くなるだろうが、不自然極まり無いのでネタにしか使えないが、これについては僕はどちらかと言えば声が高い方なので、よっぽど地が出ない限り問題は無い。


 そして、容姿。

 悲しい事に僕は女顔なので、化粧をしっかりすれば、これも問題無い。


 後は仕草。

 日常の癖になっているような物は排除して、出来るだけ女性らしく振舞う必要がある。

 歩き方や、何気無い笑い方など、細かい部分を言えばキリが無いが、誰の目から見ても疑う余地の無い完璧な女性となるべく、努力する。


 歩き方・・・内股気味、笑い方・・・そんなに下品な笑い方はしない。



「・・・・・・」


 僕は姿見鏡の前で、頭に手を当てて体をひねってポーズを取ってみる。


「・・・・・・うふっ♪」


 ・・・・・・・・・・・・・悪乗りしてしまった。


 有り得ないぐらいに気持ち悪い。



 そこにカラーン!と、大きな音が鳴り響いた。


「・・・ミチオ・・・様?」


 音の方を見ると、僕の部屋の入り口で、手を胸に前に置いて唖然としているレンちゃんが立っていた。


 足元には木のお盆が転がっていた。


「れ・・・レンちゃん。こ・・・これは・・・」


 馬鹿なポーズを取っている二十歳前の男の醜態をしっかりと見られてしまった。


 今すぐ投身自殺したくなったが、その前にレンちゃんの誤解を解かないと・・・。


 そう思って、彼女に近付こうとすると、彼女はその動きに反応して「前に進んできた」。 つまり僕の方に。


 普通こんな光景を見たら後ずさると思ったのだが?



 よく見ると、レンちゃんの頬が赤かった。


 目も若干潤んでいた。



 良く分からないが好都合だ。 逃げられると思ったので安心して弁解できる。


「あのさ、今のは明日の仕事の練習だったんだよ、それで―」


「ミチオ様っ!」


「な、何かな?」


「片目を閉じて見てくださいです!」


 レンちゃんは僕の声を聞いているのか聞いていないのか、そんな事を言ってきた。


 片目を閉じるってなんだろう?


 僕は聞き返した。


「え? なんで??」


「いいですからっ! おねがいしますです!」


「?」


 意味が分からなかったが、僕は言われた通りに右の目を閉じて見た。


 片目になってバランス感覚が半減するが、どうって事は無い。

 別に片足立ちしているわけでも無く、ただ死角が増えただけだ。


「ありがとうです! 次は拳を握ってあごの下に置いて下さいです」


「あ、あぁ・・・。 ・・・・・・こう?」


「あ、手の甲は外側ですです」


「注文が多いね・・・はい。 これでいい?」


「はいですっ! とってもイイです! 視線は私へお願いです!」


「???  あ・・・・・・」


 レンちゃんが僕に何をさせたいのか分からなかったのだが、その時、僕の視界に鏡があって、僕の姿を写していた。


「・・・・・・レンちゃん。これって・・・」


「♪ おかげで今晩は御飯三杯食べれますです♪ 小木曽様にも引けを取らない美しさだったですよ♪」


 実際の女性と遜色無いと言われて結果オーライなのだが、どうしても悲しくなるのは仕方無いと思う。



 僕はまともだ。



 それより、レンちゃんは普通の子だと思っていたけど・・・。


 どうやらその考えは改めないといけない。


「レンちゃんって・・・もしかして女の子が好き?」


「? 何を当たり前の事を言っているのです?」


 彼女は「同性愛者」のようだ。

 ●ズって言うのかな?


