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聖夜に銃声を  作者: 霧香 陸徒
1部
19/49

9月4日(4)「少女授業中」

「今日、国内における機械技術による物は目まぐるしい成長を見せており、その一つとして―」


「ふわぁわわあぁ〜ぅぅ・・・・・・」


 大きな欠伸を一つ。


 今は授業中だけど、別に注意されたりしないので大丈夫。


 私に注意するものなら教師と言えども只じゃ済まさないけどね。


「いのりん〜おっきなあくびだね〜? 昨日ちゃんと寝てないんでしょ〜?」


 そんな私の様子をシズが見ていたようで小声で言ってきた。


 私は汐留 祈で「いのりん」等と呼ばれてしまっているが、それは別に構わない。


 同じ年頃の女の子に、それも友達に一々呼び名がどうとかツッコむ程私は大人気なくない。


 何処かの年上で男なのにヘラヘラ笑っている(ように見える)ヤツが「いのりん」なんて呼んできたら・・・。


 ・・・・・・・・・・・


 それはそれで可愛いかもしれないわね。 アイツが。


「あ〜分かった〜♪ 昨日は彼が寝かせてくれなかったんでしょ〜?」


 ガン!


 私は木の机に思いっきり頭突きをしてしまった。


「ど・・・何処でそんな台詞覚えてくるのよシズ・・・。 あんた小学生でしょ」


「え〜? どういうことぉ? ええとね。 この前ヨウ君が「大人は夜になるとプロレスとかゲームとかして遊んでるんだ」って言ってたよ〜」


 ガン!


 私は・・・以下略。 頭突きで机が割れたらどうしてくれるのよ?


「あ・・・あの馬鹿・・・。 純粋なシズになんて事教えるのよ・・・」


「ふぇえ? 何か悪い事だったの?」


「う・・・ううん。 なんでも無いわ。 そのままの貴女で居て。 ・・・お願いだから」


「? 私はいつでも詩洲シズだよ〜」


 ?マークを浮かべて首を傾げているシズ。


 私の友達だ。


 昔シズの幼馴染の「ヨウ君」と言い争いから喧嘩になって、それを仲裁してきた時から仲良くなった。

 

 相手は男の子だったけど、私に敵う筈も無く、一方的に攻撃してくるのを余裕で避けていただけなんだけどね。  ・・・私はあんまりその「ヨウ君」が好きじゃなかったのだけど、シズが一生懸命諭して来るので今は気を許している。


 シズはとっても優しくて良い子だ。


 だから私はこの学校へ通っていると言っても言い過ぎだとは思わない。


 正直今更授業は退屈だったのだけど、それ以上に大切な思い出を作っていける事が嬉しかった。


 私が「本当の子供の頃」には海外に出ていたので学校には満足に通っていなかったのだけど、それが今は平和に学校へ通えているという実感が嬉しかった。


 私の両親は日本人だ。


 仕事の都合で私が8歳の時に父親が転勤となった。


 その先はとある国の戦地で、父はその国で研究員として働いていたハズなのだが・・・。


 ある日を境に国自体の状況が悪化。


 父は職を失うことになった。


 その時は良く分からなかったが、とても厳しい状況だったらしい。


 

 貯金等が底をつき、私達家族は貧困にあえぐようになった。


 日本人という事で、私達は不当な差別を受けることになった。要するに誰も助けてくれなかったのだ。 それは人種差別等では無く、ただ単に他の者も余裕が無かっただけという事だったのだが・・・。


 そして遂に私達は明日のパンの一つも無い程の貧しさの中で、体と心を蝕んでいく状況の中で・・・無理心中という結果になった。



 幸い・・・と言っていいのか分からなかったが私だけは生き残った。



 私も瀕死の状態だったのだが、運良くその命を繋ぎ止めてくれた人と出会った。


 それがミチオだ。



 ミチオに妹の最後を看取ってもらって私もトドメをさしてもらおうと思ったのだが、私は悪運が強いらしく、ミチオの後に駆けつけた人の目利きで助かると言われ病院へ運ばれた。


