親友の婚約者を寝取ったら人生が終わってしまった人の話し
目を開けたら婚約破棄ドラマが俺を置いてけぼりにして始まってた件の王子視点です。
なのでまずこちらの前にそちらを読んでいただけると分かりやすく……いや分かりやすくどころか読まないと分からないですごめんなさい。
あと()がウザいくらいある部分があるので苦手な方は戻るボタンを押してください!
「り、リフィル・クアイと申します」
恥ずかしそうにレフィに連れられてやってきたのは、可愛らしい人だった。
レフィは騎士団にいるときに見つけた。一生懸命で、そして才能があると私は思った。だからギーグに尋ねたのだ。彼を私の近衛騎士に出来ないか、と。
数ヶ月後、レフィは私の近衛騎士となった。
レフィは真面目で、最初は会話もままならなかった。しかし守り守られるという関係は信頼が大切であると父、国王から私は言われていた。だから毎日仕事の合間に騎士団の訓練を見学していたのだ。そこでレフィを見つけ、彼ならと私は思った。彼なら信頼関係を築けるのではないかと。
その事を話すとレフィは真剣に頷き、それからぎこちないながらも会話が出来るようになった。
他の国は知らないが私の国の近衛騎士は守るのは当たり前だがどちらかというと広い意味で補佐のイメージが大きい。どこへにも一緒に行き意見を求めることもある。……といっても専門的なものはその人達に求めるので軽口というか……つまりはずっと一緒なので近衛騎士とだけいる時には気を休められるようにと、そのような存在として求められる。
しばらくしてレフィとは笑顔を見られるほどに仲良くなれた。今時探すのが難しい程に裏表のない性格で、優しく、真面目。レフィで本当に良かったと思った。
そんなレフィから婚約者を紹介したいと言われた。勿論私は了承した。彼の婚約者を紹介してもらえる程に仲良くなれたことが嬉しかった。私は立場的に友を作りにくい。どうしても自分と相手の家柄、内情も見なくてはならないからだ。その点レフィの位は低く、家が私の派閥とみられても(実際入ったとみなされるがさすがレフィの親というか何も求めてこない)申し訳ないがまったく力にならない。
しかしレフィ本人は近衛騎士になれる実力があった為周りからも何も言われない。彼の性格のお陰でもあるのだろう。
私はそんな彼と婚約を結んだ人がどんな人なのかとても楽しみにしていた。
ーーーーー
レフィが連れてきたのはリフィル・クアイ。文官だ。前もって調べていたが中々仕事が出来る人物、らしい。位はレフィより少し高いが、領地が隣同士で幼い頃から仲が良く婚約は当然の流れだろう。
そう、前もって調べていたのにも関わらず私はレフィに連れられたリフィルに目を奪われていた(※1)。
リフィルの肌は白く(※2)、きめ細かくて(※2)すぐに触れたい衝動にかられた(※1)。大きな零れそうな瞳(※2)は星の輝きのように美しかった(※2)。彼から香る匂いはまるで私の為につけられたかのようだった(※1)。
私はレフィの婚約者に一目惚れしてしまったのだ(※1)。
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「……ラックス王子」
「どうした?」
「あの……よろしければ私の休憩時間に付き合っていただけないでしょうか。……その、リフィルが美味しい茶葉を手に入れたとかで……」
レフィは相変わらず真面目だ。休憩時間くらい主から解放されて良いのに毎回こうやって誘ってくれる。
そして私はこう答えるのだ。
「私は二人が好きだから嬉しいよ。ありがとう、邪魔をする」
もちろん二人の時間が大切なことも知っているので二人で楽しんでくるように伝えることもある。だが私はあれからリフィルのことが気になって(※1)レフィが誘ってくれるのをいいことにほぼ毎回誘いにのっていた。
「ようこそ、ラックス王子」
リフィルは笑顔で俺を出迎えてくれる。私たちが席につくとリフィルはお茶だけでなく菓子も用意してくれた。今では私とレフィで好みが違うからと別々に用意してくれる(※3)。
リフィルの菓子を食べると体が熱くなるのは私がリフィルを求めているからなのだろうか(※3)。リフィルを抱きたくて仕方なくなる(※3)。
そして、私はその思いのままにリフィルを抱いてしまった(※1)。
レフィが休みでリフィルが仕事の時に呼び出したのだ。疲れたのでいつものようにお茶をしたいと。使いにだした侍女は何の疑いも持たなかった。当然だろう。今までだって彼女たちの前でお茶を入れてもらい手作りの菓子を食べたことが何度もあるのだ。最初はリフィルの手作りを食べることに難色を示したがその後の私の仕事の捗り具合や雰囲気に何も言わなくなった。何よりレフィの婚約者だからというのがあったのだろう。
二人だけになりたいと言っても何も言わずに下がった。ただレフィがいなかったので扉の外に代わりに護衛の者がいたが。
いつものようにリフィルの出したお茶と菓子を食べた私はやはり体が熱くなり(※3)我慢出来ず彼を抱きしめていた。
「お、おうっむぅ……」
驚くリフィルの口をふさぎそのままソファまで運ぶ。声を出したら外の者に気付かれレフィにもバレることを話すとリフィルは必死に両手で口を塞いだ(※4)。
快楽におぼれるリフィルは美しかった。潤んだ瞳は最初は泣きそうだったがそのうちに快楽からの涙になる。最後にはもっとと求められ俺は歓喜しリフィルを貪った(※5)。