 本人に異常な自覚が無いのは問題だが、僕に被害は無いだろうから問題無いだろう。



 いや、女装した僕に反応してる時点で僕も危ないのか・・・。



 とにかく、女装した姿がバレないというのは保証されたわけで、明日からの仕事もヘタなヘマをしなければ大丈夫だろう。



 さて、明日の準備は整ったので、化粧も落とそう。


「ええと・・・」


 お湯を洗面器に入れておいて・・・。


 僕は、コットンにリムーバーを含ませて、目や口の上にのせやさしくふき取り取る。

 コットンはいつもキレイな面を使うように位置を変えて・・・。


 適量のクレンジング剤を手にとり、両手で軽く温めまるようにする。

 頬と額、鼻、アゴにそれを置き、中指と薬指を使って螺旋(らせん)を描くように広げ、隅々まできちんとなじませていく。


 次にティッシュを顔の上にのせ、軽く上から押さえる。

 ちゃんと小鼻の周りや眉にたまっているクレンジング剤も軽くふき取らないとね。

 洗い流すタイプのクレンジングでも同じようにしするといいよ。


 洗い流すタイプのクレンジング剤は、水かぬるま湯で肌に残らないようによく洗い流す。

 洗い流さないタイプは、ぬれコットンなどでやさしくふき取りるといい。



 ・・・慣れてるみたいだけど、そうでも無いつもりなんだけどね。


 

 次は洗顔。


 さっき用意しておいた洗面器をここで使う。


 髪が濡れない様にヘアバンドで止めて、お湯に付けた濡れタオルを顔の上に2〜3分置く。

 こうする事で毛穴の奥の汚れも効率良く取れる。

 そして、すぐに洗顔料を使わずに、先にぬるま湯でさっと洗う。

 次に洗顔料を手に取り、きめ細かく空気が入るように泡立てる。石鹸ネットなんかを使うと良いかもしれないね。


  洗う時は、差し指と中指の腹で「円を描くように」洗う。ここで注意することは「力を入れない」、「泡を転がすように」だ。

 肌を傷つけたら意味が無いからね。


 洗う順番は額、こめかみ、眉、鼻、目のまわり、ほお、口のまわり、アゴ、首すじで。


 そして最後に22〜23度ぐらいのぬるま湯でバシャバシャ洗う。

 こめかみ、アゴ、首すじは洗顔料が残りやすいから気をつけないとね。



 ふぅ。 終了。



「・・・・・・ミチオ様。 本当は女の子なのじゃないです?」


 不名誉な事を言われた。


 とゆーかまだ居たんだね?


「手馴れてますけど・・・良く化粧とかするのでしょうか?」


「ううん? 昔母親がやってたのを見よう見まねなんだけど、おかしかった?」


 レンちゃんは左右にプルプルと首を振った。


 今は居ないけど、昔居た母親に「肌は一生物なのだから大事に扱わないと駄目よ」と言われていたので、それを思い出しただけだ。


 こういう変装はあまりしないのだけど、顔に化粧をする事で偽装するのはたまにあるので自然に身についただけである。

 

 自分の体や顔は商品みたいなものだから、大事にしないといけないという心構えなだけなんだけどね・・・。



 基本的に僕は適当だけど、取り返しのつかない事だけはしたくないからね。



「化粧自体はそこまで上手くないけどね。 レンちゃんは化粧しないの?」


 丁度他でもない女性がいたのでそんな質問をしてみた。


 見た所、レンちゃんは化粧気は無かったが、十分ベースがいいのでしてないのだろうか?


「ミチオ様、少し失礼です。 レンだって少ししていますですよ?」


 男の僕から見たら、まったくしてないように見えたが、良く見てみると、薄くファンデなんかをしているようにも見えた。


 ナチュラルメイクなんだね。


「派手な色より、自然な素材を生かした化粧をした方がいいと、小木曽様が言ってたのですよ」


「へぇ・・・」


 小木曽様が言ってた。と言うレンちゃんは何故か頬を赤くしていた。


 ・・・・・・あぁ、この子小木曽さんが好きなんだね。


 倒錯しているとは思うけど、別に僕が口出しする事でも無いのでそこは黙っておく事にした。



「ミチオ〜ご飯出来たわよ〜」


 そこで祈の声が聞こえてきたので会話はそこで終了。


 何やら祈が台所に立って、晩御飯を作ってくれているらしい。


 今朝の味噌汁からして、とても楽しみだった。



 