 ・・・・・・・・・・


 その後、私が意識を取り戻した後、私を助けてくれた者の名前を看護師から聞いた。


 ブラッディ・イーターと。


 その時から私の中でその名前が私の―


「いのりん〜? いのり〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ん!」


「ふわっ!? あ、あぁ・・・何?」


「何? じゃないよ〜! さっきから呼んでるのにぼーっとしちゃってぇ! 次教室移動だよ〜いこ〜って言ってるのにぃ! ぷんぷ〜ん!」


「あぁ、ごめんなさい。 分かったわ」


 考え事をしていてシズが言っているのを殆ど聞いてなかったらしい。


 その後彼女を宥めるのに時間が掛かったが、それもまぁいい。


 だって、私にはこれからの時間がある。 これからいつまでも続く幸せな時間が・・・。


 それをくれた人・・・。 感謝している。


 だけど、久しぶりに会った彼は、人が変わったように腑抜けていた。


 優しいのだが、危なっかしくて見てられない。


 だから、心配だったが、彼も大人なのだから自分の事は自分で出来るハズだ。


 心配いらない・・・・・・。



 ・・・・・・・・・・・・・・・


 そう思っているのに何故か不安になるのは・・・。


 あぁ、虫の知らせってヤツね。



 きっと今頃何かやっかいな事になってるんだわあの馬鹿・・・。



 ・・・最悪「乙女の事情」で早退する必要があるかもしれないわね・・・。



 そんな事を考えながら私とシズは授業で映画を見る為に視聴覚室へ向かった。


 タイトルは「おじいさんと猫」。 どんな映画かちょっと楽しみだった。



――――――――――――――――――――――――――――――――――



「それってどんな映画?」


「違うんです! 映画じゃないんですよ〜」


 話を聞いた僕はその内容に信じられず、それが何処かでやっている映画の話だと思った。


 「日本を救う」というような壮大な妄言を吐かれてはそう思って当然だろう。


 僕はまともだ。


「そうじゃないの? だって日本はとても平和じゃないか。 戦争があるわけじゃないし、小さい暴動なんかはたまにあるけど、国民が銃を持ってたりするわけじゃないし、ガンショップも無い。 国外からの危険はゼロとは言わないだろうけど、外交は落ち着いているだろうし攻められるような事は無いと思うけど?」


「分かっています! でも、敵は国外じゃなく、国内に居るんですっ! その組織の存在は一般にはあまり知られていませんが、新しい世界の常識として認知されつつある研究所の存在を危険視する声は年々高まっているんです!」


 小木曽さんが熱く語るのだけど、僕はそれをさめた様子で聞いていた。


 たった一つの研究所が日本全体を揺るがすほどの力を持っているというのか?


 馬鹿げている。


 そんな話は映画の中だけで十分だ。


 遠い昔、科学力を持って世間を騒がせた新興宗教だって、鎮圧されたのだ。


 日本の治安はそんなに悪くないハズだ。


「研究所ってそこは何を研究してるの? 細菌兵器でも作ってるとか?」


 僕は一番あり得そうな事態を言ってみた。 ただ、それが国全体に影響するような量を投与するとなると、それを投与した者達も国内には居られない。 同じ理由で核ミサイルも使えないだろうから・・・。 その研究所は国の中心。 つまり首都をそれで制圧するつもりだという事だろうか?


「違います。 もっと恐ろしい物です・・・。 信じられないかもしれませんが・・・研究所が作っているソレは日本を分断する程の力を持っている物だと言う事です」


 小木曽さんの言う事は今ひとつ要領を得なかったが、彼女自体も完全に事態を把握しているわけでは無さそうだった。 それはクライアント(依頼人)から聞かされてないのか、口止めされているのか分からなかったが・・・。


 分かったのは「ある研究所が非常に危ないからなんとかしてくれ」という大雑把な事だけだ。


 だけど、エージェントのような仕事をしていると、それは珍しいことではなかった。


 例えば・・・ある政治家を暗殺してくれと頼まれたとして「何故殺すんですか?」と聞く暗殺者は居ないのと同じだ。 そんな理由は知らなくていい。 僕達は与えられた仕事をすればいいだけだ。


