16/50
大切なものなんてありません
ノックの音もしない
暗い小部屋でうずくまる
ようやく一人きりになれた
満足感よりも悲痛に満ちている
誰も訪ねてこない
誰も助けにこない
そう望んだのは自分だけど
くだらないと思ってしまう
一人きりなのに
息苦しさを感じる
狭い小部屋だけど
一人で居るのに十分のはず
テレビを点ければ
子どもが殺されたとか
悲惨なニュースばかり流れる
だから暗いほうがいいんだ
もう全てから目を離したい
もう全てから逃げ出したい
逃避の先にあるのは
大切なものを捨てることなのに