 台所がある事務所に行くと、香辛料の匂いが漂ってきた。


 スパイスの香りがするので、今夜はカレーライスのようだ。



「人数が多いからこういうメニューの方が楽よね」


 と祈はカレー皿にご飯とルーを盛りながら言った。


 フリフリのエプロンを着けたその姿は、親のお手伝いをしている子供のようでとても愛らしい。


「ふわわ〜美味しそうなの♪」

「香り、色、どちらも良い感じがしますです」

「あらあら、美味しそうね〜」


 ラビアンローズの三人も当然食卓に着いているわけだが・・・。


「ラビアンローズ達は食費分ツケにしとくから覚悟しなさいね?」


 ・・・愛らしくない。


 おタマをクルクルと回して一人一人指して言う祈に、ラビアンローズの三人は恐縮したように頷いていた。


 そんな6人の晩餐が始まった。



 6人?


「・・・・・・何してるんだよ。 玄・・・」


 普通に食卓に座ってカレーを食べようとしている玄さんに、冷静にツッコミを入れる。


 玄さんは僕の冷たい視線に頭をポリポリと掻きながら豪快に笑った。


「ガハハハハっ! 祈の姐さんの手料理が食べれるってえ聞いて裸一貫参上したまでだぜミチ!」


「組はいいの? それに玄って辛いの駄目じゃなかったっけ?」


 甘党の彼は確か辛い物が苦手だったハズだ。 芥子、わさび、タバスコ、そんな物が苦手で食べないらしい。


 寿司屋に行っても勿論さび抜き。アメリカンドックもケチャップだけ。カレーはハヤシライスかと思うぐらいに甘いカレーしか駄目なのだという。


 祈が作ったカレーは一口食べてみると、本格インドカレーのようで、辛さはそこまでではないが、食べた後から辛さがじんわりと効いて来て、僕には中々美味しい。


「美味いね。 祈、コレ鷹の爪どれぐらい入れたの?」


「8本よ。 ちゃんと炒めてるからそこまで辛い事も無いでしょ? 煮込んだ量も量だしね」


「へぇ。 そんなに入れたように感じないのは玉葱のせいだね。 僕には丁度いいけど・・・」


 玄さんを見ると、脂汗を流しながら、親の仇かというぐらいに必死にスプーンを動かしてカレーを征服していた。


「玄。 無理しないでいいと思うけど・・・」


 そんな彼の姿に居た堪れなくなって声を掛けるが・・・


「てやんでぇ! こちらと林原組若頭の玄五郎でえ! これぐらいの辛さなんて屁でもねえっ! それに姐さんが愛情込めて作ってくれたってえのを食べないなんざ、男のする事じゃねえや!」


 お・・・漢だ・・・。


 そこまで無理して食べる事無いのに、玄さんは男の沽券に関わると涙目になりながらも、彼にとって到死量の辛さのカレーを平らげた。


「あぁ、そうそう。 辛過ぎるならヨーグルトあるから入れるといいわよ?」


 少し辛そうにしていた菜乃華ちゃんに、祈は冷蔵庫からヨーグルトの箱を出してきた。


 祈・・・玄さんが食べ終わった後に言うのはSの証拠だね・・・。


 僕は、汐留祈のSHIODOMEのSはサドのSだと再確認した。



 そう思ってみていると、祈はヨーグルトを自分の皿にも入れていた。


 どうも彼女にも辛過ぎたらしい。


 自分で作っているのに自分が食べれない辛さにするなんてちょっとマヌケだよね。



 ・・・・・・・・アレ?