 昔とあるエージェントが事情を知り過ぎて対象者に同情し、その対象者を逃がして「存在を消しました」という事にしようとした者が居たのだが、そのエージェントはその後、業界から姿を消した。


 そんな事をすれば信用を無くし、稼業を続けられなくなってしまうのだ。


 対象者に同情するというのは二流の証拠だと思うが、自分がそうならないとは確証は無いのだから、あまり突っ込むのは得策ではないだろう。


 政治や世間の事など知らなくていい。

 僕達はただ生きる為の手段さえ分かっていればそれだけでいいのだ。

 僕達にあるのは敵と味方だけ。 裏切りさえも日常茶飯事であるのだから仕方無い。


 それは常識だ。


「なるほど・・・。 ラビアンローズはその組織・・・研究所を潰す為、もしくは無力化する為にあるって事だと思っていいんだね?」


「はい。 流石一流ですね。 すぐに事情を察して頂いて光栄です」


 とても厳かに僕を持ち上げてくる小木曽さん。 


 先程聞いた僕のもう一つの人格は優秀らしいけど、僕自身はそうでも無いのでただ気恥ずかしいだけだ。 悪い気はしないけど・・・。


「それで? 僕に何をして欲しいの? その研究所の人達を消してくればいいのかなあ?」


 話の流れからして、そういう事なのかと思ったのだが、意外にも小木曽さんは首を左右に振った。


 どうやら「殺しの仕事」では無いらしい。


「じ、実はですね・・・。 この部屋は勝手に借りてるんですよ」


「? そうなの。 それがどうかしたの?」


「ええとですね・・・。 実は学園側の方から早々に立ち退くように言われてまして・・・。 でも、私達の活動する場所が他に無いものでして・・・それであの・・・」


 小木曽さんは言いにくそうに「どもって」なお続け、隣にナノカちゃんを手で呼んで隣に立たせた。

 そして、小木曽さんはナノカちゃんの頭を掴んだと思うと、力を入れて頭を下げさせた。 そして自分も頭を下げる。


「霧梨相談所を活動拠点として間借りさせて下さい!」


「えぇっ!? それって僕である必要無いよねっ!?」


 小木曽さんの言う拍子抜けな理由に僕は呆れと怒りが同時にこみ上げてきて、つい大きな声を出してしまった。


「そんな事ありません! 霧梨相談所には地下室もあるし、装備も充実していますし、インターネットも使えます! それに空き部屋だってあるわけですから私達5人ぐらい住み込めます!」


「いや、やっぱりそれ僕関係無いし!? 」


 僕の相談所は3階建てのマンションを買い取って改装したので広さもあるし、小木曽さんの言うように使っていない部屋もいくつかある。 だけど、それは僕自身とかブラッディ・イーターだとか関係無しだよねっ!?

 しかも、そんな物件に困るような組織に報酬は期待できないし何より・・・


「「5人」って何!? 昨日ネットで見た時は20人ぐらいのメンバーがあったと思うのだけど・・・」


「あ、見てくれたんですね? アクセスがあったのは確認しました。 あのメンバー一覧は殆どが偽装です。 私とナノカさんとレンさん以外は全部名前を借りて勝手に作っただけですから。 ほら。 見栄えしないじゃないですか4人だと・・・」


「はぁ・・・」


 どうでもいいが、メンバー5人だとか4人だとか変わってるけど、どういう事なのだろう?


