9月1日 おまけ
隣で眠る祈。
ダブルベットなので僕は床に寝ようとしたのだが、それは許してくれなかった。
僕としては幼女趣味と疑われるよりはマシなんだけど・・・。
やむなく僕はベットに出来るだけ祈に触れないように入る。
幸い彼女の体が小さくて離れて眠ることは出来そうだった。
だが・・・、祈に背を向けて寝ていると、僕は何かベットが小刻みに揺れているように感じた。
ベットはとても振動を伝えやすい構造になっているのか、実際には震えている程度だったのだろうけど、僕はそれが気になって眠る事が出来なかった。
どうしたんだろう?
僕は好奇心に負けて祈の方を見た。 すると彼女も背を向けて寝ていたのだが、その肩が震えていた。
まさか・・・泣いて・・・?
いくら子供でもやっぱりあんな痴態を晒したのは泣くほど嫌だったのかもしれない。
・・・実際痴態を晒したのは僕だが・・・。
「祈・・・どうしたの?」
僕が声をかけながら肩に触れると彼女は電気が走ったように体をビクッ!と体を一際大きく震えさせた。
「あ・・・、ごめん驚かし――!?」
肩に触られた事で祈がこちらを向く。
そしてその瞳には大粒の涙が・・・。
「い・・・いのり! 僕何か悪い事を・・・いや! なんでもいい! ごめんなさい!」
僕はそんな彼女の姿に居た堪れなくなって素早くベットの上で土下座した。 理由は分からなかったが、知らずに彼女に恥をかかせてしまっていたのかもしれない。
ここは男として誠意をもって謝ろう。 許してくれるまで何度でも。
「え・・・? ミチオ? いや・・・あ、あはははは!」
「えっ?」
そんな僕を見て祈はやはり「大粒の涙を流して笑っていた」。
あれ?
「ちょ・・・ミチオ! これ以上笑わせるんじゃないわよ! ホント・・・可愛かったわよさっきは♪」
「え? え?? 何?? どういう事?」
「だって女の子に免疫が無いのかってぐらい赤くなってたりしたじゃない? もう、悪戯心・・・じゃなかった乙女心をくすぐり過ぎよ貴方♪」
「な・・・・・・もしかして祈・・・」
「えぇ! そうよ? 演技に決まってるじゃない馬鹿じゃないの? アハハハ♪」
こ・・・この・・・。
僕はとても面白そうに笑う祈を見て呆れるしかなかった。
あの素直な祈は・・・全部幻だったのか・・・。
明日からがますます不安になってしまった。
「とりあえず今日は寝るわよ〜明日は学校休みだし、昼前には出て調査しましょうか」
「う・・・うん」
頷きながら僕は一生この神様に敵う気がしなかったのだった。
【9月1日 おまけ 終わり】