それから何度もリフィルを抱いた(※5)。私はレフィとはいつものように接していたがバレないように手を繋いだりイタズラをするとリフィルが焦るのがまた私を煽った(※6)。だがそのうちリフィルがもう限界だと泣き出した(※1)。私は焦った。愛した人をもう手放せないことに気付いたからだ。それを伝えるとリフィルも泣きながら頷いて自分もだと、好きになってしまったからつらいのだと返してくれた。私は驚喜した。
そこからは早かった。レフィを裏切ったことは変わらないが話せば分かってくれると私達は思った(※6)。多少はぎこちなくなるがそれでも三人でいられると思っていた(※6)。
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現実は違った(※7)。
いつの間にかいなくなったレフィに二人でもう一度話し合うかを話していると外から悲痛な叫び声が聞こえた。
レフィだ。
どうするか迷っている間にギーグが部屋に入ってきた。抱き合っている私達を見て悟ったのだろう。レフィを騎士団に戻すことを告げ出て行った。
そこからは早かった。親友は失ったが愛しい人は手に入れたのだ。レフィを裏切ったからこそきちんと二人で幸せになろうとリフィルと結婚をすることを王に告げると王は私を殴ったが既に体の関係を持っていることを知ると諦めて結婚することを認めてくれた。
それからは二人で仕事をこなしたがレフィのいた近衛騎士達からの視線は冷たかった。休憩時間の時も当然近衛騎士は一緒にいる為私の心は休まない。リフィルも同じようで二人で夜慰めあうのが唯一の安らぎだった。
ある日のことだった。扉の外が騒がしい。リフィルと一緒にいた為守るようにしていたが聞こえてきた声に二人で慌てて中に通すよう言った。
声の主はレフィだったのだ。レフィはつらそうに涙を流しながら話してくれた。
私達を見るのはつらい。でも大切なのも本当で、だから自分の代わりにとリフィルに綺麗な紫の宝石がついたペンダントを渡した。私とレフィの瞳の色は紫だった為これなら二人で守れるだろうと私にも泣きながら笑いかけてくれたのだ(※8)。
私は泣いた。リフィルも大切にすると泣きながらそのペンダントをつけた。
数日後王に私達は呼び出された。一週間後には子供を授かりに行く予定だったのでてっきりその話しだと思っていた私は愕然とした。
リフィルが、私以外とも体の関係を持っているというのだ。
「嘘だ!」
私は叫んだ。しかし目の前に映された映像に言葉を失った。
「リフィルっ」
「あぁっ、ヒューイっ」
そこにはレフィの上司であるヒューイが映っていた。
そしていつも聞いている愛しい人の艶やかな声も。
「う、嘘です!信じないでラックス様!!」
泣き叫ぶリフィルが目に入っているのに私は動けなかった。分かっている。私は君を信じていると抱き締めなくてはならないのに体が動かない。
「お前のつけているペンダント」
「え?」
「それはお前を守るものだとレフィは言わなかったか?」
「……はい」
「……まだ気付かないか。これはそのペンダントから手に入れた映像だ」
「っま、さか……」
よく見なくとも分かるはずだった。淫らな声は聞こえるのに相手しか映さないのはリフィルの胸元から撮られた映像だから。そしてレフィは二人で守ると言った。ペンダントは二つあったのだ。片方からの映像をもう片方に送る為に。裏切るのは自分だけであって欲しいと願って(※8)。
ーーーーー
リフィルは処刑された。当然だろう。子宝を授けてくれる霊獣を殺すところだったのだ。しかしリフィルは事の大きさを理解していなかった。私との始まりが悪かったのもあるだろうが、たかが浮気だと泣き叫びどうして、こんなの知らないとずっと訳の分からないことまで喚いて死んでいった。
私は廃嫡され平民に落とされた。
……リフィルと関係を持った者達と一緒に。
「どうしてリフィルを……」
「り、リフィル様が誘ってきたのです!」
「そ、そうです!それに王子と結婚する前から誘わっ……かひゅっ」
気付いたらその咽を切り裂いていた。驚き恐怖に動けない奴らを次々と。今なら分かる。王は……父上はこうなると分かっていて最後の慈悲に私に短剣を持たせてくれたのだろう。
人々の悲鳴を聞き騎士団が駆けつけたが周りを囲むだけで誰も手を出してこない。助かったと思ったのに騎士達が何もしないことを知り一人逃れていた人物は絶望していた。
「……済まない」
「別に。アンタの為じゃない。俺達の仲間に二度と傷ついて欲しくないからだ」
なるほど。彼等はレフィの同僚のようだ。……そうか、最初から決まっていたのだな。私の傍にいてくれた唯一を裏切った瞬間から、私の未来は……。
私と……レフィと同じ瞳の色をした者の咽を切り裂き私は微笑んだ。
レフィ、どうか君の紫の瞳は私達のように濁らないことをーー。
この日胸に短剣を突き刺し、一人の平民が死んだ。
END
以下答え合わせというか突っ込みです。
(※1)仕様です。
(※2)主人公だからね!
(※3)媚薬入りだからだよぉぉぉ!
(※4)大丈夫。やったぁぁぁ!って喜んでるから。
(※5)あ、さすがそれようのゲームなだけあって部屋にシャワーとかあるので事後処理は完璧です。
(※6)主人公と攻略対象は皆さん変態で、最低で頭お花畑です。
(※7)当たり前だ。
(※8)本人はそんな殊勝な性格ではなく嬉々としてやったけどな!
()は突っ込まずにはいられなかったからつい……一緒になって突っ込んでくれてる人がいたら嬉しいです。