 その視線に気付いて小木曽さんはすぐに説明してくれた。


「私とナノカさんとレンさん。 そしてミチオさんとイノリさんで5人という事ですよ。 マウさんやクミコさんは自分の家がありますでしょう?」


「?? 少しこんがらがったけど、元々のメンバーは小木曽さんとナノカちゃんとレンって子だけなの? それでマウちゃんの名前が上がってくるってどういう事?」


 浅見 麻兎ちゃんが自宅があるのは分かったが、名前を借りているだけなら今ここで名前が上がるのがおかしい事になる。


 ニュアンス的にメンバーのようなのに、ハッキリしない台詞に僕は聞き返した。


 すると小木曽さんは隠す事でも無いのか、あっさり白状した。

 

「マウさんは「普通の子」ですから正式なメンバーでは無いという事ですよ」

 

 普通の子・・・。 要するに普通の女の子だという事だ。


 祈や、久美子ちゃんのような異常な者では無いという事だ。


 それはエージェントとして仕事をするには酷であり、偽装した他のメンバー名のように名前を借りていると同義なのだが、多分本人がラビアンローズに申し出たか何かなのだろう。


 その申し出は受けたが、特に重宝する事は無いという事を言っているわけだ小木曽さんは。


 それにしても・・・どうも胡散臭い。


 何が・・・というか、職業柄胡散臭いのは当たり前なのだけど、腑に落ちない点がいくつかある。


 例えば何故僕なのか。


 そして、何故僕を知っているのか。


 先程活動する場所だとか言っていたが、それが本当の理由だと僕は思えなかったのだ。


 こういう疑ってかかる性格は正直生きていく為には仕方無いと思う。 もし、間違いなら後で笑えばいいだけだ。 その時の行動は恥では無い。


「ふぅん・・・。 ところで小木曽さん。 貴女が表向きか裏向きかは知らないけどラビアンローズのリーダーって事でいいんだよね?」


「はい。 そうですミチオさん」


 小木曽さんの返答に迷いは無かった。 それはウソじゃないわけか・・・。


 なら・・・。


「それにしてはとても礼儀正しいけど、それが素って事だね。 ええとね? 話は大体分かったけど、小木曽さんは結局僕に仕事を頼もうと思っているわけだよね?」


「はい。 それはもちろんです。 そうで無ければ貴方に接触せずにアパートか何かを借りればいいだけの話ですから」


 さて、これが本当の台詞ならば特に問題は無い。

 

 僕の相談所に重要度の高い物があるわけでは無いしね。


 武器などはあるが、情報物資はパソコンの中ぐらいだ。 セキュリティロックを掛けてあるからそれは大丈夫だろう。


 だが・・・


「本当の狙いは、僕じゃないんだろう?」


 僕は賭けに出た。


 確かな証拠があるわけじゃない。


 だけど、これまでこんな連中に狙われた事も誘われた事も無かったし、前の僕と今の僕に何か違いがあるとすれば・・・それは祈の存在だった。


 何度も言っているように僕はこういう裏の世界では恥ずかしい話だがとてもマイナーな存在だ。 それが急に何処で聞いたのか「ブラッディ・イーター」なんて二つ名を引っ張り出してきて持ち上げてきているのだ。 疑っても仕方無い。


 これは憶測だが、僕の中に凶悪な「ブラッディ・イーター」の名の殺し屋が居て、ソイツが大袈裟な仕事をしたというなら分かるが、結局は僕は僕だ。 そんな事をすれば僕が分からないわけが無い。 報酬にしろ何かの痕跡があるはずだ。


 先程の小木曽さんの話だと僕は無意識のまま小木曽さんを襲ったらしいが・・・。


 それは一時的なショックで脳が混乱して覚醒したというのも考えられるわけで・・・。



 では、この賭けは・・・相手の神経を逆なでするだけかな?