 祈の事だから、そんなヘマはすると思えないんだけど・・・。


 これってもしかして・・・。



 僕はカレー皿と祈を交互に見ながら、思った事を口にした。


「祈。 もしかしてなんだけど、味付け・・・僕に合わした? 今朝の味噌汁も僕好みだったし・・・」


 酷く自惚れた事を言ってしまったが、そう考えると辻褄が合う気がした。


 祈は僕の質問に、銃口を向けてきた。


「なんで食事中にそんな物騒な物持ってるんだよ!?」


「つまらない事言ってないで食べなさい馬鹿ミチオ」


 そう言って一発パン!と撃って来る祈様。


 銃はどうやらオモチャだったようで、弾はプラッチック製のBB弾だったみたいだ。


 ただ、どう改造しているのか僕の額に穴が空くかと思うぐらいに強烈な一撃だった。


 ぐあぁっ!と悲鳴を上げる僕に、祈は「食事中なんだから静かにしなさい」と平然と言ってのけた。


「そんな事より、ミチオ。 明日の仕事だけど、私も手伝うわよ」


 額を押さえて悶絶している僕に、何の慰めの言葉も無く、普通に会話をしようとしている祈の神経は頚動脈程ぶっといらしい。


「いたた・・・。 あ、あぁ、そうなの? でも、明日学校は?」


「そんな物いつでも行けるわよ。 それより、調べたら依頼先の会社ちょっときな臭いみたいだからミチオだけじゃ不味そうだわ」


「祈・・・。いくらなんでも僕はそこまで無能じゃないよ? 一度請け負った仕事は僕が責任を持ってやるよ」


 一度言った事を曲げるのは男らしく無いと思うし、僕は反発するが、祈はそれを冷ややかな目で見て溜息をついた。


「威勢がいいのは勝手だけど、私は昼間の仕事はラビアンローズに頼みなさいと言ったのを聞かなかったミチオが悪いのよ? レンって子はハッキング能力が高いみたいだから、任せてあげればスムーズに終わったハズだったのよ? それに彼女達は仮にもエージェントで、普通の一般人よりは、仕事に関してはプロって事をまさか忘れてないわよね?」


「そ・・・それは・・・」


 祈の言葉に、僕よりラビアンローズの人達の方が驚いていた。


 祈は彼女達を別に軽く見ていたわけでは無く、ちゃんと一人一人の能力を評価していたようだ。


 実際どんな仕事が出来るのかは知らないハズだと思ったが、祈の口ぶりからすると、そんな事はとっくに調べているような感じだ。


 全く・・・何から何までいつの間にやってるんだろうね?


 多分学校に行っている間だろうけど、学生はちゃんと勉強して欲しいと思うよ。


 まぁ、今更小学校の勉強をする必要は祈には無いだろうけどね。


「それじゃ、レン。 貴女は会社の事を徹底的に調べて頂戴」


 僕の返事を無視して祈は各自に指示をする。


 まぁ、図星だったからいいけどね。


「了解しましたです」


 レンちゃんは食事の手を止めてしっかりと頷いた。


「小木曽。 貴女は今回そのバックアップをお願いするわ。大丈夫ね?」


「分かりました。 お任せ下さい」


 年上にも全く変わらない口調で指示を出す祈。 そういえば僕だって祈からすれば年上なんだけど、そんな事は気にしないんだろうね。


 後で聞くと、小木曽さんのような人は指示を出す側より、誰かのバックアップに回った方が良いらしい。


 司令官というより相談役といった形だ。


「後、ナノカ。 貴女はミチオのボディーガードよ。 ミチオは一対一なら有能だけど、乱戦には弱いからそこをフォローしてあげなさい」


「分かったなの」


 祈はラビアンローズだけで無く、僕の事も的確に見ていたようだった。


 昔、僕が傭兵をしていた時も、大抵は僕だけが生き残っていたりするものだから仲間からは「死神」だとか「生き血を啜る者」とか言われてしまっていた事があった。


 それだけ聞くと、とても個人のレベルが高いように聞こえるが、実際は一人一人確実にしとめる事に専念していたら偶然そうなっただけで、一気に大部隊を殲滅させるような暴れっぷりをしたわけでは無い。