「・・・・・・意外に鋭いですねミチオさん。 正直貴方を舐めすぎていたようですね」


 小木曽さんの声のトーンが一つ低くなった。


 これは・・・逃げる準備をしていた方が良さそうだね。


「何が本当で何がウソなの? 事の次第で僕は全力で抵抗させてもらうよ?」


 今は丸腰だったけど、不意を突かれさえしなければ負けるつもりは無い。 それは相手が女だからと舐めているわけでは無い。 散々その「女」でも常識外れなのを短い間に二人も確認している。

 だが、小木曽さんは、一般的な女の人に見える。 あくまで「裏の世界での」一般的ではあるが・・・。


「待って! 私達に敵意はありません! お話した事もウソではありません! 特に住む場所の事は!」


「・・・一番ウソであってほしかった所を最優先で否定しないでよ・・・」


 僕は大袈裟にずっこけそうになった。 だけど、今は緊張を解くべき時じゃない。 まだ何も安心できる要素を聞いたわけじゃない。


「本来の目的は研究所の無力化でしたが・・・、その計画は実は一時保留になってしまったのですよ」


「・・・ふぅん? そこがウソだったんだ? まぁ、保留って事は主旨を変えているわけじゃないからウソにならないって事かな? 言葉遊びが過ぎると思うけどね僕は」


「はい。 それは返す言葉もありません。 その・・・研究所の無力化については当初6人で当たっていたのです。 それが先週・・・3人程行方が分からなくなってしまったのです」


「・・・? それが何?」


「それで・・・私達は独自にその足跡を追ってみたのですが・・・その先にはリ・レイシャンの影がありました。 そして、そのリ・レイシャンの息の掛かった者が消し去ったという事が分かりました」


「リ・レイシャン・・・。 それって中国マフィアの女首領だったっけ?」


「はい。 とても強力な組織の一つです。 その組織の一員の一人が私達の仲間を消し去ったようなのですが・・・。 調べていると、その一員は組織を抜けて居たようなのです」


「? まって? そのマフィアの一員だった人が何か関係あるの?」


「はい。 それが・・・イノリさんだったのですよ。 ミチオさん」


「!? イノリが中国マフィア!?」


「過去形ですが。 それで人員が減ってしまった事と、イノリさんの経緯を調べている内に、ミチオさん。 貴方に行き着いたわけです。 ついでと言ってはなんですが、貴方の経緯についても調べさせて頂きました。 そうしたら、とても面白い逸話が出たわけですね。 ブラッディ・イーターと呼ばれた一人の傭兵の逸話を・・・」


「・・・・・・」


 話の内容に衝撃を受けて言葉が出なかった。

 祈の正体について分かったのは良かったが、僕の傭兵時代の事まで調べられていたのには正直驚くのを通り越して少し気分が悪かった。

 僕は戦場に居たんだ。 それが殺人鬼になっていたとしても、それが特別視されるような事は無いハズだ。 


「そんな二人が狙いです。 御理解頂けました?」


「・・・僕等を消すって事だよね?」


 僕は言うが早いか小木曽さんに向かって拳を振り上げた。


 消された仲間の報復。


 それなら今此処で憂いを断つ!


「あ、名取さん取り押さえてください」


 なっ!? 久美子ちゃんは元々仲間なのか!?


 そう思って振り返ると、僕等の話が長くて退屈していたのか立ったまま寝そうになっている久美子ちゃんの顔が見えた。


 これは・・・騙されたっ!


 ただのデマカセだったんだ!



 そう思った時には遅く、僕は死角に入った小木曽さんに後ろから殴られていた。



 僕は本日2回目の気絶をする。





「・・・ミチオさん 貴方は勘が鋭いですが、少し思考が飛びすぎです。 私は最初から「仲間」に誘っていたハズですよ? 人員が減ったから補充したい。 それだけなのです」


 小木曽さんが呆れながら倒れた僕に声を掛ける。


 暴れだしそうだった僕を止める為に殴ったのか・・・。


 どうやら僕の取り越し苦労だったらしいから、賭けは笑い話になるらしい。



 僕はそれで安心したように素直に気を失うのだった。



 ちなみに・・・


「相談所の間借り料はちゃんとカラダでお支払いしますから安心してください。 ミチオさん」


 僕の意見を聞くまでも無く、ウチの相談所はラビアンローズの拠点となるらしい。


 それより恐ろしいを聞いた気がするが、僕は気を失っていたので聞こえていない。


 うん。 聞こえてないんだ・・・・・。


【聖夜に銃声を 9月4日(4) 「少女授業中」終わり (5)に続く】 

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