 祈がそんな頃の僕を知っているとすれば、逆に多人数を相手しても大丈夫だと評価すると思うのだが、そうでは無かったとすると、彼女は本質的な物を見抜いているのかもしれない。


 そういえば、祈とは過去に戦場で出会っているのだから、昔の僕を知っているんだろうが・・・。


 なんとなく出会った時の状況が思い出せない。 正確に言うと、その前後の記憶があやふやだった。


「後は―」


 いや、そんな事より、今は仕事の事だ。


 僕が考え事をしている間にも祈は話を続けていた。


「玄。 貴方にも協力してもらうわよ? 今回の山はアンタの所も無関係じゃないんだから」


「? そりゃどういう事でえ?」


 ・・・え? 玄さんも?


「笠原組を知っているわね? 調べたらアンタの所の傘下の組みたいだけど、最近あんまり上手くいってないみたいじゃない? 悪さしてるわよ。 この会社を使って」


「な・・・! 姐さん! 詳しく教えてくれねえかっ!」


「だから食事中に声が大きいわよっ! 唾が飛ぶでしょ!」


「ごふぉっ!?」


 祈は何処からかハリセンを取り出して熱く叫んだ玄さんを思いっきりしばき倒した。


 ・・・なんだかそのハリセン硬そうだけど、何で鉄みたいに輝いてるんだろうね?


 普通死ぬよソレ・・・。



 意外にも丈夫な玄さんはそんな撲殺武器にも耐え切って―頭から血は流していたが―、先程より声を小さくして祈に詰め寄った。


「か・・・堪忍してくれよ姐さん・・・。 笠原組って言やあ・・・勝治んとこの組じゃねえか・・・。 アイツ前の抗争の時に散々殴ってやったのにまだ懲りねえのか・・・」


「多分その散々殴ったのが原因じゃないの?」


 林原組の傘下にある笠原組とは、昔内部抗争があって色々と揉めたらしいが、その時活躍した玄さんは、それで若頭になったのだけど・・・。カツジって人をどれだけ殴り倒したのかは知らないが、玄さんは手加減を知らないから・・・多分相当半殺しにしたんだと思う。


 命までは取らないだけ僕よりはマシかもしれないけど「死んだ方がマシ」レベルぐらいなのかもしれない。

 

 舎弟の子を柱に縛り付けて失禁するまで殴り続けたりするのを昔見た事があるので容易に想像できる。



 それなのに信頼が厚いっていうのは、玄さんの行動に筋が通っているかららしいんだけどね。


 ただ、そういう性格の者に反発する人はトコトン反発するんじゃないかと思うんだけど・・・。


 考えたらこれって林原組の問題じゃないの?


「あ、そうそう。 言い忘れたけど、今回のこの仕事の依頼主はサスライって人よ。 玄とミチオは知ってるわね?」


「え・・・・」


 サスライ・・・。 その人ってまさか・・・。


「お・・・組長オヤジいぃぃぃぃぃ!?」


「黙れって言ってるでしょ! このウスラバカっ!」


「ぐぎゃぁ〜〜〜〜っ!?」


 再び叫んだ玄さんに、祈はテーブルにあったタバスコの瓶を開けて玄さんの目に向かって飛ばした。


 危険なので良い子は絶対に真似しないように。




 今回の依頼主は林原 流離。 林原組の組長のようだった。

 




 何か騒がしくなってきた僕の相談所。



 平穏に暮らすにはどうしたらいいのか。 そんな事を逆に相談したくなってしまう9月5日はこうして暮れていった。



【聖夜に銃声を 9月5日(5)「潜入作戦会議」終わり  9月6日(1)に続く】

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